漢方薬 東洋医学 膀胱炎

漢方と365日。×Crumii #06

膀胱炎におすすめの漢方薬3選

「また来たかも…」頻繁なトイレ通いや、排尿時のツンとした違和感、残尿感が気になることはありませんか?

膀胱炎は、多くの女性が繰り返しやすく、悩まされやすい厄介な症状です。つらさを我慢せずに、早めに対策することが大切です。

夏に増える膀胱のトラブル、漢方で体の内側からケア

7月ごろから始まる本格的な夏は、エアコンによる冷えや汗でのムレ、こまめな水分補給の不足などが重なり、膀胱に負担がかかりやすくなります。

漢方では、こうした膀胱の不快感は体の中にこもった「熱」や、水の巡りが悪くなった「湿(水の滞り)」が原因と考えます。体調(証)に合わせて、根本に働きかける漢方薬を選ぶことで、くり返すつらさの軽減が期待できます。

膀胱炎におすすめの漢方薬3選

1.猪苓湯(ちょれいとう):

尿が出しにくい、出しきれない感じがある方で、排尿時の痛みや尿に血が混じることがあり、口の渇きを感じやすいタイプ。

2.五淋散(ごりんさん):

手足が冷えやすく、排尿時にツンとする刺激を感じたり、何度もトイレに行くのにスッキリしない…そんな排尿の違和感が慢性化して気になるタイプ。

3.竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう):

体力はあるが、感情が高ぶりやすく、膀胱や陰部の炎症やかゆみが強く出やすいタイプ。

漢方薬 東洋医学 膀胱炎
photo: PIXTA

猪苓湯(ちょれいとう)

排尿後のスッキリ感がなく、口が渇きやすい方におすすめです。

こんな症状に : 残尿感、排尿時の痛み、頻尿、尿量の少なさ、血尿、のどの渇き

含まれる生薬 : 猪苓、茯苓、沢瀉、滑石、阿膠

特徴・効果 : 体にたまった余分な熱や水分を取り除き、膀胱の炎症やむくみを和らげます。尿の出をスムーズにすることで、排尿トラブルを改善。保湿作用のある阿膠が含まれ、尿トラブルがあってものどが渇く方にも向いています。味はややさっぱり系で飲みやすく、顆粒剤が多く市販されています。朝晩の空腹時に白湯で服用すると効果的です。

五淋散(ごりんさん)

膀胱炎を繰り返しがちで、冷えやすい体質の方に向いています。

こんな症状に : 排尿時の痛み・熱感、頻尿、尿の濁り、血尿、下腹部の不快感、冷えによる手足の冷たさ

含まれる生薬 : 茯苓、当帰、黄芩、山梔子、芍薬、地黄、甘草、沢瀉、木通、滑石、車前子

特徴・効果 : 膀胱の炎症を鎮めつつ、血流を促し、冷えによる頻尿や残尿感を改善します。慢性化しやすい膀胱トラブルにも対応。少し苦みがありますが、甘草や芍薬が加わり比較的バランスのよい味わいです。朝晩の食前または空腹時に服用し、冷えやすい方は温かい白湯で飲むのがおすすめです。

竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)

イライラしやすく、炎症が強めの膀胱炎やかゆみが気になる方におすすめです。

こんな症状に : 強い排尿痛、濃い尿、残尿感、陰部のかゆみやただれ、おりものの変化、怒りっぽさ、比較的体力がある

含まれる生薬 : 竜胆、黄芩、山梔子、木通、車前子、沢瀉、当帰、地黄、甘草、柴胡

特徴・効果 : 体にこもった「熱」や「湿気」を取り除き、膀胱や外陰部の強い炎症やかゆみに対応します。感情の高ぶりによる体の不調にも効果的です。やや苦みのある味が特徴ですが、体の熱をしっかり冷ましてくれます。胃が弱い方は食後の服用が安心ですが、基本的には空腹時の服用が効果的とされます。

夏に起こりやすい膀胱トラブル、漢方で体の内側からケアを

気温や湿度が上がる夏場は、冷房による体の冷えや、汗によるムレ、水分不足などが重なって、膀胱の不調が現れやすくなります。もちろん、尿意を我慢せず、水分をとって、膀胱炎を予防することもお忘れなく。

漢方では、その人の体質や体のバランス(証)を見極めたうえで、根本から整える処方を選びます。つらさを我慢せず、自分に合った漢方で体の中から整えていきましょう。

「なんとなく合いそう」で選ぶのではなく、専門知識をもつ漢方医や薬剤師に相談しながら、自分のからだに合う処方を見つけるのがおすすめです。夏の繰り返す不快感と上手に付き合っていくために、早めの体質改善を心がけましょう。

 

※本記事は「漢方と365日。」の協力で作成されました。

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【みんなとつくる漢方メディア 漢方と365日。】

難しいと思われがちな漢方をよりわかりやすく、そして自分事にしてほしいという願いからオープンした「漢方と365日。」

漢方体質診断「見つかる!わたしの不調スイッチ」で自分の体質を知ができるほか、現時点での自分の体や心がどんな状態であるか確認でき、体質に合わせた生活習慣や運動などの養生法を手に入れられる。漢方の処方を受けられる医療機関の検索も可能。

 

この記事の監修医師

丸の内の森レディースクリニック

吉住奈緒子先生

大阪大学医学部医学科卒。 大阪府立急性期・総合医療センター、厚生労働省医系技官などを経て、現在は東京女子医科大学附属東洋医学研究所 助教。 専門は公衆衛生、東洋医学。毎週火曜日、丸の内の森レディースクリニックで漢方外来を担当。

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