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①基本編|ピルの違いを徹底比較!目的・成分・世代でわかる自分に合うピルの選び方

 

どうやら生理痛の改善やPMSにピルがいいらしい。ネットで色々調べてみたけど、たくさんあってどれが良いのかわからない…副作用の不安もある。結局どれを選べばいいの?という悩みを相談してくださる患者さんは多いです。
結論からいうと、「医師に相談してみてね。」になってしまうのですが、何の予備知識もなく相談に行くのは抵抗がある方のために、crumiiでは今回、ピルの解説をすることにしました。
避妊目的のOCと、治療目的のLEPは成分が近いこともある一方で、目的や保険の適用における位置づけが違います。

ピルの正しい選び方は、
「一番の困りごとに合いそうなピルを選ぶ。しばらく試して、合わないならチェンジ。」に尽きます。

これはピルに限ったことではありませんが、トライ&エラーが大事です。

きちんと整理すると、違いは大きく分けて次の3つに集約できます。

1.目的の違い
避妊のために使うのか、生理痛やPMSなど、つらい症状を治療、緩和するために使うのか。ここで「保険が使えるかどうか」も変わってきます。
2.成分(ホルモンの種類)の違い
配合されている女性ホルモンの種類によって、肌への作用やむくみやすさ、気分の波など、体で感じる作用が変わることがあります。
3.世代(開発の順番)や飲み方の違い
昔からあるタイプは実績が多く、比較的最近承認されたタイプのお薬は、副作用を減らしたり、月経前の不調に寄せたりといった、狙いがはっきりしているものもあります。


それに、10年前に比べると、ピルはかなり種類も増え、アップデートされています。日本でも、天然型エストロゲン(E4)を含む新しい治療薬「アリッサ」が2024年に承認されましたし、これまで『体質的にピルが難しい』と言われた方の選択肢になり得る、エストロゲンを含まないお薬「スリンダ」も、昨年から発売を開始しています。

かなり前に試してみたけれど、合わなくてやめちゃった、という方や、産後に生理が戻ってきたけど、すぐに子供は考えていないので生理をおやすみしたい、という方も、選択肢が増えている現在では、合うものがあるかもしれませんので、ぜひ医師に相談してみましょう。
※本記事は基本編、世代・成分の比較編、お悩み・実用編の3部構成になっています。

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自費、保険含めて、令和のピルの選択肢はこんなにたくさん:丸の内の森レディースクリニック提供

ピルの基本|ピルってどんな薬なの?

ピルの仕組みと基本的な飲み方

ピルは、少量の女性ホルモンを含む飲み薬で、避妊目的の「OC」と、生理痛などの治療目的の「LEP」に大別されます。
女性ホルモンが含まれた薬剤を1日1錠、同じ時間帯に経口投与することで、避妊のほか、生理痛を改善したり、出血量を減らしたりといった効果が期待できるお薬です。フランスやドイツでは、若い世代の7割が避妊の選択肢として低用量ピルを選択しています。

一般的には1ヶ月(4週間分)が1シートになっていて、定期的に4日〜7日の休薬期間(薬の投与をお休みする期間)を設けます。この期間は成分が入っていないプラセボ(偽薬)を飲んだり、自分で飲むのをやめたりして調整します。(飲み忘れがないよう偽薬が用意されている薬と、偽薬のないものがあります)
このお休み期間に生理のような出血(消退出血といいます)があります。休薬したら、次のシートに進み、最初から飲み始めます。以後このサイクルを繰り返します。

副作用とリスク|飲み始めの不調と血栓症について

高い効果が期待できる一方で、副作用が全くないわけではありません。 飲み始めの1〜3ヶ月間は、体内のホルモンバランスが変化するため、「吐き気」「頭痛」「胸の張り」「不正出血」といったマイナートラブルが起きることがあります。これらは体が薬に慣れてくると、自然に落ち着くことがほとんどです。
また、ごく稀ですが重篤な副作用として「血栓症(血管の中で血が固まる病気)」のリスクがわずかに上がります。頻度は低いものの、ふくらはぎの痛みや激しい頭痛などが起きた場合はすぐに服用を中止し、受診する必要があります。
文末に添付文書(薬の取扱説明書のようなもの)を載せておきますので、細かく知りたい方はこちらも併せて参照ください。

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毎日同じ時間にのむ。スタートの曜日が合わせやすいよう、7列シートになっているものが多い

「OC」と「LEP」の違い|避妊目的か治療目的か

医療現場では、薬剤の大まかな区別を、「OC(オーシー)」「LEP(レップ)」と呼んで区別することが多いです。

OC(低用量経口避妊薬):避妊が主目的・基本は自費

OCは Oral Contraceptives(経口避妊薬) の略で、名前の通り「飲む避妊薬」です。医学的には、排卵(=卵が出ること)を起こりにくくして、子宮内膜を薄く保ち、精子の通り道(子宮頸管の粘液)にも変化を起こすことで、妊娠を防ぐ方向に働きます。
大事なのは、OCは「避妊」を主目的として承認されている点です。日本産科婦人科学会のOC/LEPに関するガイドラインでも、避妊を目的として用いる薬剤を「OC」と定義していて、治療目的のLEPと区別しています。
避妊は「病気の治療」ではなく保険がきかないので、医療機関では診察料を含め、自費診療となります。また、OCは避妊だけでなく、肌荒れやPMSの軽減を感じる方もいますが、それは副効能といって、副次的な効果によるもので、お薬の直接的な効果として謳われているわけではないので注意しましょう。

LEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬):条件があえば保険が適用される、生理痛などの「治療薬」

一方のLEPは Low dose Estrogen Progestin の略で、「低用量のエストロゲン(卵胞ホルモン)+プロゲスチン(黄体ホルモン様の成分)」が配合された薬です。
LEPは「つらい生理」に対する治療として位置づけられたものです。実際、LEPの添付文書には効能として「月経困難症」が明記されています。例えば、ルナベルの添付文書はこちら。

成分が似ているのに、なぜ名前も扱いも変わるの?

ここで、たまにきかれる質問があります。OCとLEPは、配合されている女性ホルモンが近いのに、なぜ別物(自費と保険)として扱われるの?というものです。
答えはシンプルで、医薬品は「何に効く薬として承認されたか(適応)」によって、医療の中での立ち位置が変わるからです。避妊の薬として承認されたものはOC、月経困難症・子宮内膜症などの治療薬として承認されたものはLEPとしてカウントされます。

薬の選択は、本人の内服目的が避妊か、つらい症状の改善なのかに加え、年齢や喫煙、体重、既往症、片頭痛のタイプなどに合わせて判断していく形になります。

費用の違いと入手方法:どちらも医師の処方が必要です

ピルの費用

1枚のピルにかかる費用は、必然的に保険の適用されるLEPの方が安い傾向がありますが、ものによります。また、保険の場合は初診料や処方箋料など診療に必要な費用も含まれてきます。

OC:避妊が主目的 → 自費診療のため10割負担
LEP:月経困難症・子宮内膜症など治療目的 → 条件が合えば保険(自己負担はご自身の保険の条件に応じて)

保険適用のピルは自己負担分がだいたい500円〜2000円/1枚ほど、自費のピルは2500円〜4000円程度と幅があります。
注意してほしいのは、保険で出してほしい、安くしたいという価格ファーストのピル選びはあまりおすすめしないということ。

やはり自分のライフスタイルや症状に合ったお薬を選ぶのがベストです。医師も、患者さんが希望したからといって無茶な診断をすることはできませんし、保険適用のピルは最大処方量は3ヶ月分。少なくとも年に4回は、医師に対面して受け取る必要がありますが、自費のピルはオンライン処方で自宅に届けたりもできるので、入手ルートも多様で忙しい方にとってはメリットもあります。(とはいえ受診は必要なので、その点については後述します。)

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ピルはどこで手に入る?

ピルを試したい場合はまず産婦人科にいきましょう。医師と相談した後、お腹や腟からのエコーで子宮や卵巣の様子をチェックしてもらい、医師の診察後に処方してもらえます。
オンライン診療で医師とオンライン面談し、宅配で購入する方法もありますが、子宮や卵巣の状態を確認するために、まずは受診をおすすめします。

<診察時に医師に伝えると良いこと>

受診時や問診時に、次の3点を伝えておくと診察やピル選びのヒントになるのでおすすめ。


1.何が一番の目的、困りごとか
(避妊したい/生理痛がひどい/PMS/肌荒れやニキビ/月経量が多い など)
2.具体的に困っている症状
(いつ・どれくらい・生活にどんな支障をきたしているか。2日目が一番多くて、⚪︎時間に1回くらいナプキンを変える、など)
3.内服にあたって怖いこと・避けたいこと
(吐き気、むくみ、気分の落ち込み、血栓症が心配、など)

まとめ|内服の目的や困りごとをはっきりさせていくと決めやすい

ピルは「避妊」が目的なのか、「生理痛やPMSの治療」が目的なのかによって、選ぶべき種類や保険適用かどうかを含めた費用が変わってきます。 まずは自分が「何を解決したくてピルを飲みたいのか」を明確にしていくと、おすすめのピルを紹介してくれると思います。

いざ病院に行くとたくさんの薬の名前が出てきて混乱してしまうかもしれませんが、 実はピルには、開発された時期による「世代」や、ホルモンの配合パターンによる「相性」といった違いがあり、それぞれ得意なことや副作用の出方が異なります。
明日の記事では、世代の違いや自分に合うピルの具体的な選び方について、詳しく解説していきます。

 

<<参考文献>>
低用量経口避妊薬(OC)の医師向け情報提供資料
女性の健康推進室 ヘルスケアラボ
学校医と養護教諭のための思春期婦人科相談マニュアル

 

<<本記事で解説したピルの添付文書一覧(五十音順)>>
アリッサ配合錠(添付文書PDF)
アンジュ(添付文書PDF)
ジェミーナ配合錠(添付文書PDF)
スリンダ(添付文書PDF)
トリキュラー錠(添付文書PDF)
ドロエチ配合錠(添付文書PDF)
ファボワール錠(添付文書PDF)
マーベロン21、28(添付文書PDF)
ヤーズ配合錠(添付文書PDF)
ヤーズフレックス配合錠(添付文書PDF)
ルナベル配合錠LD/ULD(添付文書PDF)

太田 寛

この記事の監修医師

産婦人科医師

太田寛先生

産婦人科

千葉県成田市リリーベルクリニック勤務。

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