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実は女性に多い「痔」の悩み。生理・妊娠・出産との深い関係と、受診のポイント
「最近、トイレの時に痛む気がする」「ペーパーに少し血がついた……」 そんな経験はありませんか? 実は、女性にとって痔などの「お尻のトラブル」は決して珍しいことではありません。生理周期やダイエット、デスクワークなど日常の中に痔(じ)の原因が隠れていることが多いのです。
なぜ女性は「痔」になりやすいの?
「痔」と聞くと、なんだか自分とは無縁の、もっと上の世代の悩みのように感じるかもしれません。しかし女性、中でも20代~50代は体の仕組み上、痔になりやすいのです。主な理由は以下の通りです。
女性ホルモンの影響:生理前になると増える「黄体ホルモン(プロゲステロン)」には、体に水分をため込み、腸の動きをゆっくりにする働きがあります。その結果、便が硬くなって便秘になりやすく、お尻に負担をかけてしまうのです。
「冷え」と「座りっぱなし」
オフィスでの長時間デスクワークや、冬の寒さ、夏の冷房などは、お尻回りの血流を悪くさせます。血が滞ることで、いぼ痔(痔核:じかく)ができやすくなります。
無理なダイエット
食事量を極端に減らすと、便の材料が足りなくなります。すると便意が起こりにくくなり、無理に出そうといきむことでお尻が切れてしまう(切れ痔)原因になります。
筋肉のゆるみ
女性は骨盤底の筋肉(骨盤底筋)がゆるみやすく、便秘や咳などで腹圧がかかると肛門が出て、痔になりやすいといわれています。
妊娠・出産
妊娠による子宮の重みや、出産での骨盤や会陰へのダメージによって、妊娠中や産後は痔になりやすいです。

女性に多い「痔」の種類と、見た目の悩み
女性に多いお尻のトラブルには、大きく分けて3つのタイプがあります。
切れ痔(裂肛)
便秘や硬い便が原因で、出口の皮膚がピッと切れてしまう状態です。20代〜40代の女性に多いトラブルの一つです。
症状:排便時のピリッとした痛み。便に真っ赤な血が混じる。
特徴:何度も繰り返すと傷が深くなり、出口が狭くなってしまうこともあります。
治療:症状が軽い場合は痔の軟膏(なんこう)や座薬を使用します。重症になると手術が必要になります。
いぼ痔(痔核)
お尻の血行が悪くなり、肛門付近の静脈と皮膚(粘膜)の部分が腫れている状態です。
症状:排便時の出血、お尻に何か出ているような違和感。
特徴:内側にできるものは痛くないことが多いですが、肛門の外側にできると痛むことがあります。
治療:症状が軽い場合は痔の軟膏や座薬を使用します。重症になると注射や手術が必要になります。
スキンタグ(肛門皮垂)
これは痔そのものではありませんが、「肛門の皮膚のたるみ」を指します。
症状:痛みはないけれど、お風呂やトイレで触れた時に「何かある!」と驚いたり、見た目が気になったりします。
特徴:慢性的な便秘や下痢が治ったあとに皮膚がたるんで残ったものです。
治療:症状がなければ治療の必要はありません。お尻が拭きにくいなどの問題がある場合は、肛門科で手術を相談します。

今日からできる! 「お尻トラブル」のケア
お尻のトラブルに対して、毎日の生活の中でできることがあります。
水分と食物繊維を多くとる
便が硬いと痔になりやすいです。便を柔らかくするために、水分や食物繊維を多くとりましょう。ダイエットなどで食事量を急激に減らすのも要注意です。
骨盤底筋体操でお尻をきたえる
骨盤の底の筋肉を鍛えることは、痔の予防だけでなく、姿勢を正したり、将来の尿もれを防いだりする効果もあります。息を吐きながら肛門や膣をキュッと上に引き上げるように締め、数秒キープしてゆっくり緩めます。デスクワークの合間や電車の中でできます。
トイレの姿勢を「考える人」に変える
洋式トイレで普通に座ると、便の通り道がカーブして出しにくくなります。トイレの足元に10〜15cmの踏み台を置いて、足を高くし前かがみになる「考える人」のポーズにするようにすると便が出やすくなります。

膝を高くして前屈みになる姿勢は、便がスムーズに出やすいポーズ
トイレタイムは「3分以内」
スマホを持ち込んで、長い時間座りっぱなしになっていませんか? 長時間座っていきみ続けると、お尻に強い圧力がかかり続けます。トイレに長時間座らないようにしましょう。
「温める」を習慣に
シャワーだけで済まさず、湯船に浸かってお尻を温めてください。血行が良くなり、筋肉の緊張もほぐれるので痛みや腫れが和らぎます。ただし、肛門周囲を清潔にしようと温水洗浄便座を使い過ぎたり、せっけんでゴシゴシ洗い過ぎたりするのは、お尻を傷つけるので避けましょう。シャワーなどのぬるま湯で流す程度がベストです。
病院に行くのは恥ずかしくない
実は、「痔だと思って放置していたら大腸がんだった」というケースが少なくありません。
日本では、女性のがんで一番死亡者数が多いのが「大腸がん」です。そのため、この後に紹介する6つの症状があれば、医療機関の受診をおすすめします。
「病院でお尻を見せて診察されるなんて絶対無理!」と思うかもしれませんが、安心してください。
最近のクリニックには、女性の気持ちに寄り添った工夫がたくさんあります 。
タオルや専用パンツでカバーする
多くのクリニックでは、ベッドに横向きに寝て、バスタオルで隠しながら、診察に必要な部分だけを少し見るという姿勢で行います。
女性医師や女性外来
最近は女性医師が担当する日や、待合室から男女別の「女性専用クリニック」も増えています。受診の前にホームページをチェックしてみましょう。
産婦人科で相談してもOK
もし肛門科へのハードルが高いなら、産婦人科で「お尻が痛いんです」と相談してみてください。妊婦さんや産後の女性でも、安心して使用できるお薬を処方できます。

病院の受診をおすすめする6つの症状
以下のようなときは、病院を受診しましょう。可能であれば肛門科、消化器外科を受診するとスムーズです。
・便に血が混じる
・便の形が細くなった
・便が1週間に1回しかでない
・体重が急に減ってきた
・おしりに痛みが続く
・便が漏れる
将来のために今、整えておこう
今は「たまに痛むだけだから」と思っていても、将来妊娠や出産を経験したり、骨盤底の筋肉がゆるんだりしてくると、お尻にはさらに大きな負担がかかります 。今のうちに、早めに対策しておくことは予防の一つです。お尻の悩みは恥ずかしいことではなく、多くの女性が抱えている症状です。一人で我慢せず、ぜひ専門家に相談してください。
参考資料
・日本大腸肛門病学会 裂肛
https://www.coloproctology.gr.jp/modules/citizen/index.php?content_id=29
・ヘルスケアラボ 痔
https://w-health.jp/woman_trouble/hemorrhoid/














