手足のしびれ・こわばりにおすすめの漢方薬3選
梅雨どきの湿気や、冷房の効いたオフィスで、なんとなく手足が重だるく感じる…
朝起きたときに指がこわばって握りにくい、長く座っていると足先がじんじんする、そんな小さな違和感が続くと不安になると思います。
年齢とともにこわばりが生じる人もいれば、特に冷えやすい方は、手先・足先の血のめぐりが滞り、しびれやこわばりを感じやすくなることがあります。漢方では、こうした不調を「冷え」「湿気」「血の不足」「加齢」などから見つめ、自分の証に合った整え方を考えていきます。
東洋医学では手足のしびれ・こわばりをどうみる?
東洋医学では、手足のしびれやこわばりは、「気」「血」「水」のめぐりが滞ることで起こるものと考えます。例えば、血が不足する「血虚」があると、手足の末端まで十分に栄養や温かさが届きにくくなり、冷え、しびれにつながります。
また、冷えがからだの内側に入り込んでめぐりを止めてしまう「寒凝」や、湿気によって余分な水分が体にたまる「湿」も、関節のこわばりや重だるさの原因になります。
さらに年齢とともに腎の働きが弱る「腎虚」でも、下半身のしびれや足腰のだるさ、頻尿などが重なりやすくなると考えられています。
そのため、手足の不調には、温める・めぐらせる・余分な水をさばく・加齢に伴う弱りを補う、という視点で証にあった漢方薬を選びます。
Photo:PIXTA
手足のしびれ・こわばりにおすすめ漢方薬の紹介
1.当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
虚証で、血虚と強い冷えがあり、手足の末端が冷えやすく、しもやけ体質の方に向いています。
2.桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
虚証で、関節のこわばりや冷えがあり、湿気や冷えで痛み・動かしにくさが悪化しやすい方に向いています。
3.牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
やや虚証で、腎虚と水滞があり、加齢による四肢のしびれや足腰のだるさ、頻尿が気になる方に向いています。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
手足の先が冷えやすく、しびれやしもやけをくり返しやすい虚証・血虚+寒凝タイプにおすすめです。
【こんな症状に】
手先・足先が冷えてしびれる/冷房で指先がじんじんする/しもやけができやすい/お腹や腰も冷えやすい/寒い日や雨の日に不調が強くなる
【含まれる生薬】
当帰、桂皮、芍薬、木通、細辛、呉茱萸、生姜、大棗、甘草
【特徴・効果】
当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、「血」を補いながら、冷えで縮こまった手足の末端を内側から温めてめぐらせる処方です。
血虚による栄養不足と、寒凝による冷えの停滞が重なり、指先や足先が冷たくしびれるタイプに向いています。
味はやや辛みと苦みがあり、呉茱萸や生姜の温かみのある香りが特徴です。
食前または食間に白湯で飲むと、からだを冷やさず取り入れやすいでしょう。冷房の効いた場所では、手首・足首を冷やさない工夫も添えてみてください。
桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
冷えや湿気で関節がこわばり、動かしにくさや重だるさを感じやすい虚証タイプにおすすめです。
【こんな症状に】
朝、指がこわばって握りにくい/雨の日に関節が重い/冷えると手足が動かしにくい/肩やひざがこわばる/湿気の多い季節に不調が増える
【含まれる生薬】
桂皮、芍薬、蒼朮、附子、大棗、生姜、甘草
【特徴・効果】
桂枝加朮附湯は、冷えを温めながら、湿気によって滞った「水」のめぐりを整え、関節や筋肉のこわばりをやわらげる処方です。
梅雨の湿気や冷房でからだが冷え、手足や関節が重く動かしにくいときに選ばれます。
味は甘草や大棗のやさしい甘みがあり、桂皮のシナモンのような香りと、生姜のほのかな辛みを感じます。
食前または食間に白湯で飲むのがおすすめです。朝のこわばりが気になる日は、起きてすぐに手指をゆっくり開閉し、温めながら動かしてみましょう。
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
加齢とともに足腰の弱りや四肢のしびれ、頻尿が気になり始めた虚証・腎虚+水滞タイプにおすすめです。
【こんな症状に】
足先やすねがしびれる/足腰がだるい/夜間や日中のトイレが近い/下半身が冷えやすい/長く歩くと脚が重くなる
【含まれる生薬】
地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、茯苓、牡丹皮、桂皮、附子、牛膝、車前子
【特徴・効果】
牛車腎気丸は、東洋医学でいう「腎」の力を補い、下半身の冷えや弱り、水分代謝の滞りを整える処方です。
腎虚によって足腰の力が落ち、水滞によって余分な水がたまりやすい方の、四肢のしびれや頻尿に用いられます。
味は地黄の深みのある甘さと、桂皮の温かい香りがあり、少し重みのある薬草らしい風味です。
食前または食間に白湯で飲むとよいでしょう。足元を冷やさない服装や、無理のない範囲での散歩を組み合わせると、下半身のめぐりを助けやすくなります。
まとめ
手足のしびれ・こわばりは、単なる疲れだけでなく、「血」の不足、「寒」による冷えの停滞、「湿」による重だるさ、「腎」の弱りなどが関係していることがあります。
末端の冷えやしもやけ体質には当帰四逆加呉茱萸生姜湯、湿気や冷えで関節がこわばるタイプには桂枝加朮附湯、加齢に伴う四肢のしびれや頻尿には牛車腎気丸が選択肢になるでしょう。
同じしびれでも、冷えが強いのか、湿気で悪化するのか、足腰の弱りや頻尿を伴うのかによって、合う処方は変わります。
梅雨や冷房の季節は、からだを冷やさず、余分な水をため込まない養生も意識してみてください。
自分の証に合った漢方薬を選ぶためにも、医師や漢方に詳しい専門家に相談してみましょう。
※本記事は「漢方と365日。」の協力で作成されました。
【みんなとつくる漢方メディア 漢方と365日。】
難しいと思われがちな漢方をよりわかりやすく、そして自分事にしてほしいという願いからオープンした「漢方と365日。」
漢方体質診断「見つかる!わたしの不調スイッチ」で自分の体質を知ることができるほか、現時点での自分の体や心がどんな状態であるか確認でき、体質に合わせた生活習慣や運動などの養生法を手に入れられる。漢方の処方を受けられる医療機関の検索も可能。

















