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過多月経の治療はどう選ぶ?ピル・ミレーナ・手術と後悔しない選び方【②治療編】

 

選択肢に迷う二人の女性

前回の記事では、過多月経のセルフチェックや隠れている病気、放置した場合のリスクについて解説しました。

>>前編の記事はこちら「生理の量が多いのは病気?過多月経の原因・チェックと治療の選び方」

第2回の記事では、「自分は過多月経かもしれない」と気づいたら、じゃあどうすればいいのかについて解説していきます。

過多月経の治療は、ひと昔前に比べて選択肢がかなり広がっています。毎日飲む錠剤の薬もあれば、一度入れたら5年間効果が続くデバイスもある。妊娠の希望があるかどうか、体質や持病、ライフスタイルによっても、合う治療は人それぞれです。

※編集部注:この記事では、疾患名の表記以外、月経のことを「生理」という表現に統一しています。

あなたに合った方法は?治療の選択肢を解説

過多月経治療の目的は、出血を減らして、生理中のQOL(クオリティ オブ ライフ)の低下を改善し、生理中でも普段の生活と同じような生活に近づけることです。。治療は、原因になるもの(筋腫など)があるか、直近の妊娠希望があるか、持病や体質に合うかどうかによって選択肢が変わってきます。

薬物療法(低用量ピル・ジエノゲストなど)

過多月経の治療法として、よく出てくるのがピル。検索すると種類が多くて混乱しますが、ポイントは、同じように見えて、位置づけが違うものが混ざっていることです。

ピルの違いについてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、合わせてどうぞ。
①基本編|ピルの違いを徹底比較!目的・成分・世代でわかる自分に合うピルの選び方
②種類比較編|ピルの違いを徹底比較!目的・成分・世代でわかる自分に合うピルの選び方
③お悩み・実用編|ピルが合わない・副作用がつらい時は?ジェネリック変更やオンライン処方の注意点

ピル

ピルの要点をちょっとだけおさらいしておきましょう。

1)「OC」と「LEP」:日本での扱いの違い

日本の低用量ピルには大きく分けて、2つの種類があります。
OC(経口避妊薬):主に避妊目的(多くは自費)
LEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬):月経困難症などの治療目的で保険適用の枠で使われる 

つまり「成分が似ていても、診断名と目的によって扱いが変わる」ことがある、ということです。

2)ピルの中身の違い:何が違うと、何が変わるの?

含まれる黄体ホルモン(プロゲスチン)の種類
むくみやすさ、肌(ニキビ)、PMSの緩和など、作用に個人差が出ます。

飲み方(21日飲んで7日お休み、24日飲んで4日お休み、連続投与など)
ピルには休薬期間といって薬をお休みする期間があります。出血の回数を減らしたい、PMS症状を減らしたい、など目的によって選ぶことがあります。
 

一相性・三相性
1周期のホルモン量の設計が違います。生理の移動をしたいと考えている方は、一相性の方が移動しやすいです。

3)過多月経に対するピルの位置づけ

低用量ピルは、子宮内膜が厚くなりすぎるのを抑え、出血量をコントロールする目的で用いられます。ただし、あなたの過多月経の背景にある要因が子宮筋腫なのか、排卵の乱れなのか、あるいは別の疾患なのかで対応が変わります。自己判断はしにくいですから、産婦人科にまず行って欲しい最大の理由です。

4)ジエノゲストは「ピルと似て非なる薬」

ジエノゲストは黄体ホルモン系の治療薬で、主に子宮内膜症や子宮腺筋症の痛み・出血に使われる薬です。相性が合えば生理が無くなり、生理フリーで過ごすことができます。「前に試したピルが合わなかったから次も無理」と思い込んで、婦人科を敬遠している人もたまにいるのですが、もったいないです。別のホルモン治療に切り替える余地があるのが大事なポイントです。

大切な注意:低用量ピルは、体質や持病によっては使えないことがあります。特に血栓症リスクなど、医師が必ず確認しますので、喫煙・片頭痛・家族歴なども含めて正直に伝えてください。

コスパの高さで注目される「IUS(ミレーナ)」

ミレーナのイラスト

ミレーナは子宮に入れるデバイス

「薬を毎日飲むのがつらい」「とにかく経血の量を大きく減らしたい」「しっかり避妊をしたい」という方に、非常に強力な選択肢が子宮内黄体ホルモン放出システム(LNG-IUS)。

子宮の中に小さな器具を入れ、子宮内膜中心に直接黄体ホルモンを効かせる仕組みになっていて、この器具からじわじわとホルモンが放出されることで、子宮内膜を薄く保つ働きをするデバイスです。

内服するピルとは異なり、全身へのホルモン影響が比較的少なく、経血量を大きく減らすことが期待できます。受精卵の着床を阻害する働きもあるので、避妊も同時にしたい方には合理的な選択肢になりえます。1回挿入すると5年間効果が続くため、コスパが高く若い方にも活用されています。

条件によっては手術という選択も

薬やIUSで十分に改善しない、大きな筋腫など構造的な原因がはっきりしている場合には手術も選択肢になります。

手術中の医師たちのイラスト

Photo:PIXTA

1)原因になっているものを切除する手術

過多月経に隠れている病気の3大原因「子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮内膜ポリープ」のうち、子宮筋腫や子宮内膜ポリープについては手術で取ることができます。これらが過多月経の主犯だろうとわかっている場合には、術後に過多月経が改善されるケースも。
そもそも子宮筋腫やポリープなどは、サイズや場所によっては将来の妊娠に影響するケースもあるため、過多月経に限らず将来の妊娠に備えて切除をすすめられることもあります。

2)子宮内膜アブレーション(焼灼術)

子宮を残しながら、内膜そのものを焼いて薄くする処置です。
薬やミレーナで十分な効果が得られなかった場合の次の選択肢として位置づけられることがあります。子宮をとってしまう全摘よりも身体的負担が小さく、入院期間も短い傾向があります。ただし、将来の妊娠を希望しない方が対象となります。効果には個人差があり、症状が再発するケースもあります。

3)子宮をとる手術

将来の妊娠を希望しない場合、子宮そのものを取る手術を行うケースもあります。根治性は高いです。生理もこなくなります。 以下のようなときは子宮摘出を検討します。

・今後の妊娠を希望しない
(「もう産まないと決めている」「妊娠の可能性を残す必要がない」など)

・過多月経による困りごとが重い
例:貧血が進む/鉄剤でも追いつかない、仕事や生活が回らない、漏れへの恐怖で外出ができない、など

・原因がはっきりしていて、子宮を残す治療で十分に改善しない・できない
例:筋腫や腺筋症などで症状が強く、薬やミレーナでコントロールが難しい、または副作用や体質で使えない

・本人が「根治」を強く希望している

まとめ|まずは原因を見つけ、自分に合った治療の選択を

ここまで、過多月経の治療には、低用量ピルやジエノゲストといった薬物療法、経血量を大きく減らせるミレーナ(IUS)、原因がはっきりしている場合の手術など、さまざまな選択肢について解説してきました。どれが一番、というものはなく、妊娠希望の有無やライフスタイル、体質によって合う治療は人それぞれ。最終的には、診察や検査で原因を確認しながら、医師と方針を相談して決めていくことになります。

とはいえ、いざ婦人科に行くとなると不安に感じる方も多いはず。次回の記事では、受診前に準備しておきたいポイントや当日の検査の流れ、よくある質問をまとめます。婦人科に行く前のお守りがわりに、ぜひ読んでみてください。

この記事は、3回連載のうちの2回目です。

<参考文献>
英国診療ガイドライン 
バイエル薬品株式会社 ミレーナ公式サイト
 

柴田綾子

この記事の監修医師

医長

柴田綾子先生

産婦人科

世界遺産15カ国ほど旅行した経験から母子保健に関心を持ち産婦人科医となる。2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修し2013年より現職。女性の健康に関する情報発信やセミナーを中心に活動。著書:女性の救急外来 ただいま診断中!(中外医学社,2017)、産婦人科ポケットガイド(金芳堂,2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社,2021)明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社,2022)

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