中絶の実際
産婦人科で中絶を希望した場合に具体的にどのように考えて、どのようなタイムスケジュールで決まっていくのかについて書きます。
予定外に妊娠して出産できない場合には、ゆっくり考える時間が無いことが多いので、中絶が決定するまでの産婦人科での流れを書きます。産むか産まないか、自分の状況を良く考えて、自ら選択しましょう。
また、この記事を読んだ人は、ぜひ確実な避妊(低用量ピル、ミレーナ、黄体ホルモン剤、避妊インプラントなど)を選択するようにしてください。なお、コンドーム単独では年間で2~10%程度が妊娠するとされています。妊娠できない状況ならば、他の方法も併用しましょう。
最初に
基本として、妊娠週数の数え方を復習します。
妊娠週数は、月経の初日を0週0日としてカウントします。排卵するのは月経の2週間ほど前なので、月経周期(月経開始から次の月経開始までの日数)が28日周期の人の場合は妊娠2週0日の頃に排卵します。(妊娠してないのに妊娠2週というのも変ですけど)次回の月経は妊娠4週0日頃になります。
月経が不順な人の場合は、排卵が遅くなる場合が多いので、妊娠週数はずれます。例えば、月経周期が42日の人の場合は、28日周期の人よりも排卵が14日ほど遅れるので最終月経から8週間経過したときに妊娠6週となります。(排卵は予想通りに行かずに、ずれることも多いので目安です)
中絶決定までのタイムスケジュール
まず、おおまかにタイムスケジュールを示します。
中絶方法としては、手術、内服薬、分娩誘発による中期中絶、の3種類があり、それぞれに期限があります。
妊娠4~5週 月経が遅れたことに気づいて、ドラッグストアで売っている妊娠検査薬で陽性になる。
妊娠6~7週 産婦人科受診。胎嚢を子宮内に確認。
妊娠8~9週 心拍を確認。中絶をするかどうかを最終決定する。
妊娠9週0日までなら、中絶薬内服が選択可能。
妊娠11週6日までなら、日帰り手術が選択可能。
妊娠21週6日までなら、分娩誘発による中絶が可能。

妊娠判明から中絶が決まるまでに何が起きる?

妊娠4~5週
月経が遅れたり、吐き気や体調不良などがあったりして、妊娠を疑いはじめます。ドラッグストアなどで売っている妊娠検査薬を買ってきて、おしっこで検査をしましょう。
ここで陰性ならば、妊娠の可能性はほとんどゼロです。陰性でも、その後も月経が来ない場合には、2~3週ごとに妊娠検査薬を使って陰性であることを確認しましょう。最後のセックスから4週間以上経過して妊娠反応が陰性の場合には、妊娠している可能性はありません。
妊娠反応が陽性の場合には、産婦人科を探して予約しましょう。予約しなくても診察してくれる病院も多いので、1~2週間以内に産婦人科で子宮の中の妊娠であることを確認しましょう。
妊娠6~7週
産婦人科を受診して、子宮の中に胎嚢が見えることを確認します。子宮外妊娠ではないことを確認します。
胎嚢が確認された場合、2つの選択肢があります。このまま心拍を確認せずに中絶にするか、2週間後くらいに再度受診して心拍を確認してから中絶にするかです。
一般的に、胎嚢が確認されてから15%程度が流産になります。流産であれば、心理的にも経済的にも女性の負担は軽くなります。しかし、心拍を確認したくないという女性もいます。心拍確認前の場合は中絶扱いになります。
胎嚢が確認できなかった場合には、主に3つのパターンが考えられます。① 早すぎて胎嚢が見えない、➁ 成長が止まっていて稽留流産になっている、③ 子宮の中以外に妊娠している異所性妊娠、の3つです。
再確認するために、1週間後に再度診察します。1週間後にも胎嚢が見えなかった場合には、異所性妊娠や化学妊娠、胞状奇胎などを考える必要があります。
妊娠8~9週
再度受診して、心拍を確認します。心拍が確認された場合、ほとんどはそのまま成長していくと判断されるため、中絶をするかどうかを決定することになります。
心拍が確認されても産むかどうか迷う場合には、1~2週間後に再度受診してもう一度成長を確認して、同じ選択をすることになります。なお、飲み薬の中絶薬は妊娠9週0日までにはじめる必要があるので、それまでに決定できない場合には中絶薬による方法は使えなくなります。
一方、前回の胎嚢確認から日数が経過しているのに心拍が確認できなかった場合には、稽留流産の可能性が高いと判断されて1~2週間後に再度確認のために診察となります。稽留流産と診断された場合には、自然に流産するのを待つのか、手術によって子宮の内容を取り出すのかのどちらかを選ぶことになります。
妊娠9週0日
飲み薬による中絶の場合は、この日までに薬を飲み始める必要があります。1剤目を飲んで、36~48時間後に2剤目を飲みます。2剤目を飲んでから24時間以内に95%以上の人が人工流産となります。
妊娠11週6日
多くの日本の病院では、この日までは日帰り手術による中絶を行っています。また、妊娠10週未満の手術をより安く設定している病院が多いです。この週数を超えると、中期中絶といって子宮収縮剤などを使って分娩による中絶を行います。初期の中絶に比べて、金銭的にも肉体的にも時間的にも負担が大きくなります。
妊娠21週6日
この日までに中絶を終わらせなければ、分娩をすることになります。妊娠に気づかずにこの週数を超えている場合もたまにあり、その場合は最初からお産をすることになります。産んでも育てられないという場合には、特別養子縁組などを考える必要があります。とはいえ、母親も胎児も無事に出産を終えるとは限らずそれなりのリスクを覚悟する必要があります。
最後に
予定外の妊娠をした場合に中絶が選択できることは、女性にとってとても大事な事です。SRHR(Sexual and Reproductive Health and Rights:性と生殖に関する健康と権利)の重要な部分です。選択ができない時期になる前に、産婦人科で相談してください。そして、予定外の妊娠を避けるためにも、確実な避妊法について良く知っておいてください。















