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漢方解説シリーズ 「腰痛」

デスクワーク女子の悩み。腰痛におすすめの漢方薬3選

腰痛におすすめの漢方薬3選タイトル

朝から夕方までパソコンに向かい続けていると、立ち上がった瞬間に腰が重かったり、背中まで固まっていたりすることはありませんか?

デスクワークによる腰痛は、姿勢や筋肉のこわばりだけでなく、冷えや血流、水分代謝の乱れが関係していることもあります。体の内側からめぐりを整える漢方を使い、毎日の養生を味方につけて、軽やかな腰まわりを目指しましょう。

東洋医学の視点では腰痛をどうみる?

東洋医学では、腰は「腎(じん)」と関わりが深い場所と考えられています。腎の力が弱まる「腎虚(じんきょ)」になると、足腰のだるさ、腰痛、冷え、頻尿、耳鳴り、疲れとしてがあらわれやすくなります。

また、長時間同じ姿勢でいる状態が続くと、血のめぐりが滞る「瘀血」や、水分代謝が乱れる「水滞」が起こりやすくなります。このことで、腰から脚にかけて重だるさやしびれ、こわばりが出て、冷えることで痛みが強まったりすることもあります。

漢方では、腰痛を一つの症状として見るだけでなく、冷えやむくみ、だるさが併発しているか、それとも血の滞りが強いのか、といった証を見極めて処方を選びます

腰痛におすすめの漢方薬3選

1.八味地黄丸(はちみじおうがん)
腎虚による足腰のだるさや冷え、頻尿を伴う腰痛に向いている漢方薬です。
2.疎経活血湯(そけいかっけつとう)
瘀血と水滞が重なり、腰から脚にかけての痛みやしびれ、こわばりがあるタイプの方に適しています。
3.五積散(ごしゃくさん)
冷え・瘀血・水滞が複合した慢性的な腰痛や、冷えると悪化する腰冷えタイプの方に使いやすい漢方薬です。

腰に手を当てる女性の後ろ姿
腰痛に悩む特に内勤の女性は多い(Photo:PIXTA)

腰痛におすすめ漢方薬の詳しい解説

八味地黄丸(はちみじおうがん)

腎虚による腰痛で、足腰のだるさ・冷え・頻尿を伴うタイプの方におすすめです。

【こんな症状に】
腰が重だるい/足腰が冷えやすい/夜中や朝方にトイレが近い/脚がむくみやすい/疲れると腰にくる
【含まれる生薬】
地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、茯苓、牡丹皮、桂皮、附子
【特徴・効果】
八味地黄丸は、東洋医学でいう「腎」の力を補うことで、下半身の冷えや衰えを支える処方です。気血水のめぐりを助けながら、腰から脚にかけてのだるさや冷えをやわらげていきます。味は、地黄由来のしっとりとした甘みと、桂皮のシナモンのような香り、附子の温めるような風味があります。食前または食間に白湯で飲むのがおすすめです。朝晩に冷えを感じやすい方は、温かい飲み物と一緒に取り入れると続けやすいでしょう。

疎経活血湯(そけいかっけつとう)

瘀血と水滞による腰下肢痛で、しびれやこわばりを伴うタイプの方におすすめです。

【こんな症状に】
腰からお尻、脚にかけて痛む/脚がしびれる感じがある/同じ姿勢のあとにこわばる/デスクワークの後の夕方になると下半身が重い/朝起きたときに腰が痛い
【含まれる生薬】
当帰、地黄、川芎、芍薬、蒼朮、茯苓、桃仁、牛膝、威霊仙、防已、防風、羌活、竜胆、陳皮、白芷、生姜、甘草
【特徴・効果】
疎経活血湯は、血のめぐりを整えながら、余分な水の滞りをさばき、腰から脚にかけての痛みに働きかける処方です。デスクワークで同じ姿勢が続いて、下半身のめぐりが悪くなっているような人に向いています。
味は、当帰や川芎のやや独特な香りに、陳皮や生姜のさわやかさが重なる、少し薬草らしい風味です。食前または食間に白湯で飲むとよいでしょう。腰から脚にかけて冷えや重さを感じる日は、入浴や軽いストレッチと組み合わせるのもおすすめです。

五積散(ごしゃくさん)

冷え・瘀血・水滞が重なり、冷えると悪化する慢性的な腰痛や腰冷えタイプの方におすすめです。

【こんな症状に】
腰まわりが冷えて痛む/冷房や寒い場所で悪化する/お腹や胃腸が弱くお腹をこわしやすい/月経痛を伴いやすい/体が重だるく動き出しにくい
【含まれる生薬】
蒼朮、陳皮、当帰、半夏、茯苓、甘草、桔梗、枳実、桂皮、厚朴、芍薬、川芎、白芷、麻黄、大棗、生姜
【特徴・効果】
五積散は、冷えによって滞った気・血・水を広く整える処方です。腰痛だけでなく、胃腸の冷えや月経痛、下半身の重だるさを伴うような複合的な不調に使いやすいのが特徴です。
味わいは、桂皮の甘くスパイシーな香りに、陳皮の柑橘のような香り、生姜のあたたかみが感じられます。
冷えが気になる方は、食前または食間に白湯で飲むのがおすすめです。冷たい飲み物を控え、腹巻きやひざ掛けで腰まわりを冷やさない工夫も一緒に取り入れてみましょう。

ジムのマシンでランニングをする女性たち
意識して運動することも大事(Photo:PIXTA)

セルフケアとしての適度な運動も大切に

腰痛対策としては、安静にしすぎず、できる範囲で動くことも重要です。 長時間座りっぱなしになると腰まわりの筋肉がこわばりやすいため、30〜60分に一度は立ち上がって1〜2分ほど歩く、背伸びをする、股関節を軽く動かすなどの小さな休憩を挟みましょう。 

通常の活動を続けることや運動を取り入れることが腰痛のセルフケアとして推奨されています。腰が痛いからといってゴロゴロせず、無理のない範囲でのウォーキングやストレッチ、体幹まわりを支える軽い運動を習慣にすることも予防になります。

漢方薬と養生まとめ

デスクワーク女子の腰痛は、長時間同じ姿勢でいることによるこわばりだけでなく、腎の弱り、冷え、瘀血、水滞などが重なって起こることがあります。

足腰のだるさや頻尿、冷えを伴うなら八味地黄丸、腰から脚にかけてのしびれやこわばりがあるなら疎経活血湯、冷えると悪化し胃腸症状や月経痛も気になるなら五積散が選択肢になります。自分の証に合った処方を選ぶことです。

腰まわりを温める、こまめに立ち上がる、白湯を飲むなどの小さな養生も、漢方の働きを助けてくれます。自分に合う処方に迷うときは、医師や漢方に詳しい専門家に相談してみましょう。

※本記事は「漢方と365日。」の協力で作成されました。 

漢方と365日
【みんなとつくる漢方メディア 漢方と365日。】
難しいと思われがちな漢方をよりわかりやすく、そして自分事にしてほしいという願いからオープンした「漢方と365日。」
漢方体質診断「見つかる!わたしの不調スイッチ」で自分の体質を知ることができるほか、現時点での自分の体や心がどんな状態であるか確認でき、体質に合わせた生活習慣や運動などの養生法を手に入れられる。漢方の処方を受けられる医療機関の検索も可能。

この記事の監修医師

丸の内の森レディースクリニック

吉住奈緒子先生

大阪大学医学部医学科卒。 大阪府立急性期・総合医療センター、厚生労働省医系技官などを経て、現在は東京女子医科大学附属東洋医学研究所 助教。 専門は公衆衛生、東洋医学。毎週火曜日、丸の内の森レディースクリニックで漢方外来を担当。

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