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頻尿・尿もれにおすすめの漢方薬3選

トイレへ焦る人形とタイトル表示

会議中や移動中にも「急にトイレへ行きたくなったらどうしよう」と、なんとなく落ち着かなくなることはありませんか? くしゃみをした拍子に漏れるのが怖くて、長距離の外出や運動を控えてしまう方もいるでしょう。

年齢だけではなく、産後の女性など、頻尿や尿もれの悩みを抱える人は意外と多いです。なかなか人に相談しづらい悩みですが、冷えや疲れ、ストレスなど、心と体の状態が関係していることもあります。自分の体質を見つめながら、漢方や日々の養生で内側から整える方法を考えてみましょう。今回は、尿もれと漢方について解説します。

専門医を受診したい頻尿・尿もれの兆候とは?

まず、漢方薬を検討する前に、治療が必要な病気が隠れていないか確認しておきましょう。頻尿や尿もれの相談は主に泌尿器科です。ここでは、医師に相談した方が良い症状と診療科について、ご紹介します。

①血尿・排尿時の痛み・尿の濁りを伴う頻尿 — 泌尿器科

尿に血が混じる、排尿時に痛む、尿が濁る、トイレへ行ってもすっきりしないといった症状は、膀胱炎などの可能性があります。血尿は重要な病気のサインになることもあるため、早めに泌尿器科を受診しましょう。

②発熱・強いだるさ・腰や背中の痛みを伴う — 泌尿器科・内科

頻尿や排尿痛に、発熱、強いだるさ、腰・背中の痛みが重なる場合は、腎臓まで感染が広がっている可能性があります。できるだけ速やかに医療機関を受診してください。

③強い喉の渇き・尿量の増加・体重減少を伴う — 内科・糖尿病内科


水分を多くとっているのに喉が渇く、一回の尿量が多い、食事量を変えていないのに体重が減るといった場合は、糖尿病などが関係していることもあります。内科または糖尿病内科で相談しましょう。

④膣から何かが下がる感覚や股の違和感がある — 婦人科・女性泌尿器科


股の間に何かが挟まっているように感じる、膣からものが出てくる、尿が出にくいといった症状がある場合は、骨盤臓器脱の可能性もあります。婦人科や女性泌尿器科を受診しましょう。

⑤尿意があるのに尿がまったく出ない — 救急外来・泌尿器科

下腹部が張って苦しいのに尿が出ない場合は、膀胱にたまった尿を排出する処置が必要になることがあります。様子を見ず、救急外来や泌尿器科を受診してください。

股間を押さえて尿を我慢する女性
Photo:PIXTA

東洋医学の観点から頻尿・尿もれを解説

東洋医学では、排尿をコントロールする力には、成長や生殖、水分代謝を担う「腎」が深く関わると考えます。腎の働きが弱った「腎虚(じんきょ)」になると、尿をためておく力が低下し、頻尿や夜間尿、尿もれに加えて、腰や足のだるさが現れやすくなります。

さらに、体を温める「気」が不足したり、余分な水分が滞る「水滞(すいたい)」が重なったりすると、下半身が冷えて症状が悪化することもあります。ストレスによって気の巡りが乱れ、膀胱の感覚が過敏になっている場合もあるため、その人の体質や不調の組み合わせを示す「証」を見極めることが大切です。

おすすめ漢方薬3選

1.八味地黄丸(はちみじおうがん)
体力が低下した虚証で、夜間尿や頻尿に加えて足腰のだるさ、腰痛、下半身の冷えが気になる腎虚タイプに適しています。
2.清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
虚証から中間証で、神経質になりやすく、残尿感や頻尿がストレスや疲れによって悪化しやすいタイプに適しています。
3.苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)
体力が低下した虚証で、余分な水分がたまり、腰から下が冷えて頻尿や尿もれが悪化しやすいタイプに適しています。

おすすめ漢方薬3選と症状の解説

八味地黄丸(はちみじおうがん)

体力が低下し、腎虚による夜間尿や足腰の衰えが気になるタイプにおすすめです。

【こんな症状に】
夜中に何度もトイレへ起きる/日中もトイレが近い/腰や足が重くだるい/下半身が冷えやすい/疲れると尿もれが気になる
【含まれる生薬】
地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、茯苓、牡丹皮、桂皮、附子
【特徴・効果】
八味地黄丸は、不足した腎の力を補いながら、水分の巡りを整え、桂皮や附子によって体の内側を温める処方です。腎の陽気が不足した「腎陽虚(じんようきょ)」に用いられ、冷えや腰痛、下肢のむくみを伴う夜間尿や排尿トラブルに適しています。
地黄の土を思わせるような甘みとほろ苦さに、桂皮のシナモンに似た香りと、わずかな辛みが重なります。一般的には食前または食間に、ぬるめの白湯でゆっくり飲むとよいでしょう。

清心蓮子飲(せいしんれんしいん)

疲れやすく神経質になりやすい方で、ストレスや疲れとともに残尿感や頻尿が気になるタイプにおすすめです。

【こんな症状に】
トイレへ行ってもすっきりしない/緊張すると何度も尿意を感じる/疲れると症状が強くなる/口の中が乾きやすい/眠る前に尿のことが気になる
【含まれる生薬】
蓮肉、麦門冬、茯苓、人参、黄耆、黄芩、地骨皮、車前子、甘草
【特徴・効果】
清心蓮子飲は、心身を動かす「気」を補いながら、こもった熱を穏やかに冷まし、水分の巡りを整える処方です。疲労感や口の乾きがあり、残尿感や頻尿、排尿しにくい感覚を伴う場合に用いられ、精神的な緊張が関わる尿トラブルにも向いています。
蓮肉や人参、甘草によるやわらかな甘みの中に、黄芩や地骨皮のほろ苦さを感じる、落ち着いた草木の風味です。空腹時に白湯で服用し、慌ただしい朝や緊張しやすい予定の前も、焦らず落ち着いて飲むことを意識しましょう。

苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)

腰から下が冷え、余分な水分が滞ることで、冷えるほど尿の悩みが悪化するタイプにおすすめです。

【こんな症状に】
腰やお尻が冷たく感じる/寒い日にトイレが近くなる/足元が冷えると尿もれが心配/下半身が重く感じる/温めると少し楽になる
【含まれる生薬】
茯苓、乾姜、白朮、甘草
【特徴・効果】
苓姜朮甘湯は、乾姜で体の深部を温めながら、茯苓と白朮で滞った「水」を巡らせる処方です。冷えと水滞が重なり、腰から下が水につかったように冷たく重いと感じる方の下半身の不調に用いられます。乾姜には体内の冷えた余分な水分を温めながら取り除く働きがあると考えられています。
乾姜のピリッとした辛みとショウガの香りに、甘草のまろやかな甘みが加わった、温かみのある風味です。食前または食間に温かい白湯で飲み、腹部や腰、足首を冷やさないように過ごすとよいでしょう。

頻尿・尿もれにおすすめの漢方薬まとめ

頻尿や尿もれは、東洋医学では、尿をためて排出する力に関わる「腎」の弱りや、体を温める気の不足、余分な水分が滞る水滞などから起こると考えます。季節によっては寒さで気や水の巡りが悪くなり、下半身の冷えとともに症状が目立ちやすくなります。

足腰のだるさがあるのか、ストレスで悪化するのか、冷えるとトイレが近くなるのかなどによって、適した処方は異なります。東洋医学では、症状だけで選ぶのではなく、自分の「証」に合った漢方薬を選ぶことが大切です。気になる症状が続くときは、医師や漢方に詳しい専門家へ相談してみましょう。

<参考文献>
日本泌尿器科学会公式HP
排尿痛がある、排尿時に痛い
尿が全く出ない
日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会 女性下部尿路症状 診療ガイドライン
糖尿病情報センター 公式HP

※本記事は「漢方と365日。」の協力で作成されました。
漢方と365日

【みんなとつくる漢方メディア 漢方と365日。】
難しいと思われがちな漢方をよりわかりやすく、そして自分事にしてほしいという願いからオープンした「漢方と365日。」
漢方体質診断「見つかる!わたしの不調スイッチ」で自分の体質を知ることができるほか、現時点での自分の体や心がどんな状態であるか確認でき、体質に合わせた生活習慣や運動などの養生法を手に入れられる。漢方の処方を受けられる医療機関の検索も可能。
 

この記事の監修医師

丸の内の森レディースクリニック

吉住奈緒子先生

大阪大学医学部医学科卒。 大阪府立急性期・総合医療センター、厚生労働省医系技官などを経て、現在は東京女子医科大学附属東洋医学研究所 助教。 専門は公衆衛生、東洋医学。毎週火曜日、丸の内の森レディースクリニックで漢方外来を担当。

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