
デリケートゾーンのかゆみ原因と対処法|市販薬・セルフケアから受診の目安まで【医師監修】
デリケートゾーンのかゆみは、誰にでも起こり得る身近なトラブル。場所が場所だけになかなか周囲には相談しにくいですよね。「かゆみの原因はなんだろう?」「自分で何かできることはある?」「病院にはいつ行けばいいの?」と、不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、デリケートゾーンがかゆくなる主な原因から、自宅で簡単にできるケア方法、受診の目安までを、わかりやすくお伝えしていきます。
一人で悩まずに、ぜひ日頃からできる対策を知り、あなたの症状や生活に合った解決策を見つけていきましょう。
デリケートゾーンがかゆくなる主な原因と特徴
デリケートゾーンのかゆみはとても不快で気になるものですが、その原因はさまざま。まずは、自分の症状がどれに当てはまるかをチェックしてみましょう。
蒸れや擦れによる「かぶれ」
デリケートゾーンは常に下着に覆われているため、湿気がこもりやすく、皮膚が擦れて炎症を起こすことがあります。特に夏場や生理中、運動後は蒸れやすくなります。特に病気ではなく単純に蒸れや下着の刺激によるかゆみであれば、通気性の良い下着を選び、こまめに着替えるなどのスキンケアの範囲で改善されることも多いです。
感染症によるかゆみ(カンジダ・トリコモナス・ヘルペス)
デリケートゾーンのかゆみを引き起こす感染症もあります。症状により原因が異なるため、かゆみ以外の症状(痛み、おできがあるなど)やおりものの状態で判断し、診断の際にはおりものを検査に出して調べます。これらの症状がある場合は、セルフケアに頼らず婦人科を受診しましょう。
カンジダ症
カンジダ症は、常在菌であるカンジダ菌(カビの一種)が過剰に増殖して起こります。白くポロポロとしたカッテージチーズのようなおりものが特徴で、強いかゆみや赤み、ヒリヒリ感を伴います。妊娠中や糖尿病などのように免疫が低下した際や、抗生剤の内服後など常在菌が死滅した際に、表に出てきやすい感染症です。
トリコモナス膣炎
トリコモナス膣炎は、トリコモナスという寄生虫が原因で起こります。黄色や緑色で泡立つようなおりものが出て、強い臭いと激しいかゆみが特徴です。性交渉で感染するため、パートナーと共に治療を受けることが重要です。
性器ヘルペス
性器ヘルペスは、ヘルペスウイルスが原因で起こります。強い痛みやかゆみを伴う水疱ができるのが特徴的で、座ったり歩いたりしているだけでも痛みを感じたりします。症状が繰り返し再発する場合があります。ストレスや疲れ、免疫力の低下で再発することがあるので、普段からの体調管理が大切です。
ホルモン変化による乾燥(妊娠期・更年期)
妊娠期や更年期など、女性ホルモンの変化によりデリケートゾーンが乾燥してかゆみを感じることがあります。特に更年期は皮膚が薄くなり、刺激を受けやすくなります。専用の保湿剤を使用することで症状を和らげることができます。
ストレスやアレルギーの場合も
ストレスが溜まると免疫が低下することで、デリケートゾーンのかゆみや炎症を引き起こすことがあります。また、洗剤や生理用品の成分が原因でアレルギー反応を起こす場合も少ないですがあります。強いかゆみや赤みを伴ったりといった症状が出たら、使用している製品の使用をやめてみて、様子をみることも大切です。
カミソリ負けや誤ったスキンケアによるかゆみ
VIOを市販の剃刀などでセルフケアしている場合、カミソリ負けや皮膚の刺激、新しく生えてきた毛などによってかゆみが生じることがあります。また、おりものが気になっておりものシートを常用していると、ムレやかぶれの原因になることも。

あなたの症状はどれ?セルフチェック方法
おりものや肌の状態によっては、スキンケアの範囲で改善できる場合と、早めに産婦人科を受診した方が良い場合があります。気になる症状がある場合、どんな症状があるかチェックしてみましょう。また、これらの症状は医師が
おりものの色や量・臭いは?
正常なおりものは透明から乳白色でほぼ無臭です。時期によってはホルモンの影響でネバっとしたものになったりしますが、黄色、緑色、強い臭いがしたり、量が増えたりした場合は感染症の可能性があります。医師に相談する際に伝えると診断がスムーズです。
かゆみ以外の症状はある?(赤み・腫れ・痛みなど)
かゆみに加えて赤みや腫れ、痛みを伴ったり、水ぶくれなどのできものがある場合は、感染症や強い炎症の可能性があります。痛みや腫れが強い場合は、速やかに受診しましょう。
生理中・妊娠中・更年期?
ホルモンの変化が激しい時期には、デリケートゾーンのトラブルが増えます。妊娠中は特にカンジダになりやすいです。特に赤ちゃんに影響のないお薬もあるため、症状がある場合はかかりつけ医に相談してみましょう。また、更年期は蒸れよりも、おりものの量が減ったりしてどちらかというと乾燥によるトラブルが多いので、外陰部の保湿ケアが大切になってきます。
自宅で今すぐできる!正しいデリケートゾーンケア
かゆみが起きたとき、早めの受診が大切ですが、とりあえず自宅でできるスキンケアも、知っておいて損はありません。デリケートゾーンの皮膚は薄くて柔らかく、下着やナプキン、おりものシートによる蒸れなど特殊な環境にさらされています。正しいケアを知って、早めに症状を和らげましょう。
やさしく洗うコツと正しい石鹸の選び方
洗浄する際は刺激の少ない石鹸や専用ソープを使用し、ゴシゴシ擦らずに指の腹で優しく洗いましょう。腟内には乳酸菌などの常在菌がいます。腟の中にまで指を入れたり、シャワーを当てて洗ったりするのはNG。洗いすぎは逆効果なので、1日1回、お風呂のときだけで十分です。
保湿・冷却・通気性確保のポイント
入浴後は専用保湿剤で潤いを与え、冷却ジェルなどでかゆみを抑えます。また、通気性の良い下着を着用し、蒸れを防ぐことが大切です。この際、市販のものでかまいませんが、ボディミルクなどよりは、刺激が少なく、顔のスキンケアに近い化粧水などがおすすめです。
おりものシートは必要な時だけに
おりものシートや尿漏れパッドを毎日のようにつけていると、通気性が悪くなりムレやかぶれの原因になってしまいます。各メーカーが通気性をよくするために努力していますが、できるだけ常用は避けるようにし、つけているときもこまめに新しいものに交換しましょう。
洗いすぎ・かきむしりはNG
かゆみが強いとついかいてしまいますが、かきむしると皮膚が傷つき、細菌が侵入して症状が悪化するおそれがあります。また、前述のように洗いすぎも必要な菌まで落としてしまうので、注意しましょう。

デリケートゾーンのかゆみに効く市販薬、選び方は?
おすすめの市販薬成分(抗ヒスタミン)
かゆみ止めには抗ヒスタミン薬が効果的です。一時的なかゆみの緩和に役立ちますが、根本的な解決には病院受診が必要です。
ステロイドと非ステロイド薬の使い分け
炎症が強い場合はステロイド入りの薬、軽度のかゆみには非ステロイドの薬がおすすめです。ただし、ステロイド薬は長期使用しないよう注意しましょう。
使用前に知っておきたい副作用や注意点
薬剤によっては副作用として刺激感が出る場合があります。説明書をよく読み、症状が改善しない場合は医師に相談しましょう。
妊娠中・更年期特有のデリケートゾーンのかゆみ対策
妊娠期に多い膣カンジダの予防法
妊娠中は免疫力の低下により膣カンジダになりやすくなります。糖分の摂りすぎを避け、通気性の良い衣服を選び、ストレスをためないことが大切です。
更年期に起こる萎縮・乾燥のケア方法
更年期のデリケートゾーンの乾燥は専用の保湿剤を定期的に使い、刺激の少ない石鹸で洗うことで緩和されます。症状が改善しない場合は医療機関を受診しましょう。
デリケートゾーンのかゆみに関するよくある疑問Q&A
かいても大丈夫なの?
かゆいとつい掻いてしまいますが、かくと皮膚が傷つき、症状が悪化する恐れがあります。なるべく冷やすなどして対処するか、デリケートゾーン専用のかゆみ止めを使用して、皮膚に刺激を与えないように心がけましょう。
市販の保湿剤(ワセリンなど)は効くの?
ワセリンは保湿や軽度の炎症には効果的ですが、原因が感染症だった場合、感染症によるかゆみには効果がありません。かゆみ以外の症状があったり、スキンケアを試してみても症状が続いたりする場合は必ず医師の診察を受けましょう。
生理中にかゆみが強くなるのはなぜ?
生理中はナプキンによる蒸れや、経血による刺激でかゆみが強くなりやすいです。経血がついてしまったナプキンは放置しないで適切に交換し、清潔を保っておくことが大切です。
日本と海外の違いから学ぶデリケートゾーンケア
海外では市民権を得ているデリケートゾーンケアアイテム
海外では専用のウェットシートやデリケートゾーン専用ソープが普及しています。低刺激かつ保湿力の高い製品が人気で、日本でも注目されています。かつてはかなり種類が限られていましたが、昨今のフェムテックの盛り上がりに伴い、日本でもさまざまなメーカーからデリケートゾーン専用ソープや専用ワイプなどの商品が増えてきました。香りの選択肢も増えてきているので、シャンプーやボディソープと同じように、自分に合ったものを選んでみましょう。ドラッグストアでは、ボディソープのコーナーや、生理用品のコーナーなどに置いてあります。
日本人が意外と知らないデリケートゾーンケア習慣
欧米ではデリケートゾーンの保湿ケアや脱毛が一般的に行われています。最近は若い人の間でも通気性や衛生面を保つことで、トラブルを防ぐ意識が高まっています。筆者もVIOゾーンの脱毛はしていますが、生理中の経血が毛にからみついたりといった不快なことが減って、とても快適。
女性医師に聞いた「本当に効果的なケア」とは?
まずは、低刺激性の専用洗浄剤を使用した丁寧な洗浄と保湿ケアです。また、化学繊維のものではなく通気性の良い綿素材の下着を選んだり、衣類の素材も通気性の良いものに変えるなど、セルフケアの範囲で蒸れが改善できることもあります。
あまり普及していないものの意外と効果的なのがストッキングをやめて膝下ストッキングやニーハイのタイプに変えてみると、通気性がよくなります。セクシーなイメージのあるガーターベルトですが、こういったケースではけっこう役立ちます。
まとめ:デリケートゾーンのかゆみ予防&対策チェックリスト
かゆみやムレなどの不快な症状は、日々の小さな習慣の積み重ねでもけっこう改善できることがあります。特別なケアをしなくても、毎日の下着選びや入浴時の工夫、ちょっとした気づかいだけでも変化を感じられることも。今日からできるセルフケアのポイントや、日常生活で気をつけたいことをまとめました。
今すぐ実践できるセルフケア習慣一覧
まずは、誰でも今日から始められる基本のセルフケアです。肌への刺激やムレを防ぐだけでも、かゆみの予防につながります。
・通気性の良い下着(綿やシルク素材)を着用
・専用の洗浄剤を使ってやさしく洗う
・おりものシートは常用せず、こまめに交換する
・適切な保湿ケアを取り入れる
・ストレスをためない、バランスのよい生活習慣
日常で注意すべきポイントと予防策まとめ
日常のちょっとした行動や習慣にも、かゆみの原因になるものがあります。意識して改善するだけでも、症状の悪化を防ぐことができます。
・ナプキンやおりものシートはこまめに交換し、清潔を保つ
・洗いすぎや掻きむしりは肌のバリアを傷つけるため避ける
・少しでも「いつもと違う」と感じたら早めに婦人科を受診する
・自分の症状や状態を日々の中で意識し、変化に気づくことが大切
しつこいかゆみがあれば迷わず受診を
セルフケアで改善しない、繰り返す、強いかゆみがある…そんなときは、自己判断せず早めに婦人科へ相談してください。性感染症が原因だった場合、放置すると将来の不妊や流産のリスク、パートナーへの感染につながることもあります。
「恥ずかしい」「そのうち治るかも」と先延ばしせず、自分の体を守るための第一歩として、遠慮なく受診して大丈夫です!