アフターピル（緊急避妊薬）はどこで買える？価格・購入方法・オンライン診療まとめ【最短入手ガイド】
アフターピル（緊急避妊薬。以下アフターピル）は、コンドームの破損や避妊をしなかった場合など、予期せぬ妊娠を防ぐために用いられるお薬です。緊急避妊薬は妊娠を完全に防ぐものではありませんが、できるだけ早く服用することで高い確率で妊娠を防げることが示されています。
しかしながら「どこで手に入るのか分からない」「買うのに抵抗がある」といった声も耳にします。
本記事では、アフターピルを必要としている方に、日本国内における購入できる場所や注意点、副作用に関する情報などをまとめました。
アフターピルってなに？基本情報とその仕組み
アフターピルの飲み方と妊娠を防ぐメカニズム
アフターピルとは、性交渉時に避妊をしなかった、もしくは避妊が失敗してしまった際に、妊娠を防ぐために服用する経口避妊薬の一種です。性行為後72時間以内に、1錠内服します。海外で使用されているアフターピルの中には、120時間までというタイプもありますが、日本国内では未承認となっています。本記事では日本で承認済のものを扱います。
アフターピルを利用する事例としては、コンドームの破損・脱落などによる避妊の失敗や、避妊を行わなかったとき、性暴力後の対応など、色々なケースがあります。
日本で承認されているアフターピルの主成分としては、黄体ホルモン製剤であるレボノルゲストレル（ Levonorgestrel ）が使用されています。この薬は通常の低用量ピル（毎日飲むタイプ）とは異なり、一時的に高容量のホルモンを摂取することで、排卵時期のずれを引き起こすことで、妊娠を防ぐとされています。性交時期が排卵前であれば、排卵を遅らせることで受精を回避します。
アフターピルでどのくらい妊娠は防げるの？
アフターピル内服後の妊娠確率は1.3％程度です。ただし、服用が遅れるほど効果は低下します。
重要：性交後「72時間」に服用が必要な理由
緊急避妊薬の服用タイミングはとても重要です。上記の表の通り、レボノルゲストレルの場合、性交後72時間以内に内服しなければなりません。
その理由は、排卵が起こる前に薬剤を作用させる必要があるからです。排卵がすでに起こっていた場合や、内膜が妊娠しやすい状態になっていると、緊急避妊薬の効果は大きく低下してしまいます。（WHOは120時間以内まで有効性ありと報告していますが、それ以上のデータはありません。）
アフターピルはどこで買える？
アフターピルを手に入れるためには、大きく分けて3つの方法があります。
①医療機関での対面診療、②オンライン診療、そして③試験的に導入されている薬局での販売（試験販売）です。それぞれに注意が必要なこともあるので、購入の流れについて解説します。
医療機関（対面診療）で受け取る
もっともオーソドックスな方法です。アフターピルは緊急性が高いため、自宅や職場の近くで処方してもらえる医療機関があれば、できるだけ早く受診しましょう。緊急避妊の場合は予約なしで受け付けてくれるクリニックもあります。
受診する場合のメリットとしては、希望した場合に子宮内膜がどんな状態か（自分が排卵の時期かどうか）をチェックしてもらえたり（エコーは別料金です）、今後の避妊についてなども処方の際に医師に相談できるということが挙げられます。デメリットは休日や深夜など、時間帯によっては医療機関があいていない可能性もあるということでしょうか。
受診から処方薬受け取りまでの流れ
1. 産婦人科・婦人科を受診し、診察・問診
直接クリニックや病院で診察を受け、性交渉の日時や避妊方法の失敗状況を説明します。最終月経（最後にあった生理）の日や持病、アレルギーの有無なども確認されます。必ずしも超音波検査などをするわけではありません。
2. アフターピルの処方
診察後、レボノルゲストレル製剤が処方されます。
3. 院内もしくは院外薬局で受け取る
診療時間内であれば、即日処方・服用が可能です。
オンライン診療で配送してもらう
近年、コロナ禍の影響もあって、スマートフォンやパソコンを使った「オンライン診療」の利用が広がりつつあります。対面の受診が難しい場合や、外出を避けたい方には有力な選択肢ですが、オンライン診療は薬の配送に時間がかかるため、受診のタイミングによっては、72時間以内に薬を受け取れないケースがあるといったデメリットがあります。
オンライン処方の一般的な流れ
1. オンライン診療対応クリニックを探す
ウェブ検索やオンライン診療専門サイトで、アフターピルの処方を行っているクリニックを探します。
2. アプリやウェブで予約
診察の日時を予約し、動画通話やチャットなどで医師の診察を受けます。
3. 処方箋の発行・決済
病院側が電子処方箋を発行し、オンライン決済や代金引換などで支払いを行います。
4. 薬の受け取り
自宅や指定した場所に郵送されることが一般的です。
プライバシー面での配慮はされるので安心を（梱包・匿名配送）
多くのオンライン診療クリニックでは、アフターピルをプライバシーに配慮した梱包（無地の箱や封筒）で発送しています。また、送り主名が個人名表記になっているところもあり、外部からは医薬品と分かりにくい配慮がされています。
薬局での試験販売対象店舗へ行って購入する
受け取りには対象年齢・保護者同伴義務など条件がある
アフターピルは医療機関で医師が処方する医薬品ですが、現在、全国の一部薬局でアフターピルを直接購入できる「試験販売」が行われています。これは厚生労働省の調査研究として試験的に販売が行われているもので、対象年齢は16歳以上、未成年者の場合は保護者の同伴が必要といった条件があります。
薬局の営業時間も17-18時くらいまでのところが多く、受診する時間帯が重要になりますが、試験販売しているのは調剤薬局なので、アフターピルはその場で受け取れます。
事前に必ず電話連絡を
まず事前に電話をして確認をしてから薬局に行き、身分証明書（マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、健康保険証等）を提示します。お薬は、本人しか受け取ることはできません。
研究の同意と健康状態や前回の月経時期などに関する問診に回答し、薬剤師さんと話をしたのちに、アフターピルが処方されます。
こちらの公式サイトから試験販売を行っている薬局が検索できますので、研究であることを理解したうえで、お近くの対象薬局を探してみてください。
（条件のチェックに同意をしないと薬局の一覧は見られないようになっています）
アフターピルの価格は？
アフターピルは自費診療なので保険がききません
アフターピルは自費診療になるので、アフターピル価格は、おおむね8,000円〜16,000円前後と幅があります。
薬の価格に加えて、深夜の受診の場合には深夜対応の追加料金が必要になる場合もありますし、オンライン診療の場合は薬剤を送るための配送料がかかります。
事前にホームページでチェックしたり、電話で問い合わせるなどするようにしてください。
ネット通販・個人輸入での購入は控えて
流通経路のわからないものは偽薬・粗悪品のリスクも
インターネットで「緊急避妊薬 個人輸入」などと検索すると、上記より安い価格で、海外サイトからアフターピルを取り寄せる方法も目にするかもしれません。しかしながら、偽の薬である場合や、保管状態が悪い粗悪品が混在しているリスクが指摘されています。
このため、アフターピルは上記で解説した医療機関、オンライン診療、指定薬局の3つの方法のいずれかで入手するようにしましょう。
副作用・服用後の注意点
主な副作用（頭痛・不正出血・吐き気など）
アフターピルの服用後、以下のような症状がみられることがあります。これらの副作用は一時的で数日以内に軽快することが多いですが、症状が強い場合や長引く場合は、早めに産婦人科を受診しましょう。
・吐き気・頭痛・めまい・倦怠感
・下腹部痛、乳房の張り、軽度の出血
・一時的に月経周期が早まったり、遅れたりすることがあります
・服用後2時間以内に嘔吐した場合、効果が十分でない可能性があり、受診が必要です
緊急避妊薬を服用後に気をつけたいことはある？
アフターピルは飲めば終了ではありません。服用後に気をつけておきたいことがいくつかあります。避妊は100％ではないので、その後妊娠していないかどうかをきちんと確認する必要があるのです。
・妊娠はしていないか？
・性感染症（STI）にかかっていないか？
アフターピルはそこそこ高い避妊効果を期待できますが、100％ではありません。内服して3～4週間後に必ず妊娠検査薬を使って、妊娠してないことを確認しましょう。次の生理のタイミングで出血しても妊娠していることはあります。
実は、妊娠初期に不正出血が起こることはよくあって、生理っぽいタイミングで出血があると「生理がきた！」と思い込んでしまい、妊娠に気づかないことがあります。出血そのものは信用せずに、妊娠検査薬で妊娠していないことを確認しましょう。知らずに妊娠していると大変です。
また、内服後に生理不順が続くなど心配な点があれば、早めに産婦人科を受診して相談を。低用量ピルの内服やミレーナの挿入など、その後の避妊方法についても、相談できるチャンスです。
また、コンドームが破れた場合などは、性感染症（STI）の検査も必要に応じて受けておきましょう。
まとめ：アフターピルへのアクセスは、女性の自己決定においてとても重要
アフターピルが必要な時にすぐ手に入るかどうかは、女性にとって健康や人生設計にかなり大きく関わる問題です。
つい先日、アフターピルが薬局で販売されるための承認申請が製薬会社よりなされました。
産むか、産まないか、いつ産むかは、女性の体に関わるとても大切な自己決定です。crumiiとしても、SRHRの視点から、この動きをとても前向きに捉えています。
今後、国内で市販化が進めば、入手できる場所が増え、より便利にアクセスできるようになるかもしれません。
ただし、アフターピルはあくまで緊急時に使用する薬剤であることは忘れずに。緊急避妊だけで避妊した場合、年間の妊娠率は15％以上になります。常用する薬ではありません。
日常生活においては、低用量ピルやミレーナを使って、より主体的に利用でき、自分に合った避妊法を見つけていくことが大切です。コンドームは相手の男性の主体性によるところが大きく、きちんと装着していたつもりでも妊娠してしまったという方はいます。脱落などのおそれもあり、女性の主体的な「避妊」という視点では不十分であると言わざるをえません。もちろん、性感染症の予防のためにもコンドームはとても大切です。忘れずに装着するようにしましょうね。
【参考文献】
緊急避妊薬の適正販売に係る環境整備のための調査事業 公式HP
緊急避妊法の適正使用に関する指針 日本産科婦人科学会 編（平成 28 年度改訂版）
日本産婦人科医会 緊急避妊について
