【レビュー】セレブ病院は未受診妊婦を救えるのか。「善意頼み」の支援が抱える危うさ|ドラマ『ファーストクライ』第2話
『ファーストクライ』第2話。”引き”を作るための演出とはいえ、現役アイドル・松島聡さん演じる永坂先生の過去に何があったのか、ずいぶんハラハラさせられました。
だって、ドラマのタイトルは「母子」救命救急班ですよ。高校時代の同級生らしき女性から意味深な視線を向けられ、「よく医者になれたね」とまで言われたら、まさか元カノ!? え、妊娠!? と、昼ドラみたいな方向に想像が暴走してしまうではないですか。
ちなみに私は、Netflixのオーディション番組『タイムレスプロジェクト』で松島さんについて履修した程度の、にわかもにわか。それでもこんなにソワソワしたのだから、ファンのみなさんの心境はいかに……。いつの間にか、ファンのお嬢さま方を見守る親戚のおばちゃんのような気持ちになっていました。
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さて、第2話に登場した2人の妊婦は、その置かれた環境の格差があまりにも対照的でしたね。
一方は、6年間にわたる不妊治療を経て、卵子提供という次の選択肢まで視野に入れる夫婦。治療に費やした苦労は計り知れませんが、それでも次の一手を考えられるだけの経済的な余力があることもうかがえます。
もう一方は、海外から働きに来た技能実習生で、妊娠しても病院を受診できない未受診妊婦。誰にも頼れず、生活もぎりぎり。命は平等でも、産める環境はまったく平等ではない――そんな現実を、ずいぶんわかりやすい対比で見せていました。
そして、この「こぼれ落ちる人」を民間病院のプロジェクトが受け止めようとします。それに反対する新生児科医が放った一言が印象的でした。
「富の分配は国がやるべきことだ」
このセリフは、「困っている妊婦を助けるな」という意味ではもちろんありません。本来、生活に不可欠な支援は、個人や企業の善意や経営判断に委ねられるものではなく、公的な仕組みとして保障されるべきだ、という指摘でしょう。
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とはいえ、現実はそう簡単でもありません。子ども食堂を思い浮かべればわかるように、公的支援に穴があるからこそ、そこを埋めようと民間が動かざるをえない。その現実を否定することもできません。
このドラマもまた、そのジレンマを描こうとしているように見えます。
国の支援が追いつかない部分は、民間が動かざるをえない。だからこそ、このドラマでは「偽善でもやる」という言葉が出てくるのでしょう。
もちろん現実でも、制度だけでは救えない人に手を差し伸べる民間の支援は欠かせません。実際、その善意に救われている人もたくさんいるはずです。
ただ、支援が「善意頼み」になればなるほど、ぶっちゃけ怖い側面もあります。その隙間には、搾取や囲い込み、貧困ビジネスが入り込めてしまう。「寄り添います」という言葉は、人を救うこともあれば、弱みにつけ込むための看板にもなり得るのです。
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筆者もこれまでの取材で、福祉の現場で根拠のない健康食品が売られていたり、新興宗教やマルチ商法の勧誘が紛れ込んでいたりする事例を見聞きしてきました。漫画『九条の大罪』に登場した悪徳老人ホームもそう(“冷やしカレー”、トラウマメニューです)。あれは誇張されたフィクションというより、公的給付に民間事業者がぶら下がることで生まれる「社会保障の歪み」を、極端な形で描いた存在でした。
これを『ファーストクライ』に引き寄せると、未受診妊婦の支援も同じ構造的な危うさを抱えています。高齢者のように定期給付があるわけではなくても、「困窮していて、頼る先がない」という弱さにつけ込まれるリスクはあるでしょう。
行政が十分な支援を整えていれば、自治体や医療機関につながれます。しかし受け皿が足りなければ、「住む場所があります」「赤ちゃんも安心」「私たちが面倒を見ます」と掲げる民間の支援に頼らざるを得ません。その多くは本当に尊い活動です。でも一方で、宗教や労働、養子縁組、あるいは経済的利益へと誘導する余地だって生まれてしまうでしょう。
民間が悪いわけではありません。公的支援が足りない現状が、「支援」を市場にしてしまうのです。
だから、主人公が胸を張って「安心して頼ってください!」と言うたびに、私は「産んだあとも、その安心は続くんじゃろか?」と、つい心配になってしまうのです。退院したら「じゃ、あとはNPOで!」なんてことにはならないよね? ……いや、ならないと信じたいからこそ、続きが気になります。
2話のラストでは、いよいよ厚生労働大臣周辺も動き出した気配が漂っていました。
セレブ病院である『聖フィオナ病院』が、理想の支援機関として描かれていくのか。それとも、公ではなく民間が担うからこその限界や危うさにも踏み込んでいくのか(いかないかな・笑)。
第3話以降も、ひやひやしながら見届けたいと思います。
山田ノジル
フリーライター。女性誌のライターとして美容健康情報を長年取材してきたなかで出会った、科学的根拠のない怪しげな言説に注目。怪しげなものにハマった体験談を中心に、取材・連載を続けている。著書『呪われ女子に、なっていませんか? 本当は恐ろしい子宮系スピリチュアル』(KKベストセラーズ)ほか、マンガ原作や編集協力など多数の作品がある。 X:@YamadaNojiru
















