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体調不良でお腹をかかえる女性

 

「おめでとう」のその後に。妊婦さんのパートナーが妊娠初期に知っておくべきこと【後編】|妊娠初期編(妊娠0週〜15週)

 

前編の記事では、パートナーや妊婦さんの周囲の方が知っておきたい、つわりの症状のイメージや食事・家事面のサポート、そして流産のリスクについて解説しました。
今回の記事では、知るから一歩進んで実際の行動に関する内容をお届けします。つわりの症状が悪化したケースや、すぐに受診すべき危険な兆候にはどのようなものがあるか、また、母子手帳の交付や分娩先の選定、出産にかかるお金の話など、ふたりで早めに取りかかりたい準備について解説します。よかれと思って言ってしまいがちなNG発言についても触れていきます。

こんな時は迷わず受診を。妊娠初期の危険も知っておく

つわり自体は、不快でしんどいものをさしますが、重症化すると命に危険が及ぶレベルになることも。ほかにも妊娠初期の症状の中には、緊急性のあるものもあります。

強い腹痛や出血がある場合|異所性妊娠の可能性

・片側の強い下腹部痛
・出血が増える
・めまい、失神、冷や汗

こうした症状があれば「異所性妊娠」、いわゆる子宮外妊娠の可能性があります。
これは受精卵が子宮以外(多くは卵管)に着床する状態で、妊娠の約1〜2%に起こるとされています。卵管が破裂すると大量出血につながるため、緊急対応が必要です。
強い痛みを訴えたり、意識が遠のくような感覚があれば、すぐ受診を検討してください。
※異所性妊娠についての詳しい記事はこちら

水分がとれない|つわりの重症化(妊娠悪阻)

・水分がほとんどとれない
・半日以上尿が出ない
・急激な体重減少
・ぐったりして動けない

これらは「妊娠悪阻(にんしんおそ)」と呼ばれる重症のつわりの可能性があります。脱水や体内の電解質バランスの乱れを起こし、点滴や入院が必要になることもあります。「そのうち良くなるから」と無理させずに、早めに医療機関に相談しましょう。

点滴をしながら辛そうにする女性

情報格差をなくす|ふたりで親になるための情報収集

母子手帳の交付と、自治体・分娩先の情報を集める

妊娠が確定すると、自治体で母子健康手帳が交付されます。これは妊娠・出産・育児の記録を残す大切な手帳です。自治体の役所にいき、妊娠届を提出するともらえます。
母子手帳の交付時には、自治体の助成制度に関する説明書や健診のクーポンなど、さまざまな情報も同時に提供されます。これは妊婦さん本人に任せきりにしないで、一緒に理解する姿勢が重要です。

また、分娩先の検討も始めましょう。里帰りをするのかしないのか、里帰りするなら帰省までの間、どこで健診を受けるか、自宅からの距離、無痛分娩ができるか、予算、いつまでに予約が必要かなど、分娩先を決めるために色々と考えることがあります。もちろん決めるのは妊婦さん本人ですが、情報収集はパートナーも一緒におこないましょう

分娩先の選び方についてはこちらの記事も合わせてどうぞ!

分娩先の選び方完全ガイド|前編
分娩先の選び方完全ガイド|後編
麻酔科医の視点から語る「無痛分娩」と産院選び

妊婦健診に同行する意義

妊婦健診では、超音波(エコー)検査で赤ちゃんの様子を確認します。7〜8週頃には、赤ちゃんの心拍が確認できます。赤ちゃんの心拍確認、出生前検査などに立ち会っていくことで、赤ちゃんの成長を実感し確認することができます。
初期の頃の健診は月に1回。気になることを医師や助産師に相談する機会でもありますので、時間が許す限り、ぜひ足を運んでください。

お金の話を始めよう|出産育児一時金や今後のライフプランを考える

出産にはお金がかかります。日本では健康保険から「出産育児一時金」が支給されますが、2023年度からは原則50万円に増額されています。
その他にも自治体の補助金など、受けられる助成金などの制度を知っておくと、出産や育児の経済的な不安を減らすことができます。早い段階でライフプランの話を始めることも、妊婦さんを支える人たちの大切な役割です。

妊娠初期、やってはいけないNG行動とは?

つわりを「病気じゃないから」と軽視する発言

つわりは病気ではありませんが、れっきとした体調不良です。「みんな経験してる」「気の持ちようでしょ」といったつわり症状を軽視する言葉は、妊婦さんを深く傷つけます。妊娠中の症状は個人差が大きいものです。誰かと比べるものではなく本人が感じる症状をケアする必要があると理解してください。

妊婦さんの体調より自分の食事やお金の心配をする

つわりのせいでにおいと吐き気にやられ、炊事どころではないのに、「僕のごはんは?」という言葉や、気を遣ったつもりの「僕のごはんは大丈夫」という発言にカチンとくる方もいるようです。
食べられるものが限られているのに、自分の食事やお金の心配をするという声も聞きます。
父親になる準備として、普段から自分で家事や食事の準備ができるようになっておきましょう。

僕のごはんは?と聞く男性と、イラッとするつわり中の女性

「そんなものばかり食べて栄養は大丈夫なの?」は禁句

つわりの時期、ファーストフードなど、ジャンキーなものなら食べられる、という方は意外と多いです。側からみると、「栄養偏ってない?」と心配になるかもしれませんが、本人に直接いうのはNG。なぜなら、栄養のあるものを一番食べたいのは妊婦さん本人なのです。何度もいいますが、この時期に大事なのは栄養バランスよりもとにかく食べること。外野がとやかく言わないようにしましょう。

まとめ|「正しい情報を知っていること」が、いちばんの支えになる

妊娠初期は、お腹も目立たず、一見普段と変わらないように見えるので、周囲にその大変さが伝わりにくいです。でも体の中では、赤ちゃんの成長を支えるために目まぐるしい変化が起きています。今回の記事では、つわり、ホルモンによる感情の起伏、流産のリスクなど、近くにいて支える人が知っておきたいことについて解説してきました。

パートナーや周囲の人にできるサポートは、特別なことをすることではありません。妊婦さんの「見えないつらさ」を理解し、日々の家事や食事の準備を担い、軽率な言葉は控える。それだけで、妊婦さんの負担はかなり軽減します。

妊娠・出産はふたりで迎えるもの。お互いの情報格差をなくし、健診や手続きにも積極的に関わることで、これからの育児におけるパートナーシップの土台が作られると言っても過言ではありません。
これらの注意点は、パートナーだけでなく、職場で妊婦さんを支える方々にも知っておいてほしいものです。つわりの症状には個人差があり、普通に働ける状態でないこともあること、流産や妊娠悪阻などによる急な入院もあり得ることなど、「正しい情報を知っていること」がいちばんの配慮になります。

参考資料
妊娠・出産がぜんぶわかる本 重見大介,2023,株式会社KADOKAWA
産婦人科 診療ガイドライン ―産科編 2023

柴田綾子

この記事の監修医師

医長

柴田綾子先生

産婦人科

世界遺産15カ国ほど旅行した経験から母子保健に関心を持ち産婦人科医となる。2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修し2013年より現職。女性の健康に関する情報発信やセミナーを中心に活動。著書:女性の救急外来 ただいま診断中!(中外医学社,2017)、産婦人科ポケットガイド(金芳堂,2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社,2021)明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社,2022)

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