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【第2回】妊娠糖尿病の赤ちゃん・母体への影響と食事療法
前回の記事では、妊娠糖尿病の検査の流れと診断基準についてお伝えしました。第2回の今回は、診断された方が気になる「赤ちゃんやお母さんへの影響」と、管理の基本となる「食事療法」について解説します。リスクは正しく管理すれば大幅に減らせるもの。コンビニ食材を使った実践的な工夫まで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
◀前回の記事:妊娠糖尿病とは?検査の流れと診断基準の数値をわかりやすく解説【第1回】
赤ちゃんとお母さんへの影響とリスクは?
お腹の赤ちゃんへの影響(巨大児・低血糖・先天性奇形のリスク)
診断後に気になるのは、赤ちゃんに影響があるのかということ。お母さんが妊娠糖尿病と診断された場合、お腹の赤ちゃんへの影響には、以下のようなものがあります。
1) 巨大児
お母さんの血液中の糖が増えると、胎盤を通じて赤ちゃんにも糖がたくさん届きます。赤ちゃんはその糖を使って大きくなるため、出生体重が4,000gを超える大きな赤ちゃんになるリスクがあります。赤ちゃんが大きくなりすぎると、分娩時に難産になりやすく、肩甲難産という、肩が引っかかって分娩が進まなくなるような、難しいお産のリスクも高まります。
2) 新生児低血糖
お腹の中でお臍からの高血糖に慣れていた赤ちゃんは、生まれた瞬間に臍がとれて糖の供給がなくなるため、血糖値がガクッと下がることがあります。重症の場合は治療が必要ですが、分娩直後から血糖値を何回かチェックしていくことで対応できます。
3) 先天性奇形・流産リスク(主に妊娠前からの糖尿病の場合)
妊娠初期からの著しい高血糖は奇形リスクと関連しますが、これは主に妊娠前から糖尿病がある方に関係するリスクです。妊娠中期以降に診断される妊娠糖尿病では、このリスクは低いとされています。
これらは、治療をせずにそのまま放置した場合のリスクであり、実際には適切な管理を行って健康な赤ちゃんを産んでいる方がほとんどです。妊娠糖尿病を診断して血糖を管理することは、赤ちゃんを守るための大切な手段となります。

母体への影響(妊娠高血圧症候群・羊水過多・帝王切開の可能性)
お母さん自身の体にも、いくつかリスクがあります。代表的なものはこちらです。
1) 妊娠高血圧症候群
血圧が上がり、むくみやたんぱく尿が現れる状態のこと。妊娠糖尿病があると発症リスクが高まります
2) 羊水過多
羊水の量が多くなる状態のことです。お腹が大きくなり張りやすくなるリスクがあります。
3) 帝王切開になりやすい
巨大児や合併症のリスクから、経腟分娩が難しくなるケースがあります
4) 糖尿病網膜症
高血糖が続くと目の奥の血管が傷つくことがあり、もともと糖尿病の既往がある妊婦さんはそのリスクが高まります。妊娠で初めて診断される妊娠糖尿病では深刻な症状に陥るリスクは低いものの、視力の変化やかすみ目を感じるようなら早めに主治医に相談を。
赤ちゃんへの影響と同じように、血糖値のコントロールをしっかり行うことでリスクは大幅に軽減できます。次のセクションで具体的な対策をご紹介しますので、一緒に確認していきましょう。
妊娠糖尿病の食事療法|食べていいもの・避けるべき食べ物
妊娠糖尿病の管理において、食事療法は基本となる大切な治療のひとつ。毎食ガマンしなければいけないのでは…と心配になるかもしれませんが、コツを理解し、日常生活の中で無理なく続けていくことが大切です。

血糖値を上げない「分割食」のやり方と1日のスケジュール例
食事療法の中心となるのが「分割食」という食事法です。1日の食事の量を変えずに、1回の食べる量を減らして回数を増やすことで、1回の食事のあとに血糖値が急上昇するのを防ぐ方法です。
1日5〜6食に分けるメリットと具体的な間食の選び方
よくある1日3食の食事の場合には、1回の食事量が多くなるぶん、食後の血糖値が大きく上昇しやすくなります。これを5〜6回に分けてこまめに食事をとることで、1回あたりの糖の吸収量をおさえ、血糖値の波をなだらかにすることができます。これが、分割食の目的です。

crumii編集部 本文よりAIにて作成
ここで間食に選びたいのは、血糖値をゆっくり上げる「低GI食品」。
| おすすめの間食例:無糖ヨーグルト、チーズ、ゆで卵、ナッツ類(無塩)、豆乳、全粒粉クラッカー |
| 避けたい間食例:菓子パン、チョコレート、ジュース・スムージー、白米のおにぎり(単品)、果物の食べすぎ |
妊娠糖尿病の食品選びで注意したいのは、注目すべきは「カロリー」ではないこと。血糖を上げない食品群は、いわゆるダイエット食とは少し違います。
また、果物は一見ヘルシーに見えますが、種類によっては果糖も血糖値を上げやすいものがあります(例:バナナ、メロンなど)。一方で、いちご、梨、りんごなどは低GI食品です。
果物を食べるときは食後に少量、がおすすめです。
*低GI(グリセミック・インデックス)食品:食後に血糖が上がりにくい食品
コンビニでも買える!妊婦さんにおすすめの低GI食品と献立
分割食を実践したいけれど、毎食手作りするのは難しい…仕事をしながらの妊娠だったり、上の子のお世話もある場合にはなおさらです。
低GI食は、コンビニの食材をうまく組み合わせることで、十分に対応できますので、うまく活用しましょう。最近は筋トレ層向けの糖質制限メニューも各社増えていて、選択肢も広がっています。

コンビニ食材でも、工夫次第で血糖値を上げにくい食事の選択が可能 Photo:PIXTA
コンビニで買い物をする時に選びたいもの
サラダチキン:高たんぱく・低糖質で間食にも◎
ブランパン・全粒粉パン:白い食パンよりGIが低く、腹持ちもよい
豆腐・納豆パック:たんぱく質と食物繊維が同時にとれる
無糖ギリシャヨーグルト:腹持ちがよく、血糖値の上昇もゆるやか
温泉卵・ゆで卵:手軽なたんぱく源
野菜スープ・具だくさんみそ汁:食事の最初に食べると血糖値の上昇を抑えやすい
コンビニランチの組み合わせ例
野菜スープ+サラダチキン+ブランパン1個+無糖ヨーグルト
おにぎりだけ、パスタだけ、といった「単品の炭水化物」は血糖値を急上昇させやすい典型例。必ずたんぱく質や野菜と組み合わせることを意識しましょう。
過度な糖質制限はNG?適切なカロリー計算と栄養バランスの重要性
糖質オフダイエットが流行して市民権を得たせいで、糖質や炭水化物を完全にカットすれば良いのでは?と考える方もいらっしゃいますが、妊娠中の極端な糖質制限はおすすめできません。
というのは、糖質は赤ちゃんの脳や体の発育に欠かせないエネルギー源だからです。糖質を極端に減らすと、体が脂肪を燃やして「ケトン体」という物質を作り出します。このケトン体が赤ちゃんの発達に悪影響を与える可能性があることが、研究で示されています。
つまり、妊娠糖尿病を診断された場合、赤ちゃんを育てるための糖質はしっかり摂取しつつ、血糖値が上昇しすぎるほどは取りすぎない、という難しいコントロールが必要になるのです。
妊娠中に必要なカロリーは、妊娠前の体格や活動量によっても異なりますが、おおよその目安は以下の通り。
| 妊娠週数 | 推奨エネルギー付加量 |
| 妊娠初期(~13週6日) | +50kcal/日 |
| 妊娠中期(14週0日~27週6日) | +250kcal/日 |
| 妊娠後期(妊娠28週0日~) | +450kcal/日 |
(参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準2025年版」)
厚労省が示す食事摂取基準を参考にしていますが、その摂取量についても「妊婦さん」というカテゴリをわざわざ作るほど、妊娠中というのは栄養摂取においても特殊な体なのです。
何をどれだけ食べれば良いかはケースバイケースなので、担当の管理栄養士さんに相談するのが一番。妊娠糖尿病の妊婦さんの管理をしている医療機関では、栄養指導の機会が設けられるので、ぜひ積極的に活用してください。
今回は、妊娠糖尿病の赤ちゃん・母体への影響と、食事療法の基本をお伝えしました。
ポイントは1日5〜6食の分割食と低GI食品の活用。極端な糖質制限は赤ちゃんの発育のためにもNGです。次回は「妊娠糖尿病」の最終回として、食事療法だけでコントロールしきれない場合の「インスリン療法」と自己血糖測定のコツ、産後に必要なフォローについても解説します。
▶次回:妊娠糖尿病のインスリン療法と産後のケア|2型糖尿病の予防まで【第3回】
<もっと詳しく知りたい方へ>
糖尿病と妊娠に関するQ&A https://dm-net.co.jp/jsdp/qa/
妊娠糖尿病 日本産科婦人科学会 https://www.jsog.or.jp/citizen/5706/
<参考文献>
「妊娠と糖尿病」母児管理のエッセンス 難波光義 杉山隆 株式会社金芳堂
日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2024 妊婦の糖代謝異常
日本内分泌学会HP 妊娠糖尿病
本記事は3回の連載の1回目です。
第1回:妊娠糖尿病とは?検査の流れと診断基準の数値をわかりやすく解説
第2回:妊娠糖尿病の赤ちゃん・母体への影響と食事療法(この記事)
第3回:妊娠糖尿病のインスリン療法と産後の注意点|2型糖尿病の予防まで
















