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女子学生の受験勉強

 

受験生の皆さん、生理のお悩みはありませんか?

はやいものでもう11月、受験生は年明けの本番へ向けていよいよ本腰を入れている頃かと思います。

せっかく一生懸命勉強しているのに、受験本番に生理がかぶってしまって本領が発揮できなかったらどうしよう、、一生懸命頑張ってるのに、生理やPMSの時は勉強が捗らない、、女子はそんな悩みを抱えている方が多いかと思います。

当院(Inaba Clinic)では『受験生の生理相談外来』を設けていることもあって、多くの受験生が、受験と生理の相談に来られています。「せっかくがんばってきたのに、生理のせいで集中できなかったらどうしよう」「当日が生理とかぶったら不安」――これは毎年、多くの受験生や保護者から寄せられる切実な声です。

中学受験、高校受験、大学受験、国家試験、それぞれいろんな夢に向かって頑張っている方たちに向けて、
ここまで頑張ってきたからこそ、痛みや眠気でパフォーマンスを落とさないために、できること、知っておいて頂きたいことを、産婦人科医から贈ります。

生理はしょうがない、じゃない

受験は、これまでの努力を試す人生の大きな節目。生理やPMSに振り回されず、最高のパフォーマンスで臨みたいもの。
ですが、10代のうちは生理周期がまだ不規則という方も少なくありません。普段は規則的だけど、受験のストレスで急に生理が不規則になったり、中学受験の場合は、受験の直前に初潮がきてしまった、というケースもあります。

生理は自然な現象ですが、つらいのは仕方ない、不規則なのもどうしようもない、と我慢する必要はありません。
また、本番にかぶらなければよいというわけではないですよね。生理やPMSが重い方は、受験勉強中も、生理やPMSの時期は勉強が捗らなかったりすることもあるかと思います。

婦人科では、生理痛やPMSなど生理周期に伴うさまざまなトラブルへの対策が可能です。生理対策も受験を全力で乗り切るための準備の一環として、婦人科を頼って下さい。

診察する女子高生
photo: PIXTA

生理をずらすには?

普段の生理が規則的な場合は、生理をずらすことができます。生理が予定通りくると受験にかぶってしまいそう、という場合は、生理がかぶらないようにずらすことで、受験本番をよい体調で迎えることができます。

生理を遅らせる場合は、生理予定日の約1週間前から生理が来てほしくない期間、ホルモン剤を内服する、という方法をとります。ですので、あまり直前に受診するとずらすのが間に合わないこともありますので、はやめに婦人科で相談しましょう。

なお、生理をずらすのは、保険適用外の診療となるので「自費」となります。

普段の生理から軽くするには?

鎮痛剤だけでまったくしんどくなく快適に過ごせるのであればそれでも大丈夫ですが、鎮痛剤を内服してもしんどい、生理の量が多くて困る、生理が長く続いて困る、眠気や倦怠感がつらい、PMSの症状もつらい、などの場合は、鎮痛剤では改善しません。

低用量ピルやプロゲステロン製剤でホルモンの変動を安定させてあげることで、普段の生理も軽くしたり、生理のタイミングをコントロールしたりすることができます。ただし、自分に合う薬が見つかるのに時間がかかることもありますので、なるべく、受験直前ではなくはやめに相談するのがおすすめです。

なお、生理痛など「月経困難症」の治療として低用量ピルやプロゲステロン製剤を処方する場合は「保険診療」です。自治体によっては高校生まで保険診療が無料や補助がでるところもありますので、受診のハードルも下がるかと思います。

小中学生も婦人科を受診してよいの?

何歳でも生理痛は生理痛です。もちろん小学生でも受診して大丈夫です。小中高校生や、性交渉の経験がまだない方の場合は、原則として内診台での診察はありません。子宮や卵巣の状態を確認する必要がある場合も、お腹からの経腹エコーで診察します。
(ただし、やはり内診台での経腟エコーの方がより正確に診断できるのは間違いなく、一般的に婦人科の診察で、経腟エコーを経腹エコーで代用できる、というわけではありません。)

内診されないか不安、、というお声もよく聞かれますが、安心してご受診頂ければと思いますし、心配な場合は、受診する前に医療機関に確認しておきましょう。

親ができる声かけ

思春期の子は、「生理痛がつらい」と言葉にしづらいこともあります。無理に詮索するのではなく、「もし生理がしんどかったら相談してね」「薬で生理がラクになる方法もあるよ」と、選択肢をそっと提示することが大切です。

親御さん自身も「昔は我慢していたから」「薬に頼らせるのは…」と躊躇する気持ちがあるかもしれません。しかし、今は生理痛を我慢しなくてよい時代です。生理痛を放っておくと子宮内膜症につながることもあります。薬を飲み続けるなんて体に負担になるのでは…と心配される保護者の方もおられますが、重い生理を毎月我慢していること自体が体にとって大きな負担で、薬はその負担を軽減するための方法なのです。

母親と学生の娘が自宅で話している
photo: PIXTA

生理は受験生しか治療できないわけではありません

生理痛を軽減するのは、受験生だけの特権ではありません。受験生に限らず、働いてるかどうかに限らず、どんな方でも、生理痛やPMSは我慢しなくてよいのです。生理にまつわる困りごとは、医療の力でサポートできます。まずは相談してみて下さい。

来年受験生の方で、実は毎月生理がしんどい、生理前がしんどい、という方は、ぜひ今のうちに婦人科で相談しましょう。毎月がとても過ごしやすくなりますよ。

女性だから生理やPMSがしんどいのは仕方ない…という時代ではありません。保険診療で誰もが治療できます。

備えておくと安心グッズ

生理痛やPMSの症状は本当に個人差が大きいので、すんごいしんどい方もいれば、全く困っていない方もいます。全く困っていない方はもちろん受診しなくてよいのですが、それでもなにがあるか分からないのが受験。
思いがけず出血があっても慌てなくてよいように、吸水ショーツをはいておくと安心です。吸水ショーツは、サニタリーショーツとは違って、ナプキンをつけてなくてもショーツ自体が経血を吸収してくれて、服が汚れる心配がありません。
もうひとつは鎮痛剤。普段は痛くなくても、本番で思いのほか痛くなる可能性もあります。そんな時に、サッと内服できる鎮痛剤があると心強いです。眠くならない鎮痛剤を選んでおけば安心です。

 

「もっと早く相談していれば」――そうならないよう、今このタイミングで、婦人科の力を借りて“もうひとつの受験対策”を始めておきましょう。今の頑張りを本番でちゃんと発揮できるよう、自信をもって本番に臨めるように、全力でサポートします。

ガッツポーズをする女性医師
photo: PIXTA
稲葉可奈子

この記事の執筆医師

院長

稲葉可奈子先生

産婦人科

京都大学医学部卒業、東京大学大学院にて医学博士号を取得。産婦人科診療の傍ら、子宮頸がん予防や性教育、女性のヘルスケアなど生きていく上で必要な知識や正確な医療情報を、メディア、企業研修、書籍、SNSなどを通して発信している。婦人科受診のハードルを下げるため2024年7月渋谷にInaba Clinic開院。

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