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【第1回】妊娠糖尿病とは?検査の流れと診断基準の数値をわかりやすく解説
妊婦健診で、血糖値が少し高い、再検査が必要、と言われたら、不安になってしまう方もいるのではないでしょうか。「自分の生活習慣が悪かった?」「赤ちゃんへの影響は?」「もしや注射が必要?」などなど、不安になってしまうかもしれません。
「妊娠糖尿病」は、妊娠中に初めて発見される血糖値の異常のことで、決して珍しい病気ではありません。日本では妊婦さんの約8〜9人に1人が診断されるとされていて、検査に引っかかってしまう妊婦さん自体は、臨床の現場でもけっこう多い印象です。
自分の不摂生のせいではないかと心配される人もいるのですが、これは本人の生活習慣や体質のせいだけではなく、妊娠そのものが引き起こすホルモンの働きが大きく関係しています。
本記事では、妊娠糖尿病について検査の時期と数値の見方から、赤ちゃんやお母さんへの影響、毎日の食事の工夫まで、わかりやすく解説します。
診断されたばかりの方も、これから検査を控えている方も、ぜひ最後まで読んでみてください。
妊娠糖尿病の検査はいつ?
初期から中期(24週〜)の流れと数値
【時期別】妊婦健診で行う血糖値検査のタイミング
妊娠中の血糖値の検査は、妊娠の時期に合わせて、段階的に行われます。
1) 妊娠初期(〜妊娠13週ごろ)
初めての妊婦健診では、赤ちゃんを守るための抗体があるか、出産前に治療しておいた方が良い病気がないかどうかなどを調べる「初期検査」という検査をします。
このときに、随時血糖検査(食事のタイミングに関係なく測る血糖値)が行われることが多いです。
この時点で空腹時血糖が126mg/dL以上、または随時血糖が200mg/dL以上の場合は、妊娠前からの糖尿病が疑われます。随時血糖が高い場合(95または100mg/dL以上)のときは、より詳しい検査(75gOGTT)へ進みます。
2) 妊娠中期(妊娠24〜28週)
ここが妊娠糖尿病のスクリーニングです。日本では、24週0日を超えた妊婦さんが受ける形になっています。
妊娠初期の段階で問題がなかった方でも、この時期に改めて検査を受けます。初期の結果が大丈夫だったからといってこの検査が不要になるわけではなく、これには妊娠特有のホルモンの仕組みが関係しています(後ほど詳しく解説)。

Photo:PIXTA
「再検査」と言われたら?
50gGCTと75gOGTTの違い
中期のスクリーニング検査は、2段階で行われます。
1)ステップ1:50gGCT(グルコースチャレンジテスト)
50gのブドウ糖液(施設によりますが、甘いサイダーのようなドリンク)を飲んで、1時間後の血糖値を測ります。この時は、当日の朝ごはんを抜いたりする必要はありません。血糖値が140mg/dL以上だった場合には、次の精密検査、75gOCTT検査へ進みます。
2)ステップ2:75gOGTT(精密検査)
朝の空腹時に採血したあとに、75gのブドウ糖液を飲んで、・1時間後・2時間後の3回、血糖値を測ります。この検査は朝から絶食して受ける必要があります。この結果をもとに、妊娠糖尿病かどうかが正式に診断されます。
再検査と言われたからといって、必ずしも妊娠糖尿病の診断になるとは限りません。50gGCTは血糖の異常を見つけやすくするために、やや厳しめの基準になっているため、再検査になっても75gOGTTで問題なしと判断される方も多くいます。まずは落ち着いて、次の検査を受けましょう。
検査中は水、お茶はOKですが、あまいジュースや固形物はNGです。

採血が終わるまでは、お水やお茶以外の飲食はがまん Photo:PIXTA
妊娠糖尿病の診断基準と数値|75gOGTTで1つでも超えたら対象?
【数値一覧】検査結果のどこを見る?
正常値と診断ライン
75gOGTTの結果は、以下の3つの数値で判断されます。
測定タイミング
<診断ライン(この数値以上で異常)>
空腹時血糖
92mg/dL
1時間値
180mg/dL
2時間値
153mg/dL
3つの基準値全部を超えるのではなく、この3つのうち1つでも基準を超えると、妊娠糖尿病と診断されます。
空腹時の92mg/dLという数値は、一般的な糖尿病の診断基準(126mg/dL)よりも低く設定されています。妊娠中は血糖値の上昇が続くことで赤ちゃんへの影響が出やすいため、より早い段階で対処しておく必要があるからです。

Photo:PIXTA
なぜ妊娠すると血糖値が上がるの?
胎盤ホルモンの影響を解説
検査で引っかかったとき、自分が甘いものを食べすぎたからじゃないか、運動不足のせいじゃないかと、責任を感じてしまう妊婦さんがとても多いのですが、妊娠糖尿病の主な原因は妊娠中に胎盤から分泌される「ホルモン」によるものです。
胎盤は赤ちゃんを育てるために、hPL(ヒト胎盤性ラクトゲン)やプロゲステロンなどのホルモンを分泌します。これらのホルモンには、インスリンの働きを弱める作用(インスリン抵抗性)があります。
インスリンとは、血液中の糖をエネルギーとして細胞に取り込むのに重要な役割を持つホルモンです。この働きが弱まることによって、糖がうまく細胞に取り込まれず、血糖値が上がりやすくなってしまうのです。
週数が進むにつれて胎盤は大きくなり、それに伴ってホルモンの分泌量も増えるため、妊娠初期には問題なかった方でも24週以降に血糖値が上がりやすくなるのはそのためです。
妊娠糖尿病になりやすい人の特徴は?
(セルフチェックリスト)
以下の項目に当てはまる方は、妊娠糖尿病のリスクがやや高いとされています。
| [ ] 35歳以上の妊娠(高齢出産) [ ] 妊娠前からBMIが25以上ある(肥満) [ ] 家族(親・兄弟)に糖尿病の方がいる [ ] 以前の妊娠で妊娠糖尿病と診断されたことがある [ ] 過去に4kg以上の赤ちゃんを出産したことがある [ ] 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断されたことがある |
当てはまる項目がいくつかあっても、必ず妊娠糖尿病になるとは限りません。また、当てはまる項目がゼロでも発症することがあります。リスクの有無にかかわらず、中期のスクリーニングはしっかり受けるようにしましょう。
今回は、妊娠糖尿病の検査の流れと診断基準について解説しました。75gOGTTでは3つの数値のうち1つでも基準を超えると診断されますが、主な原因は胎盤ホルモンの働きによるもの。決してご自身の生活習慣だけのせいではありません。
次回は、気になる「赤ちゃんとお母さんへの影響」と、管理の基本となる「食事療法」のコツを、コンビニで買える食材の例も交えて詳しく解説します。
▶次回:妊娠糖尿病の赤ちゃん・母体への影響と食事療法|食べていいもの【第2回】
<もっと詳しく知りたい方へ>
糖尿病と妊娠に関するQ&A
妊娠糖尿病 日本産科婦人科学会
<参考文献>
「妊娠と糖尿病」母児管理のエッセンス 難波光義 杉山隆 株式会社金芳堂
日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2024 妊婦の糖代謝異常
日本内分泌学会HP 妊娠糖尿病
本記事は3回の連載の1回目です。
第1回:妊娠糖尿病とは?検査の流れと診断基準の数値をわかりやすく解説(この記事)
第2回:妊娠糖尿病の赤ちゃん・母体への影響と食事療法
第3回:妊娠糖尿病のインスリン療法と産後の注意点|2型糖尿病の予防まで
















