③お悩み・実用編|ピルが合わない・副作用がつらい時は?ジェネリック変更やオンライン処方の注意点
「ピルを飲み始めたけれど、吐き気がつらい」「生理痛があまり変わらない気がする」 そう感じる場合は、お薬の変更を考えましょう。ピルは便利な薬ですが、相性があり、何度か変更してみて会うものに出会うこともあります。 この記事では、今使っているピルが合わない時の対処法や、ジェネリック医薬品への切り替え、オンライン処方を利用する際の注意点について解説します。
今のピルが合わないと感じたら…
これまでピルにはシリーズが色々あるという話をしてきました。ピルの種類が多いということは、逆に言えばピルを飲んでみて、吐き気や頭痛、不正出血があったりする時や、生理痛や月経量にあまり変化がないなと感じているとき、変更の選択肢もいろいろあるということです。
| ・用量を下げてみる/上げてみる (低用量→超低用量、またはその逆) ・飲む時間を変えてみる (夜にするとそのまま寝ちゃうので気にならなくなる) ・相性(1相/3相)を変えてみる ・プロゲスチンの種類(世代)を変えてみる ・エストロゲンを抜いてみる(POPへ) ・飲み方(連続服用/休薬)を変えてみる |
今は選択肢が増えたので、最初のトライがうまくいかなくても、意外と変えてみる価値はありますし、ピルに固執しなくても、ミレーナや黄体ホルモン製剤など、治療には別の選択肢もあります。
内服中のトラブルが長引くなら、まずは受診を。
不正出血(生理ではないタイミングの出血)や吐き気、頭痛などのマイナートラブルは、ピルの服用開始・変更直後に起きやすいことで知られ、ピルの添付文書(薬の取扱説明書)でも副作用として記載されています。
ただ、難しいのは、「よくある副作用」だからこそ、放置していい症状と、そうでない症状が混ざってしまうところ。

不安を感じたら、できるだけ早めに受診を。切り分けたい可能性は主に3つです。
A)体が慣れていないだけ(時間の経過とともに落ち着くタイプ)
ただのマイナートラブルだった場合は、飲み始めの1〜3か月で、だんだん落ち着くことがあります。
B)ホルモン設計が合っていない(お薬の種類変更で改善するタイプ)
この場合は、お薬の変更が候補になります。
1相性だった場合→3相性へ(ホルモンの強弱をつけて内膜を安定させる狙い)
世代の変更(プロゲスチンの種類を変えるなど)
C)薬とは別の原因が隠れている(検査が必要なタイプ)
ここが最も重要です。ピルで月経痛などの症状が軽くなると、子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどの病変が見えにくくなることがあります。
不正出血やその他の不調が長引くときは、薬の変更だけで済ませずに、医師が内診や超音波などを考えるのは、このためです(次章のオンライン処方の話にもつながります)。
血栓症リスクや年齢が心配な場合、まず自分を棚卸ししてみて
血栓症が怖い、年齢的に大丈夫なの?
OCは、年齢の上昇、喫煙、高血圧などがある場合に血栓症などのリスクが上がることが知られています。ピルの種類以前に、まず自分が次の項目に当てはまるかをチェックしてみましょう。以下のような条件に当てはまる方は、他の治療の選択肢も検討できるので、医師に相談を。
| ◻︎35歳以上で喫煙している? ◻︎肥満や高血圧がある? ◻︎前兆のある片頭痛がある?(※キラキラ見えるなどの前兆があるタイプ) ◻︎血栓症の既往や家族歴がある? ◻︎産後や手術後など、血栓ができやすい時期に当てはまる? ◻︎乳がんの治療をしている? |
先発品とジェネリック(後発品)の違いはある?
ピルは毎月続く出費だから、できれば負担は減らしたい。結論はシンプルで、ジェネリックは先発品と同じ有効成分を同量含み、国の審査で「同等、代替可能」と確認された薬のことです。ただし、まったく同じ見た目や作りである必要はないため、ジェネリックへの切り替えで感じ方が変わる人もいます。
ジェネリックは「同じ成分・同じ量」で、効果も基本的に同等
厚労省は、後発医薬品は先発品と同一成分・同一量で、効能・効果や用法用量も基本的に同じであること、必要なデータで審査され「治療学的に同等」と認められて承認されることを説明しています。さらに、生物学的同等性試験などで血中濃度の動きが同等かを確認し、有効性・安全性に差が出ないよう評価もされています。
それでも「違い」を感じることがある理由は?
体質によっては先発品では問題がなかったけど、ジェネリックが合わないことがあったり、逆にジェネリックはOKだったけど先発品がどうも合わない、というケースは存在します。
添加物や錠剤の形が違うことも
先発品と全く同一でなくても良いので、ジェネリック品は薬剤の形が飲み込みやすいサイズや形に変更されていたり、糖衣錠(表面がツルツルした錠剤)になったりしていることがあります。これは後発品メーカーの企業努力によるもので、成分が違う、ということではありません。
体調の影響
成分の吸収や感じ方は日によって変動するため、切り替えの時期の疲れやストレスが「薬の差」に見えたりすることもあります。
安いのは「開発費が小さい」から
ジェネリックが安いのは、先発品のような大規模な開発を一から行わずに済む構造があるためで、決して効き目が弱いなどの理由ではありませんので安心してください。

ピルでよくある「先発↔ジェネリック」の例(代表例)
ピル領域では、次のような組み合わせが「同じ有効成分・同じ配合」の枠で整理されています。
| ルナベル(先発)↔ フリウェル(後発) フリウェルは、先発品と原薬・添加物・製造方法まで同等。 トリキュラー(先発)↔ ラベルフィーユ/アンジュ(同成分の製剤群) 有効成分「エチニルエストラジオール+レボノルゲストレル」の製品群 マーベロン(先発)↔ ファボワール(同成分の製剤群) 有効成分「デソゲストレル+エチニルエストラジオール」の製品群 ヤーズ(先発)↔ ドロエチ(後発) |
※なお、新しく承認・発売された薬は、すぐにはジェネリックが出ません。販売から時間が経っていないヤーズフレックス、アリッサ、スリンダなどは、今はまだ後発品は選べませんのでご注意を。
オンライン処方は便利だけど…「年1回の対面検査」に行ってほしい理由
医師とのオンライン面談で薬がもらえるオンライン診療やオンライン処方。忙しい20〜40代の女性にとって、たしかに便利な仕組みです。待ち時間が減るし、自宅に郵送されてくるので通院の負担も軽くなります。
ただ、ピルは、オンラインで「薬をもらう」ことと、対面で「体の状態を確認する」ことを、切り分けて考えた方が良いのです。
オンライン診療では「子宮・卵巣の状態」が見えない
オンライン診療でできることは、主に問診(症状や既往歴の聞き取り)と、画面越しに見える範囲の観察です。逆に言えば、対面診療でできる「触って確かめる」「内診する」「超音波(エコー)で子宮や卵巣を見る」はできません。エコーで子宮筋腫など、治療が必要な病気が隠れていることもありえます。
つまり、薬を処方することは出来ても、そもそも今のあなたの子宮・卵巣がどういう状態なのかまでは、画面の向こうからは確認できないのです。オンラインの限界です。

エコー検査と子宮頸がん検診は必ず受けよう
オンライン診療とは別に、対面で受診しておきたい理由としては次の2つの理由です。
① 超音波検査:子宮と卵巣の形や状態をチェックする
エコーは、子宮筋腫や子宮内膜症を疑う所見、卵巣のう腫など、内側の状態を医師が目で確認できる検査です。オンライン処方ではここがまるごと抜けてしまうので、少なくとも定期的に対面で受けるのがおすすめ。
② 子宮頸がん検診:性交渉の経験のある方は定期的にチェックを
性交渉の経験がある女性にとって、子宮頸がん検診は、ピルを飲んでいる・飲んでいないに関係なく大事です。会社の健康診断に入っている人はそれでもOKですが、定期的にチェックを受けておきましょう。
「薬はオンラインでも、検査は近所の婦人科へ」ハイブリッド診療を
毎月(または数か月ごと)の処方は、無理のない範囲でオンラインもうまく活用しましょう。ただし、エコー(超音波)や子宮頸がん検診、血圧測定などは、近所の婦人科で受けておくのがおすすめです。おりものの異常やかゆみなどトラブルがあったとき、妊娠を考えたときなどにも、力になってくれるかかりつけを作っておくと心強いです。プレコンセプションケアの面からも、治療は早めが○。
まとめ|ピルの違いを知って医師と相談しよう
合う薬剤に出会えると、ピルはとても便利です。生理痛やPMSが軽くなって、寝込むほどだった生理中の生活が劇的に変わる方も多い。避妊を含めて、自分の人生を自分でコントロールするための手段にもなります。
ただ、ピルには相性がありますし、飲み始めて数ヶ月のマイナートラブルを乗り越えて、快適になったという人も多いのです。
「副作用がつらい」「効果が実感できない」なら、変えてみましょう
この記事でいちばん伝えたかったのはここです。
ピルは、合わないなら変えていいもの。医師と相談して、複数ある選択肢の中から自分に合った治療を選択すれば良いのです。
吐き気がつらい → 用量を下げる/飲む時間を変える/成分変更を相談
不正出血が続く → 相性(1相/3相)や世代を変える/病気の検査も含めて評価を
血栓症が不安 → 自分のリスク因子を考えて、POPなども候補に
我慢せずに医師と相談して自分に合う方法で治療していくことが、長く健康にピルを続けていくためのコツです。 正しい知識を持って、あなたの体に一番合う選択肢を見つけていきましょう。
<<参考文献>>
低用量経口避妊薬(OC)の医師向け情報提供資料
女性の健康推進室 ヘルスケアラボ
学校医と養護教諭のための思春期婦人科相談マニュアル
<<本記事で解説したピルの添付文書一覧(五十音順)>>
アリッサ配合錠(添付文書PDF)
アンジュ(添付文書PDF)
ジェミーナ配合錠(添付文書PDF)
スリンダ(添付文書PDF)
トリキュラー錠(添付文書PDF)
ドロエチ配合錠(添付文書PDF)
ファボワール錠(添付文書PDF)
マーベロン21、28(添付文書PDF)
ヤーズ配合錠(添付文書PDF)
ヤーズフレックス配合錠(添付文書PDF)
ルナベル配合錠LD/ULD(添付文書PDF)















