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漢方と365日。×crumii #14

過労・忘年会・年末疲れにおすすめの漢方薬3選

 

12月…年末に向けて仕事が立て込み、クリスマス、忘年会などの予定も増えると、どうしても体への負荷が大きくなりやすい時期に入ります。睡眠リズムが崩れがちになり、肌のカサつきや吹き出物、むくみといった悩みが次々に出てくることも。疲労が重なるほど胃腸の働きも落ちやすく、だるさや集中力の低下につながりやすいため、疲れがたまる前に手を打つのがポイントです。

冷えと疲れで崩れやすい冬の体調を漢方で立て直す

忙しい季節の「しんどさ」は、漢方ではエネルギーの不足や体内の気や水分のめぐりの乱れが背景にあると捉えます。そこに冷えや乾燥といった環境要因が重なることで、普段より疲れやすくなったり、肌や胃腸に不調が出やすくなったりします。漢方は「証」に沿って、足りない要素を補いながら、滞りや余分なものを整えていきます。漢方をうまく使って、冬特有の不調をうまく和らげましょう。

症状タイプ別、過労・忘年会・年末の疲れに役立つ漢方3選

1.五苓散(ごれいさん):体の水分のめぐりが崩れやすく、むくみや頭が重い感じが出やすい人に

2.十全大補湯(じゅうぜんたいほとう):疲れが積み重なりやすく、体力が落ちて気力がわかないタイプに

3.平胃散(へいいさん):胃腸がへたり気味で、食べ過ぎ・飲み過ぎのあとに不調を感じやすい人におすすめ

 

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おすすめ漢方薬3選、処方の解説

五苓散(ごれいさん)

水分のめぐりが滞って「むくむ」「頭が重い」「頭が痛い」といった症状がでやすい「水滞(すいたい)」タイプにおすすめの処方です。
 

こんな症状がある方に:
体がむくみやすい、頭が重い(頭重感)、頭が痛い、天候で体調が揺れやすい、飲み過ぎ食べ過ぎでお腹がゆるくなりやすい など

含まれる生薬:沢瀉、猪苓、茯苓、白朮、桂枝

特徴・効果:体にたまった余分な水分を外へ出し、水分バランスを整えることで、むくみ・頭重感・天候による不調をスッキリ方向へ導きます。飲み口は甘さ控えめで、桂枝のスパイシーな香りがあり、ややさっぱり〜軽い苦みを感じることもあります。冷たい飲み物で流し込むよりも、白湯など温かい飲み物で飲むと体も温まるのでおすすめ。二日酔い予防や「飲んだ翌日のむくみや下痢」が気になるときにも向いているので、飲み会シーズンにポケットに忍ばせておくと便利かもしれません。

十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)

疲れが抜けにくく、体力(気)と血(けつ)・潤いがどちらも足りない「気血両虚(きけつりょうきょ)」タイプの方におすすめです。
 

こんな症状がある方に:疲れやすく回復に時間がかかる、肌が乾燥しやすい、寒さで体が重い、手足が冷える など

含まれる生薬:人参、黄耆、当帰、地黄、白朮、茯苓、川芎、芍薬、桂皮、甘草

特徴・効果:体力(気)と栄養・うるおい(血)を同時に補って、巡りも整えることで、疲労感が続くときの底上げに役立ちます。味は、甘草や人参由来のほんのり甘みがベースで、地黄のコクや独特の風味を感じることがあります。もし飲みにくいと感じたら、少量の白湯で溶いてから追い白湯をすると香りが和らぐのでおすすめ。空腹時が基本ですが、胃が弱い方は食後など負担の少ないタイミングで続けるのが良いでしょう。

平胃散(へいいさん)

胃腸に湿気や停滞がたまって「重い・張る・だるい」と感じる「湿滞(しつたい)」タイプにおすすめの処方です。
 

こんな症状に:胃が重い、食べ過ぎるとすぐお腹が張る、お酒の翌日に胃腸が荒れやすい、体がだるく動きづらい など 

含まれる生薬:蒼朮、厚朴、陳皮、生姜、大棗、甘草

特徴・効果:胃腸の動きを助けて、余分な湿気をさばき、食べ過ぎ・飲み過ぎによる重だるさや張りを整えます。香りが立つ処方で、陳皮の柑橘系の風味に、蒼朮・厚朴のほろ苦さやスパイシーさが混ざる、漢方の中ではすっきり系の味わいです。食後に飲むと胃が動きやすく感じる人も多く、特に「食べたあとに重い」と感じる日に相性が良いです。冷たい飲み物は胃を冷やしやすいので、白湯で飲むのをおすすめします。

 

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冬に出やすい冷え・だるさ・胃腸の不調は、体質に合った漢方で


冬は、疲れからくる活力低下や水分のめぐりの乱れ、胃腸の機能低下などが重なりやすい季節。こうした状態を漢方の「証(体質・状態の見立て)」に沿って調整すると、忙しさが続く時期のつらさをやわらげる助けになるかもしれません。
たとえば五苓散は、むくみや頭が重い感じといった水分バランスの崩れに。十全大補湯は、疲れが抜けにくいときに不足しがちな力を補い、元気を支えます。平胃散は、食べ過ぎ・飲み過ぎのあとに出る胃のもたれや重だるさのケアに役立ちます。
大切なのは、今の自分に合う処方を選ぶこと。自己流で決めずに、漢方に詳しい医師に相談して、冬特有の不調に負けにくいコンディションづくりを進めていきましょう。


※本記事は漢方と365日。の協力で作成されました。
漢方と365日
【みんなとつくる漢方メディア 漢方と365日。】
難しいと思われがちな漢方をよりわかりやすく、そして自分事にしてほしいという願いからオープンした「漢方と365日。」
漢方体質診断「見つかる!わたしの不調スイッチ」で自分の体質を知ることができるほか、現時点での自分の体や心がどんな状態であるか確認でき、体質に合わせた生活習慣や運動などの養生法を手に入れられる。漢方の処方を受けられる医療機関の検索も可能。
 

この記事の監修医師

丸の内の森レディースクリニック

吉住奈緒子先生

大阪大学医学部医学科卒。 大阪府立急性期・総合医療センター、厚生労働省医系技官などを経て、現在は東京女子医科大学附属東洋医学研究所 助教。 専門は公衆衛生、東洋医学。毎週火曜日、丸の内の森レディースクリニックで漢方外来を担当。

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