耳鳴りにおすすめの漢方薬3選
季節の変わり目や梅雨のじめじめした時期になると、なんとなく耳の奥で音が響くように感じたり、静かな場所で耳鳴りが気になったりしていませんか?
雨の日が続く朝、頭が重たく感じたり、ふわっとしためまいをともなったりすると、いつもの不調がいっそうつらく感じることもあるでしょう。
耳鳴りは耳だけの問題に見えて、実は体全体のバランスの乱れが関わっていることも少なくありません。そういった場合、漢方や養生を取り入れてみるのはいかがでしょうか。
医療機関を受診すべき耳鳴りとの区別
漢方のご紹介の前にお伝えしておきたいことがあります。
耳鳴りの中には、できるだけ早く耳鼻咽喉科などの医療機関を受診したほうが良いケースがあり、これらに当てはまる場合は早めに受診して医師の診断を受けましょう。対応が遅れると聴力が戻りにくくなるため、受診を急いだ方が良い疾患もあるためです。
以下のような症状の場合は、自己判断で漢方薬のみに頼らず、まずは医師の診察を受けましょう。
突然、片耳が聞こえにくくなった/耳鳴りが急に始まった
突発性難聴の可能性があります。発症から治療開始までの時間が回復の度合いを左右するとされ、できれば発症から1週間以内、遅くとも2週間以内の受診が望ましいといわれています。
回転性のめまい・吐き気をともなう
メニエール病や前庭神経炎などの内耳疾患、あるいは脳の病気が関わっていることがあります。特に「ぐるぐる回るめまい」が繰り返し起こる場合や、片側の難聴・耳のつまり感を伴う場合は、早めに耳鼻咽喉科での検査が必要です。
激しい頭痛・ろれつが回らない・手足のしびれ
・ものが二重に見えるなどの症状をともなう
脳梗塞や脳出血など、脳血管障害のサインである可能性があります。この場合は耳鼻咽喉科ではなく、救急外来や脳神経内科・脳神経外科を速やかに受診してください。「FAST(顔のゆがみ・腕の麻痺・言葉の障害・発症時刻)」を意識し、一刻を争う対応が必要です。
拍動性の耳鳴り(ドクドク・ザーザーと脈に合わせて聞こえる)
血管性耳鳴りと呼ばれ、動脈硬化や血管の異常、高血圧などが背景にあることがあります。心臓の拍動と同期して聞こえるタイプの耳鳴りは、画像検査が必要になる場合もあるため、放置せず医療機関に相談しましょう。
耳だれ・耳の強い痛み・発熱をともなう耳鳴り
中耳炎や外耳炎など、感染症による耳鳴りの可能性があります。抗菌薬などの治療が必要になるため、耳鼻咽喉科を受診してください。
漢方薬は、こうした急性疾患を除外したうえで、慢性的な耳鳴りや体質的な背景にアプローチしようとするときに力を発揮します。まずは「急を要する耳鳴りではないか」を医師に確認したうえで、自分の証に合った養生や漢方薬を取り入れるようにしましょう。
東洋医学の観点から耳鳴りを解説
東洋医学では、耳鳴りは「気・血・水」の巡りや不足、そして「腎」など五臓の異常によって起こると考えます。
たとえば、余分な水分が体内にたまる「水滞」があると、頭まわりが重だるくなり、めまいや耳鳴りにつながりやすくなります。
また、血の不足である「血虚」では、耳や脳に十分な栄養が届きにくくなり、かすかな音が続くように感じることがあります。
さらに、加齢や疲れの蓄積で生命力の土台とされる「腎」が弱る「腎虚」も、耳鳴りと深く関わる代表的な状態です。
大切なのは、同じ耳鳴りでも原因となる証は人それぞれ違うため、体質に合った整え方を選ぶことです。
おすすめ漢方薬3選を紹介
1.釣藤散(ちょうとうさん)
高血圧傾向があり、頭痛や朝方の頭重感をともなう耳鳴りに向くタイプです。
2.当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血虚と水滞が重なり、冷えやむくみ、貧血傾向、めまいをともないやすい耳鳴りに適します。
3.八味地黄丸(はちみじおうがん)
腎虚や加齢にともない、足腰のだるさや頻尿、夜間尿をともなう耳鳴りにおすすめです。

耳鳴りにおすすめ漢方薬の解説
釣藤散(ちょうとうさん)
高血圧傾向・頭痛をともない、朝方に頭が重く感じやすいタイプの方におすすめです。
【こんな症状に】
頭の中でジーッという音がする/朝起きると頭が重たい/肩や首がこりやすい/イライラしやすい/頭痛をともないやすい
【含まれる生薬】
釣藤鈎、石膏、陳皮、半夏、麦門冬、茯苓、人参、防風、菊花、甘草、生姜
【特徴・効果】
釣藤散は、上にのぼりすぎた気を落ち着かせ、頭部の熱っぽさや張りをやわらげながら、耳鳴りや頭痛を整えていく処方です。とくに、気の高ぶりや水の滞りが重なって、頭重感やめまいを起こしやすい方に向いています。ややさっぱりとした飲み心地の中に、ほのかな苦みや清涼感が感じられるのも特徴です。食前または食間に、白湯でゆっくり服用するとよいでしょう。頭が重い朝に取り入れるのもおすすめです。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血虚と水滞があり、冷え・むくみ・貧血傾向をともなう耳鳴りタイプの方におすすめです。
【こんな症状に】
耳鳴りと一緒にふらつきやすい/顔色が冴えず疲れやすい/手足が冷えやすい/夕方になるとむくみやすい/雨の日や梅雨時に不調が出やすい
【含まれる生薬】
当帰、芍薬、川芎、白朮、茯苓、沢瀉
【特徴・効果】
当帰芍薬散は、足りない血を補いながら、体内にたまった余分な水をやさしくさばくことで、耳鳴りやめまい、頭重感を整えていく処方です。血と水のバランスを整えるため、冷えやすく、むくみやすい虚弱タイプの女性によく合います。味わいは比較的やさしく、ほんのり土っぽさや穏やかな甘みを感じることがあります。食前または食間に服用し、冷たい飲み物ではなく白湯でとると、体を冷やしにくく続けやすいでしょう。
八味地黄丸(はちみじおうがん)
腎虚や加齢によって、足腰のだるさや頻尿、夜間尿をともなうタイプの方におすすめです。
【こんな症状に】
年齢とともに耳鳴りが気になってきた/足腰がだるく踏ん張りにくい/夜中に何度もトイレで目が覚める/疲れると耳鳴りが強くなる/下半身が冷えやすい
【含まれる生薬】
地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、茯苓、牡丹皮、桂皮、附子
【特徴・効果】
八味地黄丸は、加齢や慢性的な疲れで弱りやすい「腎」のはたらきを補い、体の内側から衰えを支えることで耳鳴りを整えていく処方です。気・血・水の土台を支えるような考え方で用いられ、足腰のだるさや排尿トラブルをともなう方に向いています。深みのある風味の中に、ほのかな甘みと温かみのある香りが感じられるのが特徴です。食前または食間に白湯で服用し、冷えやすい方はとくに体を温めるタイミングで取り入れるとよいでしょう。
まとめ
耳鳴りは、東洋医学では「気」の逆上や滞り、「血」の不足、「水」の偏り、さらに「腎」の弱りなど、いくつかの要因が重なって起こる不調と考えます。
とくに季節の変わり目や梅雨は、湿によって水の巡りが乱れやすく、頭重感やめまいをともなう耳鳴りが出やすい時期です。
そのため、耳鳴りという同じ症状でも、頭痛が強いのか、冷えやむくみがあるのか、加齢にともなう衰えが目立つのかによって、合う処方は変わってきます。
自分の証に合った漢方薬を選ぶことが、無理なく整えていくための第一歩です。
気になる症状が続くときは、医師や漢方に詳しい専門家に相談しながら、自分に合う漢方を見つけていきましょう。
※本記事は「漢方と365日。」の協力で作成されました。
【みんなとつくる漢方メディア 漢方と365日。】
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<参考文献>
厚生労働省HP 突発性難聴について

















