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その不調、本当に更年期? 見逃されやすい4つの病気

胸に手を当てる女性

40~50代になると、ほてりや発汗、動悸(どうき)、疲れやすさ、めまい、不眠、気分の落ち込みなど、さまざまな不調が現れることがあります。「年齢的に更年期だろう」と考え、我慢している方も少なくないと思います。

しかし、更年期世代に起こる不調が、すべて女性ホルモンの変化によるとは限りません。更年期症状とよく似た不調を示す病気が隠れていたり、別の病気が重なっていたりする場合もあります。

今回は、更年期症状と間違えやすい病気のなかでも、特に注意したい4つを紹介します。ぜひ覚えておいてくださいね。

そもそも「更年期症状」とは?

更年期とは、閉経前の約5年間と、後の約5年間を合わせた約10年間を指します。日本人女性の平均閉経年齢は50〜51歳なので、多くの人は45~55歳で更年期を迎えます。

日本人の閉経の平均と更年期の定義
あくまで目安ですが、日本人女性の多くは45~55歳で更年期を迎える人が多い傾向があります Photo:PIXTA

この時期に現れるさまざまな不調のうち、ほかの病気では説明がつかない症状を「更年期症状」と呼びます。そして更年期症状のうち、症状が強く、仕事や家事、睡眠などの日常生活に支障を来す状態が「更年期障害」です。

つまり、更年期障害は年齢や症状に当てはまるかどうかだけで決まるものではありません。似た症状を起こす病気がないかを確認して、はじめて診断できるものなのです。

こちらもご参考に。
*更年期障害とは?いつから?症状・原因・生活習慣の改善策までまとめ

ここからは、更年期障害と間違いやすい症状を起こす病気を、順に解説します。

(1) 甲状腺の病気

甲状腺は、首の前側にある小さな臓器で、全身の代謝を調節する「甲状腺ホルモン」を作っています。このホルモンが多すぎる場合、そして少なすぎる場合にも、更年期症状によく似た不調が現れます

喉元にある甲状腺とその周囲にある器官の名称イラストPhoto:PIXTA

その一つ、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう:甲状腺ホルモンの作用が強すぎる状態)では、暑がり、発汗、動悸、息切れ、イライラ、手の震え、体重減少などが生じやすいです。また、甲状腺機能低下症では、疲れやすさ、冷え、むくみ、便秘、体重増加、気分の落ち込みなどがよく見られます。そして、どちらも月経が不規則になることがあります。

以上を踏まえ、

・短期間での体重変化
・首の腫れ
・手の震え
・安静時にも続く動悸

などがある場合は、早めに内科などで相談しましょう。甲状腺機能(ホルモン値)は血液検査で調べられます

(2) 鉄欠乏性貧血

貧血になると全身に十分な酸素を届けにくくなり、疲れやすさ、だるさ、頭痛、めまい、動悸、息切れ、集中力の低下などが現れます。これらも更年期によくみられる症状と重なっていますね。

そして更年期世代は、貧血になりやすい時期でもあります。閉経前後には月経周期が乱れ、人によっては出血量が増えることがあるからです。しかし経血の出血量が増えた陰には、子宮筋腫や子宮腺筋症などによる過多月経が隠れている可能性もあります。

「閉経前だから出血が増えたのだろう」と決めつけないことが大切ですし、自然に減っていくだろうと考えて放っておくのは危険です。

時計と血のついたナプキンPhoto:PIXTA

貧血を疑うサインとして、

・月経量が多い
・月経が長く続く
・階段や小走りですぐ息切れする
・顔色が悪いと周囲に指摘される

といった場合は、婦人科や内科を受診してみましょう。血液検査ではヘモグロビン値に加え、必要に応じて体内の貯蔵鉄を反映するフェリチンなどを確認します。定期健康診断でのチェックも大事です。

(3) うつ病・不安障害

女性ホルモンが大きく変動する更年期には、イライラ、不安、不眠、意欲の低下、気分の落ち込みなどが起こることがあります。ただし、精神的な症状がすべて更年期によるものとは限りません

・気分の落ち込みや「何をしても楽しめない」という状態が続く
・朝起きられない
・仕事や家事ができない
・自分を強く責めてしまう

といった場合には、うつ病などの可能性も考える必要があります。なお、更年期症状とうつ病・不安障害が同時に起こってしまうこともあります

これは、本人の性格や「気の持ちよう」の問題ではありません。婦人科、心療内科、精神科などにぜひ相談していただきたい状態です。ご家族など周囲の方も、こうした気持ちの落ち込みなどをご本人の「気にしすぎ」と片付けてしまわないよう、どうぞご注意ください

*以下もご参照ください。
女性の健康推進室 ヘルスケアラボ. うつ病.

立ちくらみがつらい女性Photo:PIXTA

(4) 心臓の病気

更年期症状では、動悸、発汗、息苦しさ、胸部の不快感などを感じることがあります。しかし、心臓・血管の病気である不整脈や狭心症、心筋梗塞などでも同様の症状が起こります

たとえば

・胸の圧迫感が運動時に現れる
・脈が極端に速い・遅い・不規則になる
・動悸とともに意識が遠のく

といったような場合は、循環器内科などでの早急な確認が必要です。
特に怖い心筋梗塞では、胸痛に加えて、息切れ、吐き気、冷や汗、腕や肩などに広がる痛みを伴うこともあります。

突然の強い胸痛や呼吸困難、冷や汗、意識が遠のくなどがある場合は我慢して様子を見ることはせず、すぐに救急車を呼んでくださいね。

慌てて救急車を呼ぶ人のイラスト突然の強い痛みや呼吸困難などがあれば救急車を Photo:PIXTA

「更年期だから」で片付けないために

本記事では、更年期症状と間違えやすい4つの病気を解説しました。

パートナーやご家族も、「更年期だから仕方ない」「考えすぎではないか」と片付けないことが大切です。本人が何に困っているのかを聞き、希望があれば家事の分担、症状の記録、受診への同行などをぜひ提案していただければ幸いです。

そして、更年期症状も、今回紹介した病気も、適切な診断と治療によって改善が期待できます。「年齢のせい」と一人で抱え込まず、症状が続くときや生活に支障が出ているときは、ご家族や医療機関にぜひ相談してくださいね。

*私のニュースレターでも、中高年世代に起こりやすい病気や不調を幅広く解説しています。ご興味があれば読んでみてください。
【決定版】閉経後の女性に訪れる身体の変化と病気を徹底解説!

重見大介

この記事の執筆医師

産婦人科オンライン代表

重見大介先生

産婦人科

産婦人科専門医、公衆衛生学修士、医学博士。産婦人科領域の臨床疫学研究に取り組みながら、遠隔健康医療相談「産婦人科オンライン」代表を務め、オンラインで女性が専門家へ気軽に相談できる仕組み作りに従事している。他に、HPV(ヒトパピローマウイルス)と子宮頸がんに関する啓発活動や、各種メディア(SNS、ニュースレター、Yahoo!ニュースエキスパート)などで積極的な医療情報の発信をしている。

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