PMS 月経周期 漢方薬 東洋医学

漢方と365日。×Crumii #12

月経周期の乱れ、PMSの悪化におすすめの漢方薬3選

イライラや気分の落ち込み、肌の不調や体のむくみ…。月経前になるとこうしたつらさが強まっていると感じていませんか?周期が乱れたり、いつもより症状が重いときには、心身のバランスが崩れているサインかもしれません。そんな時こそ、漢方の力で内側から整えてみましょう。

秋口にゆらぐ心身をやさしくサポート

9月の後半から10月にかけては、夏の疲れが抜けきらず、さらに朝晩と日中の気温差が大きくなるため、体に負担がかかりやすい時期です。この季節は自律神経の乱れやホルモンの揺らぎが出やすく、心の不安定さや月経前症状を悪化させる要因となります。漢方では「気」や「血」の滞りが関わっていると考えられており、体質に合わせて早めに整えることで、症状をやわらげることができます。

PMSや月経不順の乱れに役立つ漢方薬3選

月経前の心身のつらさや月経周期の乱れは、体質や不調の出方によって適した処方が異なります。ここでは代表的な3つの漢方薬を体質タイプ別にご紹介します。いずれも、産婦人科医療の現場でもよく処方されているものです。

1.加味逍遥散(かみしょうようさん):イライラしやすく、気分が上下しやすいなどの精神症状と冷えのぼせ、だるさ、肩こりなどの身体症状が出るタイプの方に
2. 女神散(にょしんさん):のぼせやめまい、不眠や不安感、頭痛や肩こりなど、複数の慢性的な症状が続くタイプの方に
3. 桃核承気湯(とうかくじょうきとう):怒りっぽさが強く、便秘やのぼせを伴うタイプの方に

加味逍遥散(かみしょうようさん)

ストレスで気分が揺れやすい「肝気うっ滞(かんきうったい)」、「瘀血(おけつ)」タイプにおすすめです。

こんな症状に:月経前に気分が不安定になる、冷えのぼせや不眠、肩こりや頭痛があるなど、慢性で多彩な症状に
含まれる生薬:柴胡、当帰、芍薬、茯苓、牡丹皮、山梔子、薄荷、甘草、生姜、白朮
特徴・効果:ストレスやホルモン変化で乱れやすい「気」の巡りを整え、「血」の流れもサポートします。月経前のイライラや抑うつ感、心身の不調をやわらげる処方です。味は薄荷の爽やかさと生姜の風味があり、やや薬草らしい苦味も感じられます。顆粒剤やエキス剤が多く、食前に白湯で服用するのが効果的です。

女神散(にょしんさん)

月経前にめまいやのぼせ、気分の落ち込みなどが重なりやすいタイプにおすすめです。

こんな症状に:月経前に気分が沈む、頭痛や肩こり、耳鳴りや動悸などの頑固な症状がある、のぼせやふらつきを感じる、など
含まれる生薬:当帰、川芎、蒼朮、香附子、桂皮、黄芩、人参、檳榔子、黄連、木香、丁子、甘草
特徴・効果:気と血の滞りを解消し、上半身にこもった熱を冷ましながら、心身のバランスを整えます。月経前後の精神的な不安定さやイライラ、のぼせなどの多彩な症状を改善する処方です。味は黄連・黄芩の苦味がありますが、桂皮や丁子のスパイシーな香りが特徴的で、最後に甘草のほのかな甘みが残ります。顆粒剤やエキス剤が主流で、食前に白湯で服用するのが効果的です。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

イライラやのぼせ、便秘を伴う「瘀血(おけつ)」+「熱証(ねっしょう)」タイプにおすすめです。

こんな症状に:月経前に怒りっぽくなる、頭が熱くのぼせる、便秘やお腹の張りがある など
含まれる生薬:桃仁、大黄、桂皮、芒硝、当帰
特徴・効果:体内にこもった熱や老廃物を排出し、血流を改善することで、月経前のイライラや便秘による不快感を和らげます。大黄や芒硝を含むためやや苦味と渋みが強いですが、桂皮の香りが後味をまろやかにしてくれます。便通を促す力が強いため、医師の指導のもとで服用を。通常はエキス剤で、空腹時に服用すると効果が現れやすいです。

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photo: PIXTA

季節の影響にゆらがない心と体へ ― 漢方でサポートする月経・PMS対策

季節の移り変わりは、自律神経やホルモンのバランスが乱れやすく、月経トラブルやPMSが悪化しやすい時期です。漢方は、その人の体質や症状に合わせて「気」と「血」の巡りを整えることで、月経周期の乱れや月経前の不快な症状を根本からケアしてくれます。早めに取り入れることで、毎月の過ごし方がぐっと楽になります。繰り返す不調を防ぐためにも、自己流で選ぶのではなく、漢方に精通した医師に相談しながら、自分に合った処方を見つけて、心身の状態に合わせたケアを続けていきましょう。

 

※本記事は「漢方と365日。」の協力で作成されました。

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難しいと思われがちな漢方をよりわかりやすく、そして自分事にしてほしいという願いからオープンした「漢方と365日。」

漢方体質診断「見つかる!わたしの不調スイッチ」で自分の体質を知ができるほか、現時点での自分の体や心がどんな状態であるか確認でき、体質に合わせた生活習慣や運動などの養生法を手に入れられる。漢方の処方を受けられる医療機関の検索も可能。

この記事の監修医師

丸の内の森レディースクリニック

吉住奈緒子先生

大阪大学医学部医学科卒。 大阪府立急性期・総合医療センター、厚生労働省医系技官などを経て、現在は東京女子医科大学附属東洋医学研究所 助教。 専門は公衆衛生、東洋医学。毎週火曜日、丸の内の森レディースクリニックで漢方外来を担当。

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