漢方薬 東洋医学

漢方と365日。×Crumii #03

寒暖差の冷えのぼせにおすすめ漢方薬3選

寒暖差でお疲れ…そんなあなたに漢方薬はいかがですか?

6月に入ってから、夏のように暑いと思ったら梅雨寒で夜は冷え込んだりと、安定しない日が続きますね。季節の変わり目は寒暖差が激しく、体調のバランスが乱れがち。環境の変化に体がついていけず、冷えのぼせや倦怠感、肩こり、頭痛といった不調を感じやすい時期でもあります。

漢方は、あなたの体質に合わせてじっくり根本からアプローチしてくれるので、心も体もゆらぐこの時期、漢方薬がおすすめです。

漢方のチカラで不調を根本解決!

「冷えのぼせ」は、漢方では「上熱下寒(じょうねつげかん)」と考えられ、体の上部に熱がこもり、下半身が冷えている状態です。

さらに、疲れやすい、食欲不振といった症状がある方は気が不足している「気虚」、イライラする、眠りが浅いといった症状がある方は気の巡りが悪い「気滞」や「気逆」の可能性があります。

そんなときは漢方薬のチカラで寒暖差の時期を乗り切りましょう。

冷えのぼせにおすすめの漢方薬3選

1. 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
冷えのぼせ、疲れやすい、肩こり、不眠などの症状のある方に

2. 温経湯(うんけいとう)
冷え症、ほてり、生理不順、貧血気味などの症状がある方に

3. 補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 
 疲れやすい、だるい、食欲不振などの症状がある方に

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photo: PIXTA

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

体力がなく、冷えと上半身のほてりを同時に感じる「気逆」「気虚」タイプにおすすめです。

こんな症状に:冷えのぼせ、微熱、倦怠感、肩こり、不眠、動悸、息切れ など

含まれる生薬:柴胡、黄芩、栝楼根、桂枝、乾姜、甘草、牡蛎

特徴・効果:上半身の余分な熱を冷ましつつ、下半身を温めることで「冷えのぼせ」を和らげます。精神を落ち着け、不安感や不眠などの自律神経症状にも効果が期待できます。牡蛎や甘草が含まれるため、ややミネラル感とほのかな甘みのある風味。エキス剤や顆粒タイプが多く、温かい白湯での服用がおすすめです。

温経湯(うんけいとう)

血の巡りが悪く、手足の冷えや乾燥が気になる「瘀血」「血虚」タイプにおすすめです。

こんな症状に:冷え症、のぼせ、手足のほてり、口唇の乾燥、生理不順、生理痛 など

含まれる生薬:麦門冬、半夏、当帰、甘草、桂枝、芍薬、川芎、牡丹皮、人参、呉茱萸、阿膠、生姜

特徴・効果:血流を促進して体を内側から温め、冷えや乾燥による不調を改善します。ホルモンバランスにも働きかけるため、月経に関する悩みにも有効です。甘草や当帰によるやさしい甘みの中に、呉茱萸や牡丹皮のほのかな苦みが感じられる複雑な味わい。顆粒・エキス剤で処方されることが多く、継続して服用することで体質改善が期待できます。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

疲れやすく元気が出ない「気虚」タイプにおすすめです。

こんな症状に:倦怠感、疲労感、食欲不振、日中の眠気、風邪を引きやすい、寝汗、胃もたれ など

含まれる生薬:黄耆、当帰、柴胡、人参、蒼朮、陳皮、升麻、甘草、生姜、大棗

特徴・効果:胃腸の働きを助け、体内の「気(エネルギー)」を補うことで、疲れやだるさを根本から改善します。免疫力を高める作用もあり、風邪を引きやすい方にも向いています。人参や甘草によるやさしい甘みが特徴で、比較的飲みやすい味です。顆粒やエキス剤が主流で、朝晩の空腹時に白湯で飲むのが効果的です。

寒暖差の冷えのぼせと漢方:まとめ

寒暖差の大きいこの時期は、気温の変化が激しく、冷えのぼせや体の疲れを感じやすく、さまざまな症状が現れがちです。

漢方薬は、体質に合わせた根本的な改善を目指せるため、この時期の不調におすすめです。柴胡桂枝乾姜湯、温経湯、補中益気湯のほかにも、様々な漢方薬がありますので、漢方に詳しい医師に相談しながら、自分にぴったりの漢方薬を見つけて、快適な春を過ごしましょう。
 

※本記事は「漢方と365日。」の協力で作成されました。

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吉住奈緒子 先生

大阪大学医学部医学科卒。 大阪府立急性期・総合医療センター、厚生労働省医系技官などを経て、現在は東京女子医科大学附属東洋医学研究所 助教。 専門は公衆衛生、東洋医学。毎週火曜日、丸の内の森レディースクリニックで漢方外来を担当。

この記事の監修医師

丸の内の森レディースクリニック

吉住 奈緒子先生

大阪大学医学部医学科卒。 大阪府立急性期・総合医療センター、厚生労働省医系技官などを経て、現在は東京女子医科大学附属東洋医学研究所 助教。 専門は公衆衛生、東洋医学。毎週火曜日、丸の内の森レディースクリニックで漢方外来を担当。

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