漢方薬 東洋医学 夏バテ

漢方と365日。×Crumii #08

夏バテにおすすめの漢方薬3選

だるさ・食欲不振は夏のサイン?早めの養生で快適な夏を

梅雨明けの蒸し暑さから真夏の強い日差しへ――気づけば体がぐったりしていませんか?「なんとなくしんどい」「食べる気がしない」「やる気が出ない」…そんな状態が続くのは、体が夏の疲れを感じている証かもしれません。こじらせる前の対処がカギ。今年の夏は、漢方のサポートで軽やかに過ごしてみませんか?

東洋医学で読み解く「夏バテ」の正体|気と湿のバランスがポイント

東洋医学では、いわゆる夏バテは、体のエネルギー源である「気」が消耗し、同時に「湿(余分な水分)」が溜まりやすくなることで引き起こされると考えられています。暑さによって気力が奪われると、疲れやすくなったり、胃腸の働きが弱まりやすくなったりします。また、湿度が高いと水分代謝が乱れ、体が重く感じられることも。漢方では、その人の体質や症状に応じて「気」を補い、「湿」の巡りを促すことで、不調の改善をめざします。

漢方薬 東洋医学 夏バテ
photo: PIXTA

夏バテにおすすめの漢方薬3選

1.清暑益気湯(せいしょえっきとう):
暑さに体力を奪われて食が進まず、体重も落ちやすいタイプ
2.五苓散(ごれいさん):
冷たいものの摂りすぎでお腹を下しやすく、胃腸の水分バランスが乱れがちなタイプ
3.六君子湯(りっくんしとう):
もともと消化機能が弱く、夏の疲れでさらに食欲がなくなっているタイプ

清暑益気湯(せいしょえっきとう)

夏の暑さで体力を消耗しがちな「気陰両虚」タイプにおすすめです。

こんな症状に : 暑さでぐったりして食欲がない/汗をかきすぎて体がだるい/夏風邪が長引いている
含まれる生薬 : 人参、黄耆、麦門冬、五味子、当帰、白朮(または蒼朮)、陳皮、甘草
特徴・効果 : 消耗した「気(エネルギー)」と「津液(体のうるおい)」を同時に補い、体力の回復と水分代謝のバランスを整えます。熱がこもって食欲が落ちたときにも向いています。すっきりとした甘みがあり、夏でも比較的飲みやすい味です。朝晩の空腹時に白湯で服用すると吸収が良く、効果が高まりやすくなります。

五苓散(ごれいさん)

体内の「水(すい)」の巡りが悪くなりがちなタイプにおすすめです。

こんな症状に : むくみやすい/天気によって頭痛やめまいが起きやすい/下痢をしやすい/冷たいものの摂りすぎでお腹を壊しやすい
含まれる生薬 : 沢瀉、猪苓、茯苓、白朮(または蒼朮)、桂枝
特徴・効果 : 体にたまった余分な水分を尿として排出しやすくし、水分バランスを整えます。天候や気圧の変化による不調のケアにも適しています。すっきりとした淡い味で、シナモンの香りがあり、苦みやクセが少なく飲みやすい処方です。起床後や食間の空腹時に、常温の白湯とともに服用するのがおすすめです。

六君子湯(りっくんしとう)

胃腸が弱く、疲れやすい「気虚+脾虚」タイプにおすすめです。

こんな症状に : 食欲がなく、食べると胃がもたれる/疲れやすく元気が出ない/吐き気や腹部の張りを感じる/冷えやすく、貧血ぎみ
含まれる生薬 : 人参、白朮(または蒼朮)、茯苓、半夏、陳皮、大棗、生姜、甘草
特徴・効果 : 胃腸の機能を活発にし、「気(エネルギー)」を生み出す力をサポートします。虚弱体質の改善や、慢性的な食欲不振にも効果が期待されます。甘みと生姜の風味がバランスよく、やさしい味わいです。食前または食間に白湯で飲むと、より効果が高まります。

夏の不調に先回り!〜体質別・漢方で整える〜

夏バテによるだるさや食欲の低下は、体のSOSかもしれません。東洋医学では、こうした夏の不調は「気(エネルギー)」の消耗と「湿(余分な水分)」の滞りが関係していると考えます。漢方はその人の体質=「証(しょう)」に応じて、足りないものを補い、巡りを整えることで回復をサポートします。自分に合った処方を選ぶことが大切です。

まずは漢方に詳しい医師や専門家に相談して、自分の体にぴったりの漢方薬を見つけましょう。夏バテにまけず、夏を快適に過ごすための第一歩は、自分の体質を知ることから始まります。

 

※本記事は「漢方と365日。」の協力で作成されました。

漢方と365日。

【みんなとつくる漢方メディア 漢方と365日。】

難しいと思われがちな漢方をよりわかりやすく、そして自分事にしてほしいという願いからオープンした「漢方と365日。」

漢方体質診断「見つかる!わたしの不調スイッチ」で自分の体質を知ができるほか、現時点での自分の体や心がどんな状態であるか確認でき、体質に合わせた生活習慣や運動などの養生法を手に入れられる。漢方の処方を受けられる医療機関の検索も可能。

この記事の監修医師

丸の内の森レディースクリニック

吉住奈緒子先生

大阪大学医学部医学科卒。 大阪府立急性期・総合医療センター、厚生労働省医系技官などを経て、現在は東京女子医科大学附属東洋医学研究所 助教。 専門は公衆衛生、東洋医学。毎週火曜日、丸の内の森レディースクリニックで漢方外来を担当。

監修チームについて知る

シェアする