つらい更年期のホットフラッシュにおすすめの漢方薬3選
急に顔がカーッと熱くなったり、汗が噴き出したりして、さっきまで普通に過ごしていたのに突然気分まで落ち着かなくなる。周りは平然としているのに自分だけ大汗、そんな更年期のホットフラッシュ。なんとなく疲れやすい、眠りが浅い、イライラしやすいといった不調まで重なると、毎日をやり過ごすだけでいっぱいいっぱいになってしまうことも。今回は、そんなホットフラッシュによく使われる漢方薬について解説してみます。
東洋医学の視点ではホットフラッシュはどうみる?
更年期障害自体は、エストロゲンの急激な減少にともなって起こる不調として知られていますが、東洋医学におけるホットフラッシュは、年齢とともに「腎(じん)」のはたらきがゆるやかに低下し、体をうるおし冷ます「陰(いん)」や「水(すい・津液)」が不足することで起こりやすいと考えられています。
余分な熱が上にのぼりやすくなり、ほてりやのぼせ、発汗、喉の渇きとしてあらわれるのです。また、ストレスなどで気の巡りが滞ると、熱がこもってイライラや不安感が強まりやすくなります。
そこに加えて血の巡りが悪い瘀血(おけつ)の状態が重なると、顔だけがほてるのに手足は冷える、頭痛や肩こりを伴うといったアンバランスな不調につながることもあります。大切なのは、同じホットフラッシュでも証を見極めて処方を選ぶことです。
おすすめ漢方薬3選
1.加味逍遙散(かみしょうようさん)
イライラや不安を伴うのぼせ、肩こりがあり、気の巡りの乱れが目立つタイプに向いています。
2.桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
瘀血(おけつ)体質で、のぼせや頭痛、下腹部痛を伴いやすい赤ら顔タイプに向いています。
3.女神散(にょしんさん)
のぼせ、めまい、動悸が中心で、不安感や精神的な揺らぎが強いタイプに向いています。

ホットフラッシュにおすすめの漢方薬を解説
加味逍遙散(かみしょうようさん)
イライラや気分の波を伴いながら、のぼせやホットフラッシュが出やすいタイプの方におすすめです。
【こんな症状に】
のぼせ・ほてり/急に汗が出る/イライラしやすい/気分が沈みやすい/肩や首がこりやすい
【含まれる生薬】
柴胡、当帰、芍薬、白朮、茯苓、牡丹皮、山梔子、甘草、生姜、薄荷
【特徴・効果】
加味逍遙散は、滞った気の巡りをよくしながら、血の巡りもよくし、こもった熱をやわらげる処方です。更年期のホットフラッシュに加えて、イライラ、不安感、肩こりなど複数の症状が重なるときに選ばれる漢方薬で、実際に婦人科の現場でも更年期症状によく使われています。味わいはややほろ苦さがあり、薄荷のすっきりした香りを感じやすいでしょう。食前または食間に、白湯でゆっくり飲むと飲みやすく、気持ちが張りつめやすい夕方から夜にかけて不調が出やすい人にも向いています。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
顔がほてりやすく、頭痛や肩こり、下腹部の張りなど、血の巡りの滞りが目立つタイプにおすすめです。
【こんな症状に】
顔が赤くなりやすい/のぼせるのに足元は冷える/頭が重い・頭痛がする/肩こりがつらい/下腹部が張るように痛む
【含まれる生薬】
桂皮、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬
【特徴・効果】
桂枝茯苓丸は、滞った血を動かして瘀血を改善し、上半身に偏った熱感やのぼせを整える処方です。冷えのぼせや赤ら顔、肩こり、頭痛など、血の巡りの悪さが背景にある更年期症状に向いています。シナモンを思わせる香りと、やや渋みのある味が特徴です。食前または食間に白湯で服用するのがおすすめ。体を締めつけない服装や軽いストレッチなどと合わせ、日常生活もリラックスを意識しましょう。
女神散(にょしんさん)
のぼせに加えて、めまい、動悸、不安感などが出やすく、気持ちが落ち着かないタイプにおすすめの漢方です。
【こんな症状に】
急に顔が熱くなる/ドキドキして落ち着かない/ふわっとめまいがする/気持ちが不安定になりやすい/頭が重い・ぼんやりする
【含まれる生薬】
当帰、川芎、白朮、香附子、木香、檳榔子、黄芩、桂皮、黄連、丁子、人参、甘草
【特徴・効果】
女神散は、気と血の巡りを整えながら、上にのぼった熱をさばき、不安定になりやすい心身のバランスを調える処方です。のぼせ、めまい、動悸といった症状がまとまって出るときや、イライラしたり気持ちが高ぶったりするような更年期の不調に向いています。少しスパイシーで、ほのかに香り立つ風味があり、重すぎない飲み心地です。食前または食間に白湯で服用し、イライラしたり不安感がある時など、気持ちがざわつきやすい場合には深呼吸しながらゆっくり飲むのもよいでしょう。
まとめ
更年期のホットフラッシュは、東洋医学では腎の衰えによるうるおい不足に加えて、気の滞りや血の巡りの悪さが重なって起こると考えます。だからこそ、同じのぼせでも、イライラが強いのか、赤ら顔で巡りが滞っているのか、不安感や動悸が目立つのかによって、合う処方は変わってきます。
更年期症状に限らず、ご自身の証に合った漢方薬を選ぶことが大切。体質に合った漢方を上手に取り入れることで、毎日のつらさが少しずつやわらいでいくこともあるでしょう。医師や漢方に詳しい専門家に相談しながら、自分に合う整え方を見つけていきましょう。
適切にホルモン補充療法なども併用しながら、快適な更年期を過ごしていただけると幸いです。
更年期の治療に関する解説はこちらの記事にも。ぜひ合わせてご覧ください。
※本記事は「漢方と365日。」の協力で作成されました。
【みんなとつくる漢方メディア 漢方と365日。】
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