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気になるキーワード #更年期の性生活

意外と知らない、更年期の性生活の注意点

 

更年期(閉経をはさんだ前後10年程度)以降、多くの女性は体や心の変化を自覚します。エストロゲン(女性ホルモン)が低下することで、性欲の変化・乾燥・痛み・疲れやすさなどが起きやすくなるのは自然なことです。日本人へのセックス調査(JAPAN SEX SURVEY2024)では、10~60代女性のなかで50代女性の性行為の頻度が1番低く、約88%が「月1回未満」と回答しています。
実は更年期(40代後半~50代)はデリケートゾーンのトラブルが起こりやすく、性生活でもコツと工夫が必要な時期です。今回は意外と知られていない更年期の性活動の注意点について解説します。

1. 更年期のデリケートゾーンケア

「更年期」とは、生理が1年間こなくなった「閉経」より前5年と後5年の
合計「10年間」をさします。日本人女性の閉経の平均年齢は約50歳のため、おおよそ
「45~55歳ごろ」が更年期にあたります(注)。

注:実際には閉経年齢には個人差があるため、更年期にはいる年齢も一人一人違います。

腟の乾燥・違和感・頻尿トラブル

更年期になると女性ホルモン(エストロゲン)の低下により腟やデリケートゾーンの皮膚・粘膜が薄くなり、乾燥やかゆみ、頻尿、痛み(性交痛など)を感じやすくなります。これは腟萎縮と呼ばれる変化で、多くの女性に見られるものです。医学用語では閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)と呼ばれます。この状態で性行為をした場合、性交痛を感じたり、性行為によって性器出血がおこってしまうことがあります。

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更年期以降に大切なデリケートゾーンケア

・お風呂あがり等デリケートゾーンの皮膚も化粧水・保湿剤でケアする
腟専用の保湿剤(モイスチャライザー)を使う
・性行為のときに潤滑剤を使用する(コンドームとの相性には注意)
・乾燥や違和感が強い場合はエストロゲンの腟内治療をおこなう
骨盤底筋体操をおこなう(尿もれ・頻尿・性機能障害の改善効果があります)

これらのセルフケアで症状が改善しない場合、産婦人科や泌尿器科で検査や治療が可能です。

2. 更年期の性活動の注意点

①避妊をしっかりと

 40代、50代でも生理がきている間は、妊娠する可能性があります。閉経(1年間まったく生理がこない状態)になるまでは、かならず避妊をおこないましょう。2024年では、40~44歳の女性約1万人、45~49歳女性約1000人が人工妊娠中絶をおこなっています

②「性的同意」を大切に

夫婦間やつきあっている関係であっても性的行為には、お互いの同意が重要です。自分が「性行為をしたくない」場合は、無理に応じる必要はありません。もし自分や相手が希望していないのに無理やり性行為を押し付ける場合は、DV(ドメスティック・バイオレンス)にも当たります。夫婦やつきあっている間柄であっても、性行為や性的な行為は「自分と相手が」性行為をしたいと思える状態で、性行為をすることが大切です。

③前戯は十分に

女性ホルモンの低下により、身体が反応しやすくなるまでの時間が以前より長くなることはごく自然です。ゆっくりとした前戯を増やし、腟の潤いが出るまでの時間を十分にとることで、摩擦による不快感や痛みが減ります。また、女性の性的な興奮は「体だけでなく心から」始まることも多いです。

・キスやハグ、会話などのスキンシップ
・パートナーと感じること・痛みを軽減する方法について話し合う
・気分や雰囲気を整える音楽や照明、ゆとりのある触れ合いの時間

④性行為の痛みの対策をしっかりと

 日本人を対象にした調査(JAPAN SEX SURVEY2024)では、50代女性の約5人に一人が「セックスがいつも/だいたい痛い」と回答しており、全年齢で1番痛みを感じていることが分かっています。セックスに痛みがあると、満足度も低下し、50代・60代女性の約半数が「セックスの痛みのために満足度は高くない/満足できない」と回答しています。

性行為の有無にかかわらず、日ごろからデリケートゾーンの保湿をおこない、性行為のときには必要に応じて潤滑剤などを使用しましょう。潤滑剤の成分によっては、コンドームが破れやすくなることがあるため注意は必要です。また、パートナーと率直に「ここが心地よい」「ここは痛い」などを共有することも大切です。性交痛が強い場合、腟の炎症や性感染症、子宮内膜症などが原因のこともあります。産婦人科への受診をおすすめします。

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3. 更年期は性欲が変化する

性欲の変化は個人差が大きい

更年期になると、女性ホルモン変化によって、性欲が変化します。人によっては、性欲が低下することも少なくありません。性欲は女性ホルモンだけでなく、疲れやストレス、身体の不調、パートナーシップの変化などが大きく影響します。調査でも多くの女性が性欲の低下を感じているとの結果がありますが、逆に「以前よりリラックスして楽しめるようになった」と感じる人もいます。

心のケアも重要

性についての不安やストレスは性欲低下や痛みの悪循環を生むことがあります。

必要に応じて:

セラピストやカウンセラーとの対話
・パートナーと一緒にカップルセラピーをうける

これらが、より快適な性生活の助けになります。

4. 更年期障害の治療は性活動も高める

性生活は身体や心の状態と深く結びついています。
更年期障害の症状が強い場合、性活動や性欲も下がることが多いです。
そのようなときは、更年期障害の治療が助けになります。

産婦人科での治療

腟の乾燥や痛み、性欲の変化が日常生活に支障を来す場合は、産婦人科での相談をおすすめします。以下のような治療法があります。

・腟のエストロゲン療法(腟剤やクリームなど)
・非ホルモン療法(潤滑剤、保湿剤など)
・ホルモン補充療法(HRT)(更年期障害の症状が強い場合)

あなたらしいセックスライフを

更年期以降の性生活は、女性ホルモンと体の変化によって大きく変わることがあります。
個人差は大きいため、「これが正解」という一つの形はありません。「自分にとってどのような方法が快適か」を見つけていくことが大切です。

 

【参考文献】
更年期障害とホルモン補充療法 日本女性医学学会

厚生労働省 令和6( 2024 )年度衛生行政報告例の概況

JAPAN SEX SURVEY2024 ジェクス
英国 更年期と性生活

柴田綾子

この記事の執筆医師

医長

柴田綾子先生

産婦人科

世界遺産15カ国ほど旅行した経験から母子保健に関心を持ち産婦人科医となる。2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修し2013年より現職。女性の健康に関する情報発信やセミナーを中心に活動。著書:女性の救急外来 ただいま診断中!(中外医学社,2017)、産婦人科ポケットガイド(金芳堂,2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社,2021)明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社,2022)

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