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新しい月経困難症治療薬「マルシロン」とは? 特徴、ほかのピルとの違い、注意点を解説
2026年6月、月経困難症治療薬「マルシロンⓇ配合錠」が国内で承認され、9月1日に発売されました。
選択肢が増えるのは朗報ですが、「新薬だから従来薬より優れている」「全ての人にとって最良のピル」というわけではありません。
「また種類が増えて、わかりにくい!」と思っている人もいるかもしれませんね。
本記事では、マルシロンの特徴や副作用、ヤーズやドロエチなど他の超低用量ピルとの違いをわかりやすく解説します。
マルシロンはどのような薬?
マルシロンは、黄体ホルモン成分のデソゲストレル0.15mgと、卵胞ホルモン成分のエチニルエストラジオール(EE)0.02mgを配合した低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)です。
EEが0.02mgと少量のため、一般に「超低用量ピル」に分類されます。服用開始時に生じることがあるピル特有の副作用(吐き気や頭痛など)は軽い傾向にある薬、ということになります。
Photo:PIXTA
作用としては、排卵と子宮内膜の増殖を抑え、月経痛に関係するプロスタグランジンという物質の産生や出血量を減らします。
なお、有効成分がまったく新しいわけではありません。海外では同じ組み合わせのピルが1986年以降、経口避妊薬「Mercilon」として使用されています。
国内のマーベロンもデソゲストレル0.15mgを含みますが、EEは0.03mgで、保険適用外(自費)の経口避妊薬という扱いです。マルシロンはEEが0.02mgに減り、日本では月経困難症の治療薬として承認されました。

オルガノン株式会社 プレスリリースより
適応疾患は「月経困難症」
マルシロンでは以下のような、学校・仕事・家事といった日常生活に支障を来している「月経困難症」の症状の軽減が期待できます。
・強い下腹部痛や腰痛
・吐き気
・頭痛
原因疾患のない原発性月経困難症だけでなく、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などに伴う続発性月経困難症も対象となります。
人によっては寝込むほどの症状を伴う月経困難症 Photo:PIXTA
国内第Ⅲ相試験では、月経困難症の程度と鎮痛薬の使用日数を合わせた0~6点の「月経困難症スコア」が、84日間でマルシロン群では平均2.50点低下(つまり、症状が軽減された)したのに対し、プラセボ群では0.84点の低下にとどまり、有効性が確認されました。
ただし、既存のLEP製剤との直接比較試験ではないため、「他の超低用量ピルよりよく効く」とは判断できません。また、続発性月経困難症では、原因疾患の定期的な評価や治療も重要です。
最大の特徴は、出血の時期を調整しやすいこと
次に、使い方を紹介します。
1日1錠を毎日ほぼ同じ時刻に飲み、24~80日間の服薬を続けた後に4日間休薬します。
約1カ月ごとに出血を起こす方法から、最長で約3カ月に1回出血を起こすようにする方法まで自身で選択できます。
この「休薬までの日数を周期ごとに変えられる」点こそが、マルシロンの最大の特徴といえるでしょう。旅行、試験、スポーツ、仕事などの予定に合わせて出血時期を調整できるのは、多くの女性にとって便利なのではないでしょうか。
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妊娠していないことを確認できれば、月経初日を待たずに開始できることも特徴です。ただし、月経初日以外に始める場合は、最初の7日間に非ホルモン性の避妊法(主にコンドーム)を使うようにしてください。
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なお、国内での適応は月経困難症であり、避妊目的の薬としては承認されておらず、性感染症も予防できないことには注意しましょう。添付文書にも「本剤を避妊目的で使用しないこと」と明記されています。
*月経困難症治療用のピルに避妊効果はある?超低用量ピルは?という疑問に対しては私のニュースレター記事で解説しています。ご興味があればご登録・ご覧ください。
月経困難症治療用のピルに避妊効果はある?超低用量ピルは?徹底解説
ヤーズ、ドロエチなど、他の超低用量ピルとの違いは?
マルシロン、ヤーズ、ドロエチはいずれもエチニルエストラジオール(EE)を0.02mg含む超低用量LEPですが、黄体ホルモン成分と服用方法が異なります。他のLEP製剤も含めて、違いを整理しました。

マルシロンと既存の超低用量ピルとの成分・特徴の比較表 本文を元に編集部作成
ヤーズとドロエチは、有効成分、配合量、服用方法が同じです。ドロエチはヤーズの後発医薬品で、主な違いはメーカー、添加剤、包装、薬価などとなっています。
ヤーズ系に含まれるドロスピレノンという黄体ホルモンには、抗ミネラルコルチコイド作用と抗アンドロゲン作用があります。むくみやにきびが気になる人に選ばれやすいですが、すべての人で改善するとは限りません。
一方、マルシロンに含まれるデソゲストレルも、アンドロゲン作用が比較的弱い黄体ホルモンですが、ドロスピレノンのような抗ミネラルコルチコイド作用はありません。
なお、黄体ホルモンの違いによって、出血、吐き気、頭痛、乳房の張り、気分変動、肌やむくみへの影響には個人差があります。成分だけで事前に完全に予測することは難しいので、試してみて自分に合わなければ変更してみる、というトライアンドエラーが大事です。
*「目的・成分・世代でわかる自分に合うピルの選び方」については、過去の記事もご参照ください。
②種類比較編|ピルの違いを徹底比較!目的・成分・世代でわかる自分に合うピルの選び方
副作用と注意点は?

Photo:PIXTA
添付文書をみると、1年間の国内試験では、何らかの副作用を感じた人は全体の約63%で、月経中間期出血(不正出血)が50.7%、悪心(吐き気)が7.2%と報告されました。
不正出血は服用初期や連続投与中に起こりやすく、一般的には服用期間が長くなると起こりにくくなるとされています。しかし、出血量が多い、長期間続く、いったん安定した後にまた増加するような場合は、早めの受診が必要です。
重大な副作用として、血栓症が挙げられます。
EEが0.02mgと少量でもリスクはゼロではなく、マルシロンは他のLEPより安全性が高いというわけでもありません。片脚の急な痛みや腫れ、突然の息切れ・胸痛、激しい頭痛、手足の麻痺、言葉が出にくい、急な視力障害などがあれば、服用を中止して直ちに救急受診しましょう。
なお、
・血栓症の既往
・前兆を伴う片頭痛
・重い高血圧・肝障害
・妊娠中
・産後4週以内
などに該当する方は、マルシロンを使用できません。35歳以上で1日15本以上喫煙する人も禁忌対象となっています。
相互作用のある薬やサプリメントもあるため、服用を検討する場合には、使用中のものをすべて医師・薬剤師に伝えてくださいね。
ピルが「合う・合わない」は、どう判断する?
ピルが「合う・合わない」の判断のポイントもまとめておきます。
・症状が改善したか
・副作用は許容範囲か
・続けられそうか
・飲み方が生活リズムに合うか
の4点で考えてみましょう。
Photo:PIXTA
例えば、自分に合っている可能性が高いのは、月経痛や鎮痛薬の使用回数や欠席・欠勤回数が減り、性器出血や副作用、服用方法に大きな負担を感じないような場合です。
反対に、数周期続けても十分に症状が改善しない、不正出血や吐き気・頭痛がしんどい、気分の落ち込みが強い、毎日の服用や休薬管理が難しいような場合は、ピル(LEP)の種類や治療法の変更について相談しましょう。
軽い不正出血や吐き気は服用初期にみられやすく、その後は次第に落ち着くこともあります。すぐに「合わない」と決める必要はありませんが、我慢し続けるのも辛いものです。新しいピルを服用し始めた場合には、主治医と相談しながら早めに受診できるよう受診日を調整してくださいね。
なお、喫煙者などでエストロゲンを含むピルを使用できない場合はジエノゲスト(先発品名:ディナゲスト)、過多月経があり長期的な治療を希望する場合はレボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS:製品名「ミレーナ」)なども候補になります。
以下の関連記事も参考にしてみてくださいね。
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※承認・発売情報および添付文書の内容は2026年9月2日時点のものです。
















