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下痢・過敏性腸症候群におすすめの漢方薬3選

お腹をおさえた女性とタイトル

お腹が痛くなりやすかったり、緊張すると急に便意が気になったり、なんとなく腸の調子が安定しない…下痢と便秘をくり返したり、食後にお腹がゴロゴロしたりすると、外出や仕事の予定まで入れづらくなってしまいます。

こうした不調は、胃腸そのものの弱りだけでなく、冷えやストレス、体のバランスの乱れが重なって起こることもあります。そんなときは、漢方の視点から体質を見つめ直し、自分に合った整え方を取り入れてみましょう。

過敏性腸症候群とは、大腸および小腸に潰瘍や腫瘍などの器質的異常がないにもかかわらず、下痢や便秘などの便通異常、腹痛、膨満感などおなかの症状が続く病気のことです。

東洋医学の観点から下痢・過敏性腸症候群を解説

東洋医学では、下痢や過敏性腸症候群の背景に、「気」の巡りの乱れや、「脾」と呼ばれる胃腸のはたらきの低下があると考えます。脾は、食べたものを消化して気や血をつくり、水分代謝を整える役割を担うため、ここが弱るとお腹が張ったり、便がゆるくなったりしやすくなります。
また、ストレスによって気の流れが滞ると、腸が過敏に反応し、腹痛や便通の乱れにつながることがあります。さらに、体を温める力が不足して冷えが強いと、水分がうまくさばけず、水っぽい便としてあらわれることもあります。
同じ下痢でも、冷えが中心なのか、ストレスが関わるのか、腹痛やつかえ感が強いのかによって、合う漢方薬は変わってきます。

腹痛でおなかを抱えてトイレから出てくる女性のイラスト
Photo:PIXTA

おすすめ漢方薬3選

1.桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
腹痛をともない、下痢と便秘をくり返しやすい過敏性腸症候群(IBS混合型)や、お腹の張りが気になるタイプに適します。

2.人参湯(にんじんとう)
冷え性で水様便が多く、胃腸が弱くて手足も冷えやすいタイプに向いています。

3.半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
みぞおちのつかえ感があり、ストレスで胃腸の調子を崩しやすく、下痢や口内炎を併発しやすいタイプにおすすめです。

桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)

腹痛をともなう下痢・便秘のくり返しや、腹部膨満感があるタイプにおすすめです。

【こんな症状に】
お腹が痛くなると便意がくる/下痢と便秘をくり返しやすい/お腹が張って苦しい/緊張すると腸が敏感になる/排便後もすっきりしない感じがある
【含まれる生薬】
芍薬、桂皮、大棗、生姜、甘草
【特徴・効果】
桂枝加芍薬湯は、こわばった腸の緊張をやわらげ、気の巡りを整えながら、腹痛や便通の乱れを落ち着かせる処方です。とくに、お腹が張りやすく、痛みをともないながら下痢や便秘をくり返すようなタイプに向いています。やや甘みのあるやさしい風味の中に、シナモンのような桂皮の香りがふわっと感じられます。食前または食間に白湯で服用すると、胃腸に負担をかけにくく取り入れやすいでしょう。

人参湯(にんじんとう)

冷え性で水様便が多く、胃腸が弱く手足が冷たいタイプにおすすめです。

【こんな症状に】
冷たいものをとるとお腹をこわしやすい/水っぽい便が続きやすい/食後にお腹が冷える感じがする/胃腸が弱く疲れやすい/手足が冷たくなりやすい
【含まれる生薬】
人参、乾姜、白朮、甘草
【特徴・効果】
人参湯は、胃腸を内側から温めてはたらきを補い、冷えによる下痢や消化力の低下を整えていく処方です。脾の弱りと冷えが重なって、水分をうまくさばけないときの水様便に向いています。味わいはやや甘みがありつつ、乾姜による温かみのある風味が感じられるのが特徴です。冷えが気になる方は、食前または食間に白湯で服用し、朝や冷えやすい時間帯に取り入れるのもよいでしょう。

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

みぞおちのつかえ感があり、ストレス性の胃腸障害や口内炎を併発しやすいタイプにおすすめです。

【こんな症状に】
みぞおちがつかえて重たい/ストレスでお腹の調子が乱れやすい/下痢しやすく胃もたれもある/げっぷや吐き気が気になる/口内炎をくり返しやすい
【含まれる生薬】
半夏、黄芩、乾姜、人参、甘草、黄連、大棗
【特徴・効果】
半夏瀉心湯は、胃腸の上部にたまったつかえや不快感をほどきながら、気の乱れと消化機能のアンバランスを整える処方です。ストレスで胃腸が乱れやすく、みぞおちの張りや下痢、吐き気、口内炎などが重なりやすい方によく用いられます。ほろ苦さの中に少し辛みを感じる、すっきりとした後味が特徴です。食前または食間に服用し、食後のもたれやつかえが出やすい方は、毎日同じ時間に続けると取り入れやすいでしょう。

トイレで腹痛のためお腹を抱える女性

注意:早めの受診が必要なケースって?

ここまで、漢方による体質改善でおすすめの漢方薬を紹介してきました。下痢やお腹の不調の中でも、以下のような症状がある場合は、自己判断せず、早めに受診しましょう。
このような症状を専門にしている診療科は「消化器内科」です。

血便・黒いタール状の便が出る 

消化管出血の可能性があり、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)や大腸がん、胃十二指腸潰瘍などが隠れていることがあります。

発熱をともなう下痢

細菌性腸炎など感染症の場合、抗菌薬による治療が必要になる場合があります。
激しい腹痛が続く/痛みでうずくまるほどの下痢 — 虫垂炎や腸閉塞など、急性疾患の可能性があります。

下痢が2週間以上続く、
または急激に体重が減っている

炎症性腸疾患、甲状腺機能亢進症、吸収不良症候群など、他の疾患を疑う必要があります。
強い脱水症状(尿が出ない・立ちくらみ・意識がもうろうとする) — 特に高齢者や体力が落ちている方では、点滴などの処置が必要になることがあります。

海外渡航後・生ものを食べた後の下痢

感染性腸炎の可能性があり、原因菌の特定や治療が必要なことも。

市販薬や漢方薬を試しても改善しない

過敏性腸症候群と自己判断していても、背景に別の疾患が隠れていることがあります。一度、医療機関で検査を受けることをおすすめします。

まとめ

下痢や過敏性腸症候群は、東洋医学では「気」の乱れ、「脾」の弱り、そして冷えや水分代謝の偏りなどが関わって起こると考えます。

腹痛をともなって便通が不安定になるタイプもあれば、冷えから水様便が続くタイプ、ストレスでみぞおちのつかえと下痢が出やすいタイプもあります。

そのため、不調の名前だけで選ぶのではなく、自分の「証(しょう)」に合っているかどうかを見ることが大切です。

お腹の不調は、日々の食事や気持ちの揺らぎとも深くつながっているからこそ、体質に合う処方を選ぶことで整いやすくなるでしょう。つらい症状が続くときは、医師や漢方に詳しい専門家に相談しながら、自分に合った漢方薬を見つけてみてください。

※本記事は「漢方と365日。」の協力で作成されました。 

【みんなとつくる漢方メディア 漢方と365日。】
漢方と365日

難しいと思われがちな漢方をよりわかりやすく、そして自分事にしてほしいという願いからオープンした「漢方と365日。」

漢方体質診断「見つかる!わたしの不調スイッチ」で自分の体質を知ることができるほか、現時点での自分の体や心がどんな状態であるか確認でき、体質に合わせた生活習慣や運動などの養生法を手に入れられる。漢方の処方を受けられる医療機関の検索も可能。

大腸肛門病学会HP 過敏性腸症候群について  

この記事の監修医師

丸の内の森レディースクリニック

吉住奈緒子先生

大阪大学医学部医学科卒。 大阪府立急性期・総合医療センター、厚生労働省医系技官などを経て、現在は東京女子医科大学附属東洋医学研究所 助教。 専門は公衆衛生、東洋医学。毎週火曜日、丸の内の森レディースクリニックで漢方外来を担当。

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