女性 生理痛 腹痛

婦人科の病気 体験シリーズ:生理痛#02

低用量ピルが合わず、鎮痛剤、カイロや健康器具でしのいだ月経痛が、産後すっかりなくなったワケ【体験談】

初潮を迎えてからずっと起き上がれないほどの月経痛に苦しめられてきたトモ子さん。ピルが合わず、いろいろな工夫をして過ごしてきたといいます。その工夫とは? そして産後、月経が軽くなった理由とは?(この記事は全3回の第2回です。第1回を読む

 

「悪い病気かも」と思った中学時代

中学2年生で初潮を迎えて以来、常に生理痛に苦しめられてきたトモ子さん。周囲には自分ほど生理痛の重い同級生がいなかったこともあり、最初はあまりの痛さに「もしかして、私、悪い病気なんじゃないの?」と不安になったといいます。

 

「おなかも腰もあまりに痛くて、授業中に泣いたことがあるんです。そうしたら友達が保健室へ連れていってくれました。でも特に解決はしなくて、養護教諭に『生理痛なのね』と言われてベッドで休んだだけでした」(トモ子さん)

 

当時、トモ子さんが通っていたのは「管理教育」で評判の厳しい中学校でした。遅刻すると校門を閉められて入れない、よほどのことがない限り学校や部活を休むのはもってのほか、という感じ。なので、どんなに月経痛がつらくても学校自体を休むという選択肢は思い浮かばなかったそうです。

 

「月経のことって友達にも相談しづらいし、誰に聞いていいのかわからなくて……。母にはちょっと相談してみたんですが、『あ〜私も生理痛が重かったから遺伝かもね』という感じで、やはりどうにもなりませんでした」とトモ子さん。

 

月経前の強烈な腹痛の原因は「便」

高校生になって、やっと市販の鎮痛剤を飲むようになったトモ子さん。その後も、月経中はズシーンとくるような重い腹痛と腰痛に悩まされましたが、仕方のないことだと鎮痛剤を飲んだり、たくさん寝たりしてやり過ごすことに。その後、19歳のときにある異変が!

 

「コンビニでバイトしてたら、月経中でもないのに、おなかが猛烈に痛くなったんです。顔が真っ白だったみたいで店長に『今すぐ帰って』と言われて帰宅し、誰もいなかったので、家中をのたうちまわりました。そうしたら月経がきたんです」(トモ子さん)

 

翌年も、トモ子さんは急激な腹痛に見舞われて顔面蒼白に。おなかの右下が痛かったこともあり、「これは虫垂炎かもしれない」とお父さんと一緒に救急病院へ行ったところ、大量の便が溜まっていたそう。医師は下剤を処方してくれたそうです。

 

女性 便秘 腹痛
photo:PIXTA

 

「あまりに思いがけないことで、さすがに恥ずかしかったです。よく考えたら、月経前に常にひどい便秘になっていて、『便秘による腹痛』+『月経痛』でものすごく痛かったのだと気づきました」とトモ子さんは笑います。

 

確かに、月経前は女性ホルモンの一種「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の分泌量が増えることで、腸の蠕動(ぜんどう)運動が鈍くなり、便秘になりやすくなります。しかし、周囲の大人や医師にも誰にも指摘されなかったので、わからなかったそうです。

 

その後も重い月経痛が続き、社会人になってやっと初めて婦人科を受診し、軽い子宮内膜症はあったものの特に問題がないことを確認。医師に低用量ピルを処方してもらったといいます。ところが、その効果はイマイチだったのです。

 

「ピルを飲んでも痛みがあまりなくならなくて。仕事が忙しかったこともあり、こんな程度しか軽くならないのなら飲まなくてもいい、と諦めモードになりました。学校と違って、会社は生理休暇が取れたので、とにかく眠ってやり過ごしました」(トモ子さん)

 

自己流でケアするも布ナプは使わず

そんなトモ子さんが月経痛対策としてやっていたことは、市販の鎮痛剤を飲む、なるべく体を休める、冬はおなかと腰にカイロを貼って温める、腰をグーやマッサージ器具で強く押す、といった方法でした。「少しはラクに感じられました」とトモ子さん。

 

こうして月経痛が重いと人からもケアをすすめられることがありますが、トモ子さんも例外ではありませんでした。

 

「布ナプキンが好きな自然派の友達からは『布ナプキンにすると痛みが軽くなるかもよ〜』っておすすめされたんです。でも、ただでさえ痛みでつらいのにナプキンを手洗いなんてできないし、効果がないと思ったので実践しませんでした」とトモ子さん。

 

その後、結婚して出産したところ、月経痛がウソのように軽くなったといいます。「出産後は、月経痛はほとんどなくなりました。びっくりです。どうしてなのかはわからないままですが」とトモ子さん。

 

よく産後、急に月経痛が軽くなるという話を聞きますが、それに当てはまったよう。

 

ただ、トモ子さんの出産は41歳のときだったので、かなり長い間、ひどい月経困難症と戦うことになりました。

 

「今思えば、一つのピルがダメだったとき、ほかのピルを試してみたらよかったなあと思います。まだうちの娘は小さいんですが、もしも将来、月経痛がひどかったら、婦人科を受診して軽減してあげたいと思います」(トモ子さん)

 

生理痛の素朴な疑問にcrumii編集長・産婦人科医の宋美玄が答えます

Question 1

 月経痛は遺伝するでしょうか?

Answer 1

遺伝だけで決まる訳ではありませんが、遺伝的な要素もあるとの研究もあります。

 

Question 2

月経前にひどい便秘になる人は、どうしたらいいでしょうか?

Answer 2

食生活や生活習慣、緩下剤などで長期間便秘にならないように調整しましょう。

 

Question 3

ピルが合わなくて全く効かないということがあるでしょうか?

Answer 3

ありますが、さまざまな種類のピルがあるので、何種類も試すうちに効果が感じられるものが見つかることが多いです。

 

Question 4

その場合、どうしたらよかったのでしょうか?

Answer 4

効果が感じられないなら種類を変える、黄体ホルモン製剤やミレーナを試すといいでしょう。

 

Question 5

妊娠出産後に急に月経困難症が治ったという人は結構いますが、本当でしょうか?

Answer 5

子宮内膜症がある場合、妊娠出産で月経が止まっている間に子宮内膜症が軽減することが多いためです。

 

大西まお

編集者、ライター。出版社にて雑誌・PR誌・書籍の編集をしたのち、独立。現在は、WEB記事のライティングおよび編集、書籍の編集をしている。主な編集担当書は、宋美玄著『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK』、森戸やすみ著『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』、名取宏著『「ニセ医学」に騙されないために』など。特に子育て、教育、医療、エッセイなどの分野に関心がある。

宋美玄 産婦人科医 crumii編集長

この記事の監修医師

院長

宋美玄先生

産婦人科

丸の内の森レディースクリニック院長、ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事産婦人科専門医。臨床の現場に身を置きながら情報番組でコメンテーターをつとめるなど数々のメディアにも出演し、セックスや月経など女性のヘルスケアに関する情報発信を行う。著書に『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』など多数。

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