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気になるキーワード 「デリケートゾーンの脱毛」

VIO脱毛は本当に必要? 婦人科医が考える「毛の処理」のメリット・デメリット

マンゴーとカミソリの写真

最近、デリケートゾーンの脱毛(VIO脱毛)について、「したほうがいいのか」という質問を多くいただきます。大切なのは、「流行や周囲の価値観」ではなく、自分の体と生活に合った選択をすることです。産婦人科医の立場から、VIO脱毛について「体の仕組み」と「実生活のメリット・デメリット」の両面からお伝えします。

デリケートゾーン(VIO)の毛の役割とは?

デリケートゾーンの毛(陰毛)には、いくつかの役割があります。

① 皮膚の保護

外陰部の皮膚は非常にデリケートで、下着や衣類、歩行や運動による摩擦を受けやすい部位です。陰毛はクッションのような役割を果たし、直接的な刺激を和らげています。

② 感染防御の補助

陰毛は異物(ほこり・細菌など)が直接皮膚や粘膜に入り込むのを防ぐ「フィルター」の役割も担っています。もちろん、これだけで感染を防ぐわけではありませんが、物理的なバリアの一部として機能しています。

③ 蒸れ・温度の調整

外陰部は湿気がこもりやすい環境です。毛があることで汗の拡散や通気性の調整が行われ、極端な湿潤状態を防ぐ働きがあります。

④ 性成熟のサイン

思春期以降に陰毛が生えること自体が、性ホルモンの分泌や身体の成長をあらわすサインでもあります。

デリケートゾーンをさわるデニムを履いた女性
デリケートゾーンの毛には役割もある Photo:PIXTA

VIO脱毛のメリット

続いて、デリケートゾーンを脱毛(VIO脱毛)することで得られやすいメリットを紹介します。

① 衛生面の向上

特に月経時、経血が毛に付着しにくくなるため、清潔を保ちやすくなります。ナプキン使用時の不快感やにおいの軽減を感じる方もいます。

② 蒸れ・かゆみの軽減

適度な量の毛であれば、汗の拡散や通気性の調整が行われ、極端な湿潤状態を防ぐ働きをしてくれます。一方で、毛の量が多いと湿気がこもりやすく、かぶれやかゆみの原因になります。脱毛によって通気性が改善し、外陰部の皮膚炎のリスク低下につながる場合があります。

③ 見た目や自己満足

美容的な観点から、「すっきりして快適」「自信が持てる」といった心理的メリットを感じる女性もいます。

④ 介護・医療の観点

将来的な介護を見据えて脱毛を選択する方もいます。排泄ケアがしやすくなり、清潔保持の負担軽減につながる可能性がありますが、絶対に必要というわけではありません。

ワキや足、腕、デリケートゾーンを脱毛した女性のイラスト
Photo:PIXTA

VIO脱毛のデメリット・注意点

一方で、VIO脱毛にはデメリットや注意点もあります。

① 皮膚トラブル

脱毛後は毛によるバリアがなくなるため、摩擦が直接皮膚に加わります。その結果、

・乾燥
・色素沈着
・かゆみ
・小さな傷や炎症

などがおこりやすくなります。特に敏感肌の方は注意が必要です。

② 感染リスクの変化

毛がなくなることで「清潔になる」と思われがちですが、実際には皮膚が直接外界に触れるため、微小な傷から細菌やウイルスが侵入する可能性もあります。脱毛の処置による毛根の部分への毛嚢炎(もうのうえん:毛穴の炎症)が起こることがあります。

③ 元に戻せない(医療脱毛の場合)

医療脱毛などで毛を大幅に減らした場合、「やっぱり残しておけばよかった」と思っても元には戻せません。年齢やライフステージの変化によって、将来価値観が変わる可能性もあります。

④ 痛み・コスト・通院負担

脱毛には一定の痛みを伴います。また、複数回の施術が必要であり、費用や通院の手間が発生します。

⑤ 性感染症などの予防にはならない

よく誤解されますが、VIO脱毛によって性感染症が予防できるわけではありません。
性感染症予防の基本はコンドームを適切に使用することです。

コンドームのイラスト
性感染症は脱毛で予防できるわけではない。Photo:PIXTA

大切なのは「自分の身体と心」

ここまでを見ると、「結局どちらが良いのか」と迷うかもしれません。
実際のところ、医療的な観点で「絶対に脱毛すべき/すべきでない」という明確な正解はありません。
だからこそ、自分にとってどうするのが一番快適か、脱毛をする前に以下の3つの軸をヒントに考えてみましょう。

1.目的を考える

衛生目的なのか
美容目的なのか
将来の介護を見据えてなのか
目的によって最適な選択は変わります。

2.完全脱毛でなくてもよい

最近は「毛を全てなくす」のではなく、
・毛量を減らす
・生えている毛の形を整える
といった選択も一般的です。これにより、メリットを享受しつつデメリットを最小限に抑えることができます。

3.自分の皮膚の特性を考える

・敏感肌
・アトピー体質
・色素沈着しやすい

こうした方は、脱毛を慎重に検討する必要があります。

一本の道を行く女性と3つに分かれた道を行く女性のイラスト

「毛との付き合い方」は自分で選ぶもの

陰毛は決して「不要な毛」ではなく、体を守る役割を持った毛です。全ての毛をなくす完全脱毛のほかに、「減らす・整える・部分的に残す」といった柔軟な選択肢を持つのも、後悔しないポイントの一つになるでしょう。

もし迷う場合は、皮膚の状態を踏まえて、皮膚科や婦人科で相談するのも良いでしょう。体のことをよく理解したうえで、自分にとって心地よい「毛との付き合い方」を見つけてください。

柴田綾子

この記事の執筆医師

医長

柴田綾子先生

産婦人科

世界遺産15カ国ほど旅行した経験から母子保健に関心を持ち産婦人科医となる。2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修し2013年より現職。女性の健康に関する情報発信やセミナーを中心に活動。著書:女性の救急外来 ただいま診断中!(中外医学社,2017)、産婦人科ポケットガイド(金芳堂,2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社,2021)明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社,2022)

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