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「食の選択」が、自分と地球の健康をつなぐ 食と腸から考える、新たな健康リテラシー「プラネタリーヘルス」
「体によい食べ物とは」「腸にいい〇〇」と聞けば、ちょっと気になる…。
でも、次々と新しい健康情報に触れるほど、「結局、今の自分は何を選べばいい?」と迷うことはありませんか。
本当に大切なのは「正解」を一つ覚えることではなく、流行に流されない根本的な考え方を知り、自分の状況に応じて選択できることなのかもしれません。
健康の土台といわれる、「食」と「腸」。ここから健康を考えていくと、私たちの健康は、食を育む環境とも切り離せないことが見えてきます。
そこで知っておきたい新たなヘルスリテラシーの一つが、「プラネタリーヘルス(Planetary Health)」1です。
今回は、crumii編集長の宋美玄医師と共に、医師で一般社団法人プラネタリーヘルスイニシアティブ代表理事、女神の森ライフスタイル研究所理事の桐村里紗先生に、「食」と「腸」から考えるプラネタリーヘルスについてお話を伺いました。
なぜ私たちの体は、環境と切り離せないのか
私たちの体は、日々口にする食べ物からできています。
野菜も米も、肉も魚も、もとをたどれば、土や水、そして目には見えない微生物など、自然の営みの中で育まれたものです。
その食べ物は消化され、栄養素の多くは小腸で吸収されて全身へと運ばれ、エネルギーや体をつくる材料になります。
さらに、食べ物や水だけでなく、目や耳、鼻など五感を通して、外側の環境からさまざまなものを取り入れながら生きています。

Photo:PIXTA
「プラネタリーヘルス」1とは、人の健康と地球環境や自然のシステムを切り離さずに捉える考え方。2015年に医学雑誌『The Lancet』で報告書が発表されるなど、国際的に議論が進められています。
桐村先生は、この考え方についてこう話します。
「プラネタリーヘルスというと、壮大な環境問題の話だと思われるかもしれません。でも、人の健康やウェルビーイングと自然環境は一体です。
環境から取り入れたもので私たちの心身は成り立っています。だから環境の問題は、巡り巡って自分の健康にも還ってくるという原理原則に立ち返りたいんですね。結局、自分の問題でもあるんです」
「もっとも身近な自然環境」は、お腹の中にある

Photo:PIXTA
では、その環境とのつながりを、もっと身近なところから考えてみましょう。
桐村先生は、こう話します。
「一番身近な『環境』って何だろうと考えたとき、それは外側の環境というより、私たちの内側にありながら外側の環境とつながっている『腸内環境』なんです」
腸には食べ物など外から入ってきたものが集まり、多種多様な腸内細菌が生息しています。
そして、腸内環境を考えると、まず「何を食べる?」という毎日の選択に行き着く。さらに、その食べ物をたどれば、それを育む「土」へとつながります。
「腸」と「土」にある、意外な共通点
さらに興味深いのが、「腸」と「土」の共通点です。
腸と同じように、植物を育む土の中にも、多種多様な微生物が生息しています。健やかな土と健やかな腸。どちらも「微生物の多様性」という土台に支えられています。
そして、この二つの環境を日々つないでいるのが「食」です。その食材は「どんな土地や気候風土の中で育ち、どのように製造・輸送・加工されるか」。
こう考えると、「環境のために何かを我慢する」話ではなくなります。
自分のために腸を整える。そのために食を選ぶ。その食の向こうにある土や自然環境にも少し目を向ける。
実はそれが、自分の健康と地球の健康を同時に考える、プラネタリーヘルスにつながる腸活なのです。
「食の選択」は、大きな環境アクション
Photo:PIXTA
そして「食の選択」は、自分の健康からの目線だけでなく、環境の視点から見ても重要です。理由の一つは、食が、私たち一人ひとりが日々できる、最大の環境インパクトだからです。
環境活動家のポール・ホーケン氏が、研究者らとまとめた気候変動対策の書籍『ドローダウン』では、食品ロスの削減や植物性食品を取り入れる食生活など、食料問題の解決策を実行できれば最大の温室効果ガス削減になるとされています。2
同時に、食の選択は投票でもあります。
どんな農法、どんな輸送方法、どんな加工方法で作られた食べ物を選択するか。
私たちは、ただの消費者ではなく、その市場を拡げることにも無自覚に貢献しているのです。
「植物性食品」が、腸にも地球にも注目される理由
一般的に、動物性食品、特に牛肉などは、植物性食品に比べ、家畜を育てるだけでなく、その飼料をつくるためにも土地や水、エネルギーを必要とするため、環境負荷が大きくなる傾向があります。(2)
もちろん、「肉を食べてはいけない」という話ではありません。

一般財団法人 女神の森ライフスタイル研究所『腸活フードプランナー講座』教材テキストより
一方、環境負荷が少ない植物性食品には、野菜、豆類、海藻、きのこ、穀類などの腸内細菌に利用される食物繊維が多く含まれます。
腸を整える選択が、そのまま環境にもやさしい選択になり得る。そう気づけると、次に「何を食べるか」を考えるのが、ぐっと身近になります。
「じゃあ、何を食べる?」ヒントは、いつもの食卓に
腸にも環境にも配慮した食事——と聞くと、何か特別な食事法を想像するかもしれません。でも、ヒントは身近な和食にもあります。
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桐村先生がすすめるのは、「ご飯+具だくさんの味噌汁+一品」。
米と味噌の組み合わせは、食物繊維とアミノ酸バランスの両面から見ても理にかなった、伝統の知恵です。具だくさんの味噌汁なら、野菜やきのこ、海藻なども一緒に摂れます。
また、味噌や醤油、納豆、漬物など、発酵食品、四季の恵みを日々の食卓に取り入れやすいのも和食の特徴です。
食材選びに迷ったら、健康的な食生活に役立つ食材の頭文字をとった「まごわやさしいこ」を思い出すのも一つです。腸内細菌のエサになる食物繊維などを含む、多様な食材を日常に取り入れてみるのもよいでしょう。
【図:まごわやさしいこ食材】
一般財団法人 女神の森ライフスタイル研究所『腸活フードプランナー講座』教材テキストより
世界も注目する、和食という選択
こうした植物性食品を多く取り入れる和食は、人と地球の双方の健康を考え、世界各国の研究者からなる「イート・ランセット委員会(EAT-Lancet Commission)」が提唱した「プラネタリーヘルスダイエット」3と重なる点があります。植物性食品を中心にしながら、肉や魚、乳製品を排除するのではなく、地域の食文化や個人の状況に応じて取り入れていく、柔軟な食事パターンです。
世界的にも推奨される方向性が、もともと和食に備わっていた——。
そう捉えると、腸にも環境にもやさしい食事へのハードルが下がるのではないでしょうか
【図:プラネタリーヘルスダイエット 1日の食事の目安】
一般財団法人 女神の森ライフスタイル研究所『腸活フードプランナー講座』教材テキストより
「腸にいい○○」だけじゃない。微生物を元気にする腸活へ
腸活で大切にしたいのは、一つの食品に頼るのではなく、腸内細菌をはじめとする多様な微生物が働きやすい環境をつくることです。そのための食のアプローチの一つが、「シンバイオティクス」です。
一般的には、以下の表にあるような、プロバイオティクス(有用な腸内細菌を含む食品)とプレバイオティクス(腸内細菌のエサとなる食品)を組み合わせて取り入れる考え方として知られています。
【図:シンバイオティクス食品】
一般財団法人 女神の森ライフスタイル研究所『腸活フードプランナー講座』教材テキストより
特別なことを足す前に、いつもの食卓を見直してみる。これも立派な「腸活」です。桐村先生は、こうした日本の食文化や発酵の知恵に、腸内細菌学とプラネタリーヘルスの視点を取り入れた食の考え方を、一般財団法人「女神の森ライフスタイル研究所」と共に「腸活フード」として提案しています。
「正解」を増やすのではなく、「見る視点」を増やす
取材では、「美味しく、体がよろこぶ」と感じるものと、「食べても食べても、もっと食べたい」とやみつきになる食べ物の違いも話題になりました。
桐村先生が一つの目安として挙げたのは、食べたあとに「十分満たされた」と感じられるかどうか。
「体にいい・悪い」という情報だけでなく、食べたあとの自分にも目を向けてみる。それも、自分に合う食を選ぶヒントになります。

Photo:PIXTA
ここまで読むと、「では、毎日きちんと実践しなくては」と思う人もいるかもしれません。でも桐村先生は、「食選びがストレスにならないよう、完璧にやろうとしなくていいです。8割ぐらいで構いません」と話します。知識はつけながらも、その日の体調や暮らし、自分の状況に合わせて柔軟に選ぶことをすすめます。
宋先生も「押しつけではなく、チョイスするという考え方ですね」と応じます。
宋先生は今回の話を、「プラネタリーヘルスや微生物、腸活という新しい視点を持つことで、これまで気づかなかった視点で製品や食べ物を見られるようになりますね」とまとめました。
毎日の食を選ぶことは、自分の未来を選ぶこと
私たちは、自分の心身を健やかに保つ方法を、体系的に学ぶ機会が意外と多くありません。
だからこそ桐村先生は、単発の健康ノウハウではなく、「そもそも自分の心身は何からつくられ、どうすれば健やかに保てるのか」という根本を体系的に知ることが大切だと話します。
これは、自分の体について知り、自ら選択することを大切にするSRHRの考え方にも通じます。

Photo:PIXTA
知ることで、選択肢が増える。そして、自分の状況に合わせて選べるようになる。
そんな視点から、直近で「腸活フード」の考え方を桐村先生から学ぶ機会として、
最新腸科学から、日本の発酵・食養生、土と腸のつながりまでを体系的に学び、「今日、何を食べる?」に自分なりの判断軸を持つことができるのが「腸活フードプランナー講座」です。
また、直近では9月10日に「桐村先生登壇! 土から学ぶ“一生モノの腸活セミナー”」が開催されます。(*現地参加も可)
目指したいのは、溢れかえる健康情報に振り回されず、自分や家族に合った食を選べること。
その力は、毎日の食卓で繰り返し使える、一生もののヘルスリテラシーになります。
詳しく知りたい方はこちらのリンクからどうぞ。↓
INFORMATION
■桐村里紗先生登壇「食と腸の新常識! 土から学ぶ“一生モノの腸活セミナー”」
日時:2026年9月10日 15:00~16:00
オンライン・現地同時開催(Zoom配信予定)
現地開催:一般財団法人 女神の森ライフスタイル研究所(山梨県北杜市小淵沢)
参加費:一般:3,300円(税込) / メルマガ会員:1,100円(税込) / 会員(講座修了生・イベント参加者):無料
セミナー公式ページ https://megaminomori-lifestyle-lab.or.jp/event/260910-1
■医師桐村里紗先生×管理栄養士関口絢子先生×国際中医師植木もも子先生監修
「腸活フードプランナー講座」
最短3時間で学べる オンライン入門講座
crumii読者さま限定 定価20%OFF
15,840円(税込)で受講可能
クーポン番号:cru0001
期間:9月30日まで有効
講座公式ページ https://megaminomori-lifestyle-lab.or.jp/course/certification/gut-health
※上記URLより「受講を申し込む」クリック後、
会員未登録の方は「初めて申込をする方」を選択して会員登録をしてください。その後、講座申込となりますので、お支払い時にクーポン番号「cru0001」をご入力のうえ、お申込みください。
<出典>
1. プラネタリーヘルス
Whitmee S, et al. Safeguarding human health in the Anthropocene epoch: report of The Rockefeller Foundation–Lancet Commission on planetary health. The Lancet. 2015;386(10007):1973–2028
医学雑誌『The Lancet』に掲載された、ロックフェラー財団・ランセット委員会によるプラネタリーヘルスに関する報告書
2. Paul Hawken, ed. Drawdown: The Most Comprehensive Plan Ever Proposed to Reverse Global Warming. Penguin Books, 2017.
日本語版:ポール・ホーケン編著『ドローダウン―地球温暖化を逆転させる100の方法』(山と溪谷社)2018年
3. プラネタリーヘルスダイエット
EAT-Lancet Commission. The 2025 EAT-Lancet Commission on Healthy, Sustainable, and Just Food Systems. 2025.
<参考文献・資料>
桐村里紗著『腸と森の土を育てる~微生物が健康にする人と環境』(光文社)
桐村里紗著『土に触れる人はなぜ健康になるのか~身体の中の自然を育てる』(光文社)
一般財団法人 女神の森ライフスタイル研究所「腸活フードプランナー講座」教材テキスト
一般財団法人 女神の森ライフスタイル研究所「プラネタリーヘルスライフ検定」教材テキスト
<監修・取材協力>
桐村 里紗 (きりむら りさ)
医師/認定産業医 天籟株式会社 代表取締役医師 一般社団法人 プラネタリーヘルスイニシアティブ代表理事 一般財団法人 女神の森ライフスタイル研究所 理事
医師として予防医療から終末期医療まで幅広く臨床経験を積んだのち、人が生きることで人と地球が健康になる国際目標「プラネタリーヘルス」を推進する。
鳥取県「大山の流域」と東京「丸の内エリア」を拠点に都市とローカルの流域を結び、地球再生型経済基盤となる「nichtöne」を展開する。
著書に、『腸と森の「土」を育てる−微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)、2026年7月15日発売の新著『土に触れる人はなぜ健康になるのか−身体の中の「自然」を育てる』(同)が発売即重版。BELLA AWARDS2026 Japan winner(日本代表)主なメディア出演『ホンマでっか!?TV』(腸活評論家)他。
葛和恵奈子
(株)ジャパンライフデザインシステムズ プロデューサー/エディター。女性誌編集、ヘルスケア企業マーケティング部を経て、2006年より健康・美容系メディアでコンセプト設計、編集・執筆に携わる。自身も不妊治療に向き合い、43歳と45歳で男児を出産。女性が自分の身体を正しく知り、納得のいく選択ができることの大切さを痛感している。復職後、ウィメンズヘルスリテラシー協会「女性のヘルスケア講座」を修了。英国IFA認定国際アロマセラピスト資格を持ち、東京モード学園非常勤講師としても活動。


















