crumii編集部レポート
【2025年振り返り・前編】「届けたい」が形に!crumii8ヶ月の歩み
「女性が読むだけで元気になれるメディアを作りたい」
そんな想いを実現するために、2025年の年明けから始めたcrumiiのクラウドファンディング。実は、クラウドファンディングにも準備が必要なので、2024年の年末はクラファンに向けた準備でバタバタしていたこともあり、そろそろ1年、という気持ちになってきます。
正直なところ、最終日に近づくにつれて不安が増していました。このままでは、達成できないかもしれない。。目標を達成できるかどうか、不安でいっぱいでしたが、直前にご支援いただいた方の助けもあって、総額1,238万円、667人の方々からのご支援をいただき、達成率123%で無事、ゴールを迎えることができました。
せっかくなので、2025年を締めくくるにあたり、crumiiの歩んだ8ヶ月を振り返ってみようと思います。
なぜcrumiiを作ろうと思ったのか
crumii発足のきっかけについては、クラファンの記事などでも詳しく語ってきましたが、まずSRHR(性と生殖に関する健康と権利)をめぐる情報環境への危機感でした。

法律や制度の問題。
「産む/産まない」というSRHRの根幹である妊娠・出産・避妊・中絶にかかる費用が原則自己負担だったり、中絶にあたり配偶者の同意が必要だったり。女性が自分自身のからだのことを自分で決められないという土壌があります。
情報環境の問題。
そもそも性教育が追いついておらず、生きていくために必要な最低限の情報を得る機会が担保されていません。受動的に入ってくる情報は真偽が不確かなものや、裏でビジネスがらみのものが多く、玉石混交です。
産婦人科医療そのものの問題。
全国の多くの産婦人科医は日々女性やお腹の赤ちゃんのために奮闘していますが、「産婦人科を受診したけれど医師が治療法をアップデートできておらず選択肢を提示されなかった」とか、「暴言を吐かれたり上から目線で指導された」などの声もSNS上では多く見られます。まだまだ女性が安心して産婦人科にかかれる状態とは言えません。
今回、crumiiに参加してくれている監修医師の多くは、SNS上でも活動的に発信をしている人たちです。せっかく正しい情報発信をし、誤解を解いても、また同じ疑問や誤解が生まれて、また説明する、を繰り返すことが続いていました。
| 「SNSで流れていく情報ではなく、疑問に思ったらここを見ればわかる、いつでもアクセスできる場所を作りたい」 「病気を煽って読者を不安にさせるのではなく、読むだけで元気になれるメディアを作りたい」 「そして、安心してかかれる医療機関への架け橋になりたい」 |
そんな想いから、crumiiの構想は始まりました。
自己資金と支援にこだわった理由
crumiiのプロジェクトを進めるにあたり、私たちは一つの決断をします。
スタートアップのように投資家から資金調達をすると、株主の方向を向いて事業をおこなう必要があります。ビジネス目線にならず、フラットな目線で事業を進められるよう、役員の自己資金と、理念に共感してくださる方々からの支援で始めるというものです。
このプロジェクトはほぼ手弁当で運営されています。創業メンバーは無償で活動し、多くの費用を私費で負担しながら進めてきました。
でも、軌道に乗るまでに力尽きてしまっては、望む社会を実現できない。そのために、理念や志に共感してくださる方々に、クラウドファンディングという形で支援をお願いすることにしました。
役に立つけど「普通におもしろく読める」記事を
多くの女性が、体の悩みや不調を感じたとき、まず検索エンジンで情報を探します。でも、キーワードを間違えると上位に表示されるのは広告収入やアフィリエイト目的の記事ばかり。医療的な正確さよりも、SEO対策が優先される時代がありました。
2016年に起こった「WELQ」事件以降、Googleのアルゴリズムが大幅にアップデートされ、人の命や財産に関わる医療情報については、医療機関や公的機関のドメインが優先して表示されるようになります。
この対策で情報の信ぴょう性は増したものの、厚生労働省などの公的機関のサイトは、せっかくたどり着いてもデータがPDFになっていて肝心の情報が探せなかったり、複雑な階層構造になっていてたりします。今度は「わかりにくい」という問題が生まれてしまいました。
さらに、性や生殖に関する話題は、いまだにタブー視されがちです。本来であれば、オープンに、本音で語ってもいいはずなのに、ややもすれば「エロコンテンツ」と混同されるケースが多く、性の悩みを持つ人たちが、本当に必要な情報にアクセスするハードルが、あまりにも高い。
そこをなんとか「普通におもしろく読める記事」として提供できないかと考えました。このようなコンテンツを得意分野とするライターさんたちに、構想をお伝えすると快諾してくださり、本格的にメディア開始に向けての土台が整ったのです。
| 「SNSで流れていく情報ではなく、いつでもアクセスできる"知の拠点"を作りたい」 「読者を不安にさせるのではなく、読むだけで元気になれるメディアを作りたい」 「そして、安心してかかれる医療機関への架け橋になりたい」 |
そんな想いから、crumiiの構想は始まりました。

クラウドファンディングで見えた景色
そして、2025年1月20日から、クラウドファンディングをスタート。
実はクラウドファンディングの最中から、Webサイトの開発そのものはスタートしていたのですが、50日間のプロジェクト期間中に届いた皆さんからの力強い応援メッセージは、とても励みになりました。
「こういうのを待ってた!!」「娘が自分と同じ、辛い思いをしなくて済むように、ぜひやって欲しい」「患者さんに教えられるサイトが欲しい」といった、当事者の皆さんの言葉。本当にありがとうございました。
そして、最終的な結果がこちら。
| 支援者数:667人 支援総額:12,384,000円 達成率:123% |
支援者の内訳にも驚きました。crumiiのスタッフの知り合いは医療関係者が多いため、応援してくれる人たちは医療者が多いと思っていましたが、一般の方々が6割、医師や助産師、看護師などを含む医療従事者が4割にものぼりました。
SRHRに関する発信は、時に誤解や批判にさらされます。避妊や中絶といった女性の「産まない」権利というのは、少子化という日本が抱える社会課題とも関わっているからです。
でも考えてみてください。少子化対策というのは、産みたい女性が安心して子供を産み育てられる環境を整えることであって、決して「産まない権利」を阻むことで、「産みたくない」女性にまで産ませることでは絶対にありません。
そんな信念を後押ししてくれる皆様がいたおかげで、crumiiはローンチの日を迎えました。
2025年4月9日、ついにローンチ
クラウドファンディング終了から約1ヶ月。2025年4月9日、ついにオープンしました。
ローンチ時に公開した記事は、私たちの想いを詰め込んだラインナップでした。
・私たちが一番伝えたかった、SRHRという概念の解説記事
・ゆうこすさんへのインタビュー「生理=恥ずかしいからの脱却」
・産婦人科の選び方・付き合い方の解説
・子宮頸がん検診で見つかった卵巣のう腫の摘出体験談
・更年期障害の基礎知識
・16歳少女の赤ちゃん遺棄事件を考える記事
産婦人科の基礎知識から体験談、社会課題まで。8ヶ月経った今も変わらず、「正しい情報」と「当事者の声」の両方を届けることを大切にしてきました。
読者の皆様に届いた8ヶ月
公開から8ヶ月。crumiiは多くの方に読んでいただけるメディアに成長しました。累計PVは、11月末時点で1,357,767PV。もちろん大手メディアには及ばないものの、新興メディアとしては、まずまずの滑り出しではないでしょうか。4月の48,270PVからスタートし、11月には月間602,720PVを記録。ほぼ右肩上がりで成長を続けています。
特に読まれた記事TOP3は以下の通り。
| 【無痛分娩・覆面座談会】「公には言えない」医療の裏側にある課題(239,457PV) コンドームを使っていても妊娠してしまうことがあるのはなぜ?(190,676PV) 出産費用の無償化は素晴らしいが、保険適用はやめた方がいい理由(44,845PV) |
公式Xで不適切な発言があり、炎上も経験しましたが、その反省も踏まえながら、様々なライフステージの女性に役立つ、社会に届けたい情報を引き続きお届けしていきたいと考えています。
読者の関心を分析すると、3つの傾向が見えてきました。
「本音」と「裏側」への高い関心。
医療現場のリアルな声や、公には言いにくいテーマが圧倒的なPVを獲得しています。
実用的なSRHR知識へのニーズ。
避妊の失敗理由やミレーナ体験談など、興味のある「自分ごと」として直結する課題解決型コンテンツが人気です。
制度・社会課題への意識。
出産費用や交付金など、お金や制度に関する医師視点の解説もよく読まれています。
改めて、応援してくださっている皆様に感謝!!
crumiiは、決して私たちだけの力で生まれたメディアではありません。
毎日更新や日々の運営もけっこう大変なのですが、クラウドファンディングで支援してくださった667人の皆様。記事を監修してくださる産婦人科専門医の先生方。体験談を寄せてくださった当事者の方々。そして、日々記事を読み、シェアし、感想を届けてくださる読者の皆様。
一人ひとりの「届けたい」「届いてほしい」という想いによって、crumiiは今日まで歩むことができています。
本当に、ありがとうございます。
これからのcrumii
2025年、女性医療を取り巻く環境は大きく動きました。緊急避妊薬のOTC化、無痛分娩費用助成の開始、初の女性首相の誕生など。crumiiは、これからも医療者と女性をつなぐプラットフォームとして、ブレずに情報を発信し続けたいと考えています。
2026年も引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
後編では、2025年の女性医療ニュースを月別に振り返ります。
crumii編集部













