
自治体も推進している「プレコンセプションケア」ってなに?
近年注目を集めているプレコンセプションケア。性や妊娠に関する正しい知識を身に付け、健康管理を行うよう促すことをいいます。
自治体におけるプレコンセプションケアの啓発や、不妊治療、卵子凍結などの助成がスタートし、20代、30代の若いうちから健康づくりについて考え、将来の妊娠を考えてみよう、という意識が広がりつつあります。実際に、自治体が主催する妊活のセミナーや啓発サイトなども多数制作されています。
以下は、その一例ですが、さまざまな自治体で、プレコンセプションケアを啓発する取り組みが行われています。
東京都 プレコンセプションケア 専用ページ
福島県いわき市のオンラインセミナー
千葉県流山市公式HP(プレコンセプションケア)
大阪府・大阪市主催 プレコンセプションケア特設ページ
兵庫県プレコンセプションケア 応援サイト
福岡県 プレコンセプションケアセンター 公式サイト
少子化対策としての側面ももちろんあるかとは思いますが、若い世代が婦人科検診を受け、自分の体について知ることのメリットは大きく、SRHR視点でも、とても良い取り組みだと考えます。もしかしたら、あなたの住む街でも、同じような制度が始まっているかもしれません。
気になる方はぜひ、お住まいの自治体の公式HPをチェックしてみましょう。

今回は、そんなプレコンセプションケアのひとつであるヘルスチェックについて、女性が妊娠前に確認しておきたい検査や生活習慣をまとめました。将来妊娠を希望している方にも役立つ内容です。
妊娠前に受けられる主な検査
プレママドックとは?
結婚前や妊娠を希望する時期に受ける総合検査のことで、「妊活ドック」「ブライダルチェック」と呼ばれることもあります。血液検査やエコーで子宮・卵巣の状態、ホルモンバランス、感染症の有無などを調べられます。妊娠しやすさを測るためというより、妊娠した時に「赤ちゃんを守るための準備」が主な目的です。不妊治療を専門とした病院やクリニックでは、卵子の在庫の目安となる血液検査などを組み合わせる場合もあります。
・性感染症チェック(クラミジア・淋病など)
・子宮筋腫・卵巣嚢腫の有無(エコー)
・ホルモン・貧血・血糖値の確認
それぞれ内容や費用によっていくつかのコースを用意している医療機関が多いです。選択肢についてはクリニックによって異なるため、医師と相談して選びましょう。
感染症と子宮頸がん検査
性感染症は気づかないうちに症状が進行していることもあり、長期的に妊娠・出産に影響することがあります。もし発見された場合は、必ずパートナーと一緒に治療を受けましょう。
子宮頸がんはHPVが原因とされるがん。ワクチンで予防でき、検診で早期発見が可能です。妊娠中に見つかると治療に制約があるため、妊娠前からの定期的な検査や、事前のワクチン接種が理想です。
血液検査で分かること
・甲状腺機能:異常があると排卵障害や流産リスクに。妊娠前の治療で安全性が高まります。
・風疹・麻疹抗体:特に風疹は妊娠初期の感染が胎児に影響。抗体がなければ、妊活前にワクチンを接種。
・AMH検査:卵巣の卵子数の目安を知る血液検査。妊娠の可否を決めるものではなく、あくまで参考値です。
エコーで分かること
子宮筋腫や卵巣嚢腫は痛みなどの自覚症状がなくても見つかることがあります。サイズや位置によっては、妊娠・出産に影響を及ぼすため、妊娠前に手術を勧められるケースも。
妊娠前に整えたい生活習慣
・基礎体温の記録:生理周期や排卵のタイミングを知る目安になります。
・葉酸の摂取:妊娠初期の神経管閉鎖障害のリスクを下げる栄養素。普段の食事に加えて、サプリで補うのがおすすめです。

検査はどこで?費用は?
「妊活ドック」「ブライダルチェック」などの名称で全国のクリニックで受けられます。多くは自費で1万~数万円程度。治療が必要と判断された場合には、治療には保険が適用されることもあります。
まとめ|妊娠を安心して迎えるために
・妊娠前に済ませたいワクチン:HPVワクチン・麻疹風疹ワクチン
・生活習慣では、基礎体温管理と葉酸摂取がポイント
婦人科検診は自分の体のことを知るチャンスですが、会社の健康診断でもオプションになっていることも多く、定期的に診察を受けている人は多くないのが現状です。早めに知って治療を開始することで、月経痛の軽減などができることもあります。妊娠してからはできない検査やワクチンもあるので、妊娠を考えている人は、早めのチェックがおすすめです。
▶︎詳しく知りたい方はぜひ、こちらの記事もあわせてご覧ください。本記事よりもさらに詳しく、それぞれの検査の細かい方法や目的について解説しています。