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気になるキーワード 「妊娠中のワクチン」#2

【医師監修】妊婦さんのワクチン接種スケジュールと副反応の対処法は?|家族が打つべきワクチンも解説【後編】

ワクチンを接種している女性の腕

この記事は、妊婦さんのワクチンを解説する【後編】です。前編では、妊娠中のワクチンには「お母さんの重症化予防」と「赤ちゃんへの母子免疫」という2つの役割があること、接種できるのは不活化ワクチンなどで生ワクチンは原則避けること、RSウイルス・百日咳・インフルエンザ・新型コロナの4つが推奨されていることをお伝えしました。
後編では、妊娠初期・中期・後期それぞれの接種スケジュールの目安、胎児への影響や副反応が出たときの対処法、赤ちゃんを守るために家族が打つべきワクチン、よくある質問をまとめます。この記事から読んでも大丈夫です。

◀前回:【前編】妊婦さんが受けるべきワクチンとは?

【時期別】妊娠中のワクチン接種スケジュール

ChatGPT 画像 2026年9月29日 12_47_59.png
本文よりAIにて生成

妊娠初期(〜15週)

つわりなどで体調が不安定な時期ですが、インフルエンザの流行期にあたるなら、初期でも接種してOK。「安定期に入ってから」と待っているうちに流行のピークが来てしまうほうが問題です。

この時期にやっておきたいのは、手洗い・人混みを避けるといった基本の感染対策と、同居するご家族のワクチン接種です。特に風しんは、自分が妊娠中に打てないので、ご家族に打ってもらって周囲が守るというのが対策になります。

妊娠中期(16〜27週)

比較的体調が落ち着き、動きやすい時期。後期に接種するRSウイルスワクチンや百日咳含有ワクチンについて、いつ打つか、どこで接種できるかなどを検討しましょう。

健診先で接種できるか、できない場合はどこで打てるか、自治体の接種券はいつ届くか。里帰り出産を予定している方は、里帰り前に打てるかどうかも含めて確認しておきましょう。インフルエンザワクチンがこの時期に出回っていれば、そのまま接種してしまって問題ありません。

妊娠後期(28〜36週)

RSウイルスワクチンと三種混合(百日咳・破傷風・ジフテリア)ワクチンのベストタイミング。抗体が赤ちゃんへ移行する量がもっとも増える時期で、接種から出産まで2週間以上あけたいことを考えると、RSウイルスワクチンは30〜32週前後が現実的なおすすめです。
37週に入ると定期接種の対象から外れます。「気づいたら過ぎていた」ということがないように、中期のうちに予定を立てておいてください。

ワクチンの安全性と副反応への対処法

お腹の赤ちゃん(胎児)への影響はある?

いちばん気になるところだと思います。結論から言うと、この記事で紹介した不活化ワクチンについて、流産・早産・胎児の形態異常が増えたという報告はありません。
インフルエンザワクチンは数十年にわたって妊婦さんへの接種実績があり、新型コロナワクチンについても、世界中の妊婦さんの大規模なデータで安全性が確認されています。RSウイルスワクチンは、承認前の臨床試験で早産の割合について検討され、そのうえで妊娠28週以降という接種時期が設定されました。むしろ、感染症にかかること自体のリスクのほうがはるかに大きいというのが、多くの学会の共通した見解です。

接種後の発熱・腕の痛みが出たときの対処法

副反応として多いのは、接種した腕の痛み・腫れ、だるさ、頭痛、微熱などです。多くは1〜2日でおさまります。
痛みや発熱がつらいときは、妊娠中でも使えるアセトアミノフェン製剤(カロナール®など)を使用できます。市販の解熱鎮痛薬にはロキソプロフェンやイブプロフェンなど妊娠後期には避けたい成分を含むものもあるため、自己判断で選ばず、健診先で処方してもらうか薬剤師に相談してください。腕の痛みは冷やすと楽になります。
ただし、38.5℃以上の高熱が続く、強い腹痛やお腹の張りがある、出血がある、胎動が明らかに少ないといった場合は、副反応と決めつけずに産科へ連絡してください。

赤ちゃんを守るために「夫・家族」が打つべきワクチン

赤ちゃんへの感染源は、多くの場合同居している家族です。妊婦さん本人だけでなく、周りの大人が予防することで赤ちゃんを包み込むように守る考え方を「コクーン戦略(繭で包む予防)」と呼びます。

風しんワクチン(抗体検査と予防接種)

妊娠初期に風しんにかかると、赤ちゃんに難聴・心疾患・白内障などを引き起こす**先天性風しん症候群(CRS)**のリスクがあります。妊婦さん自身は生ワクチンを打てないため、パートナーと同居家族に打ってもらうことが唯一の防御になります。
特に注意したいのが、公的な予防接種を受ける機会がなかった世代の男性です。自治体によっては抗体検査やワクチンの費用助成があります。まずは抗体検査から相談してみてください。

百日咳・インフルエンザ・新型コロナワクチン

百日咳は、大人がかかると「なかなか治らない咳」程度で済むことが多く、本人が気づかないまま新生児にうつしてしまうことがあります。実際、乳児の百日咳の感染源は家族であることが多いと報告されています。上のお子さんやパートナーの接種も、ぜひ検討してください。
インフルエンザやコロナも同様です。ご家族全員が接種しておくことで、家庭内に持ち込まれる確率を下げられます。産後に赤ちゃんに会いに来る祖父母世代にも、あらかじめお願いしておくとよいと思います。

妊婦のワクチン接種に関するよくある質問(Q&A)

ソファーに横になり、熱を測る女性
Photo:PIXTA 

Q1. 他のワクチンと同時に打つことはできますか?

不活化ワクチン同士は、原則として同時接種が可能です。ただし前述のとおり、RSウイルスワクチンと百日咳含有ワクチンの同時接種については、抗体の上がり方に関する記載が添付文書にあり、施設によって方針が分かれます。
インフルエンザと新型コロナのように、流行期に重なるものは同時接種されることも多いです。いずれにしても、その時期の在庫状況や健診スケジュールとあわせて主治医に相談するのが確実です。

Q2. 上の子のときは案内されませんでしたが、なぜ今は推奨されているのですか?

この数年で状況が大きく変わったからです。
妊婦さん向けのRSウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ®)が日本で発売されたのは2024年で、2026年4月にようやく定期接種になりました。百日咳についても、前編の記事で解説したように、2025年の大流行や耐性菌の増加を受けて、妊娠中の接種の意義が改めて注目されるようになりました。日本小児科学会が妊婦さん向けの推奨をまとめて公表したのも2025年10月のことです。

つまり、案内できるだけの選択肢と根拠が最近そろったということになります。

Q3. 過去の妊娠でRSウイルスワクチンを打った場合、今回の妊娠でも必要ですか?

はい、妊娠のたびに接種が必要です。

このワクチンの目的は、お母さんの中に抗体をつくり、それを今お腹にいる赤ちゃんへ胎盤を通して渡すことです。抗体が効率よく移行するのは妊娠後期の限られた期間なので、その妊娠ごとに接種してタイミングを合わせる必要があります。定期接種の制度上も「妊娠ごとに1回」と定められています。

同じ考え方は百日咳含有ワクチンにも当てはまります。上のお子さんの妊娠時に接種していても、今回の赤ちゃんのために改めて接種する意義があります。

まとめ|納得して選ぶために、まずは主治医に相談を

日本小児科学会がすすめる4つのワクチンと、ご家族が打つべきワクチンをご紹介しました。実際に臨床の現場ではたくさんの妊婦さんに接種してきて、特に重篤な副作用が起きたことはなく、皆さんニコニコと妊娠生活を続けておられます。

ワクチンは、打つ・打たないをご自身で選べるものです。正しい情報を知ったうえで判断していただきたいと思います。気になるワクチンがあれば、ぜひ一度、主治医にご相談を。

 

宋美玄 産婦人科医 crumii編集長

この記事の監修医師

丸の内の森レディースクリニック

院長

宋美玄先生

産婦人科専門医

丸の内の森レディースクリニック院長、ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事産婦人科専門医。臨床の現場に身を置きながら情報番組でコメンテーターをつとめるなど数々のメディアにも出演し、セックスや月経など女性のヘルスケアに関する情報発信を行う。著書に『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』など多数。

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