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妊娠中に刺身やお寿司は食べていい?産婦人科医が教える「生もの」の本当のルール

キッチンで食材を持つ笑顔の妊婦

「生もの=全部ダメ」ではありません

「妊娠中は生ものを食べちゃダメ」——そう思っている方、多いのではないでしょうか。SNSでは「刺身警察」「ウナギ警察」なんて言葉も見かけるほど、妊婦さんの食事に対する周囲の目は厳しくなっています。中には「生クリームもダメ」と指導するケースもあるようですが、実際にはそこまで厳しく制限する必要はありません。

大切なのは、避けるべきものと、食べてよいものを正しく区別すること。この記事では、産婦人科で妊婦さんからよく聞かれる質問をベースに、妊娠中の「生もの」について食材ごとに整理していきます。

この記事は、産婦人科医・宋美玄先生のYouTubeチャンネルで公開された動画「生卵・刺身・チーズ…妊娠中に本当に避けるべき生ものはこれ!」の内容を、crumii編集部が再構成・編集したものです。
元動画はこちら。

【食べてOK】妊娠中も楽しめる生もの

生野菜は基本的にOK

生野菜は妊娠中も問題なく食べられます。サラダなども普段どおり楽しんで大丈夫です。

ただし注意したいのが、土つきのオーガニック野菜。土壌にはさまざまな病原体が含まれている可能性があるため、しっかり洗ってから食べるようにしましょう。きちんと洗えば、オーガニックでも通常の野菜でも安心して食べられます。

乳製品:日本製なら基本OK

牛乳、ヨーグルト、バター、生クリーム、チーズなど、日本で製造・販売されている乳製品は、適切に殺菌処理されているため基本的に問題ありません。

気をつけたいのは、外国産のナチュラルチーズです。殺菌されていない牛乳から作られたチーズにはリステリア菌、サイトメガロウイルスなどのリスクがあるため、心配な場合はやめておくか、加熱してから食べるようにしましょう。

生卵:TKG(卵かけごはん)もOK

これは意外と聞かれるのですが、生卵も食べて大丈夫です。卵かけごはんも、半熟卵も問題ありません。

サルモネラ菌のリスクは妊娠の有無にかかわらず存在するものなので、衛生管理がしっかりされた新鮮な卵であれば、妊娠中でも安心して楽しめます。

卵と卵かけごはん
みんな大好きTKG (Photo:PIXTA)

刺身・お寿司は食べても大丈夫!

妊娠中でも刺身やお寿司は食べられます。厚生労働省のホームページにも「刺身で食べる場合は」という記載があるほどで、生魚が一律に禁止されているわけではありません。

最近はSNSなどで「妊婦は刺身NG」という誤った理解がが広まりつつあり、実際に誤解している妊婦さんも少なくないのですが、衛生管理のしっかりしたお店であれば、お寿司もお刺身も楽しんで大丈夫です。後述する水銀とビタミンAのことだけ頭に入れておけば、魚にはDHAなどの良質な油が含まれており、赤ちゃんの発育にもよいとされていますので、過度に控える必要はありません。

エビ・カニなどの甲殻類には制限なし

エビやカニなどの甲殻類は、妊娠中も普通に食べられます。加熱の必要性についても、特別な制限はありません。

【要注意】避けたほうがよい生ものって?

生肉は要注意。必ず中まで火を通そう

妊娠中にもっとも気をつけるべき食材が「生のお肉」です。家畜の肉にはトキソプラズマという寄生虫が潜んでいることがあり、加熱が不十分な状態で食べると感染するリスクがあります。

このトキソプラズマ、大人が感染した場合は下痢程度で済むことがほとんどなのですが、胎児に感染すると先天性トキソプラズマ症という病気を引き起こし、赤ちゃんの脳や目に影響が出る可能性があります。これは生まれてからも一生続くことがあるため、患者会の方々も啓発活動を行っています。

ローストビーフのお皿
ローストビーフや生ハムなど、生のお肉は避けましょう(Photo:PIXTA)

特に避けるべきもの:

- 生ハム、ローストビーフ(非加熱・中心部が赤いもの)
- レアステーキ、ユッケ
- 加熱が不十分な鶏肉・豚肉(低温調理風のものも注意)

最近はとんかつ屋さんでも中がうっすらピンク色のものがあったり、飲食店で鶏肉の加熱が甘いケースもあります。気になったら遠慮せずに「妊娠中なので、しっかり火を通してください」とお願いしましょう。きちんとしたお店であれば快く対応してくれると思います。

生の貝類は加熱がおすすめ

二枚貝や牡蠣などの貝類は、生で食べるとトキソプラズマや食中毒(ノロウイルスなど)のリスクがあります。生牡蠣は妊娠していなくても「当たる」ことがあり、激しい嘔吐や下痢による脱水は子宮への血流低下にもつながりかねません。

貝類は加熱して食べれば問題なく、食べる量に特別な制限もありません。カキフライなど火を通した調理法で楽しみましょう。

スモークサーモンは加熱が無難です

スモークサーモンにはまれにリステリア菌が付着していることがあり、感染すると流産などのリスクが指摘されています。食べる場合は加熱してからが安心です。

 知っておきたい魚にまつわる「水銀」と「ビタミンA」の話

大型魚の水銀は食べる「量」に注意

生か加熱かとは別に、大型魚に含まれる水銀(メチル水銀)にも注意が必要です。

食物連鎖の上位にいる大型魚は「生物濃縮」によって水銀を多く含んでいます。これは加熱しても減るものではないため、食べる量で調整することが大切になってきます。

1週間に80g程度までが目安の魚には何がある?

水銀が含まれるお魚には、例えば、
- クロマグロ(本マグロ)
- メカジキ
- キンメダイ などがあります。

お寿司で1〜2貫のマグロやトロを食べる程度であれば問題ありませんが、マグロ丼のようにドカッとまとめて食べるのは、控えたほうがよいでしょう。

マグロ、サーモンなどのお刺身の皿

量を気にせず食べてよい魚

- サケ、アジ、イワシ、カツオ、キハダマグロ、タイ、ツナ缶 など

「ツナ缶はマグロだからダメでは?」と思う方もいますが、厚生労働省もツナ缶について特に制限を設けていません。いろいろな種類の魚を少しずつ食べるようにすると、よりバランスのよい食事になります。

ウナギ・鶏レバーは、ビタミンAの摂りすぎに注意を

ウナギや鶏レバーには栄養が豊富に含まれていますが、同時にビタミンA(レチノール)も多く含まれています。ビタミンAを過剰に摂取すると、赤ちゃんに先天的な異常(催奇形性)を引き起こすおそれがあります。

ウナギの目安
1回に1/4〜1/2尾程度。土用の丑の日に2切れほど楽しむ分には問題ありませんが、頻繁に大量に食べるのは避けましょう。

鶏レバーはさらに注意
焼き鳥のレバー串(4〜5個)は、1日の許容量をほぼオーバーしてしまうほど、ビタミンAが豊富です。食べるなら一口〜半分程度にとどめておくのが良いでしょう。

外食時に気になったら、遠慮せず伝えてOK

お肉の加熱が不十分に見えたり、断面に赤みが残っていたりして不安を感じたら、その場で「妊娠中なので、もう少し火を通してもらえますか?」と伝えましょう。結婚式のコース料理でローストビーフが出た場合なども、再加熱をお願いして大丈夫です。

食べてから不安になるよりも、その場で一声かけ、安心して加熱済みの食べるほうが気持ちよく食事を楽しめます。万が一、生焼けの肉を食べてしまって心配な場合は、約3週間後に血液検査を行い、トキソプラズマのIgM抗体検査を受けることもできますので、かかりつけ医に相談してください。

まとめ:食べてよいもの・避けるべきものを正しく知ろう

妊娠中の食材別 生食と加熱の目安表
Crumii編集部が本文よりAIにて生成

妊娠中の食事で大切なのは、いろいろな食材をバランスよく楽しむこと。上記のような、ウイルスや取りすぎに注意したい食材を除けば、結局は、普段の健康を意識した食事と同じなのです。

過度な制限はかえってストレスや栄養の偏りにつながってしまうこともありますから、生ものが全部ダメ!と過度に怖がる必要はありません。
本当に避けるべきもののポイントを正しく知って、豊かな食生活を楽しんでくださいね。

この記事は、産婦人科医・宋美玄先生のYouTubeチャンネルで公開された動画「生卵・刺身・チーズ…妊娠中に本当に避けるべき生ものはこれ!」の内容を、crumii編集部が再構成・編集したものです。
本編はこちら。

宋美玄 産婦人科医 crumii編集長

この記事の監修医師

丸の内の森レディースクリニック

院長

宋美玄先生

産婦人科専門医

丸の内の森レディースクリニック院長、ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事産婦人科専門医。臨床の現場に身を置きながら情報番組でコメンテーターをつとめるなど数々のメディアにも出演し、セックスや月経など女性のヘルスケアに関する情報発信を行う。著書に『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』など多数。

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