②種類比較編|ピルの違いを徹底比較!目的・成分・世代でわかる自分に合うピルの選び方
ピルには多くの種類があり、それぞれ世代や成分の配合といった特徴が異なります。 前回の記事ではピルの仕組みや飲み方など、基本的なことについて解説しましたが、この記事ではさらに踏み込んで、具体的な種類の違い、自分に合うピルの選び方について解説します。
図解してみた!主なピルの種類比較表
まず、主なピルの世代やざっくりした特徴を以下にまとめてみました。中には販売から25年以上の長い歴史をもつピルもあります。今回は、前回の記事「基本編」で解説した以下の3つの違いのうち、2、3について詳しく解説していきます。
1.目的の違い
2.成分(ホルモンの種類)の違い
3.世代(開発の順番)や飲み方の違い

ピルの世代別比較表:crumii編集部作成
【世代・成分の違い】第1〜第4世代の特徴とピルの最新事情
「世代」と聞くと、どうしても家電やスマホのように「新しい方がスペックが高いんじゃないか」と捉えてしまいがちですが、ピルの世代に関しては、そこはちょっと違います。
世代という言葉は、ざっくり言えばホルモンの種類や配合の開発された順番であって、目的も得意分野もそれぞれです。どちらかというと新旧の比較というよりは「キャラクターの違い」に近いようなイメージ。必ずしも世代が若いほど良い薬、というわけではないんですね。
ここでは、各世代の代表的なお薬とその特徴をざっくりまとめてみましょう。
第1世代(例:ルナベルLD/フリウェルLD ほか)
第1世代は、主に月経困難症を治療する目的(LEP)で選ばれやすいグループです。代表的なのはルナベルLDと、そのジェネリックであるフリウェルLDで、日本では2008年ごろから使われてきました。飲み方は1相性(シート内のホルモン量が基本的に一定)が中心で、月経の負担を軽くする方向に働きやすく、結果として生理痛の緩和や経血量が減ることを期待して処方されることが多いのが特徴です。
※同じ「第1世代」とまとめられる製品群の中には、別の名前の薬が含まれることもあります。
第2世代(例:トリキュラー/ラベルフィーユ/アンジュほか)
第2世代は、主に避妊目的で用いられてきた代表的なOCで、日本で最も古くからある薬剤のひとつ。1999年ごろから日本でも使用が広がりました。代表例はトリキュラーで、ジェネリックとしてラベルフィーユやアンジュがあります。飲み方の特徴としては3相性(シート内でホルモン量が段階的に変化)が多く、自然な周期のリズムに近いバランスで成分が配合されているため、不正出血が起きにくいと感じる方もいます。初めてピルを検討する方にとって、選択肢になりやすいタイプともいえるでしょう。
第3世代(例:マーベロン/ファボワール)
第3世代は、こちらも主に避妊目的(OC)で使われるグループで、代表はマーベロンと、そのジェネリックであるファボワールです。承認自体は1999年ですが、日本での販売開始は2005〜2006年ごろとされます。飲み方は1相性が中心で、特徴としては、体感には個人差があるものの、一般にニキビや肌荒れなど「肌の悩み」の改善も副効能として語られることが多いタイプです。避妊だけでなく、肌トラブルも気になっている方が候補に挙げることがあります。
第4世代(例:ヤーズ/ドロエチ/ヤーズフレックス)
第4世代は、主に生理痛やPMSなどの治療目的(LEP)で使われるグループで、代表はヤーズ(ジェネリックはドロエチ)です。日本では2010年ごろから使われ、ヤーズの連続投与型の薬剤であるヤーズフレックスは2016年に承認され、販売は2017年ごろとされています。飲み方は基本的に1相性で、ヤーズフレックスは連続服用型(生理回数を減らす設計)である点が特徴です。むくみやPMS寄りの悩みに合う人もいる、また超低用量が中心で吐き気が軽く感じるケースもある、という説明がしやすいタイプです(もちろん、合う・合わないは人によります)。
【2024年発売】天然型エストロゲン配合のLEP「アリッサ」
ここからは、最近になって承認された新しいお薬について解説してみます。アリッサは、エステトロール(E4)+ドロスピレノンのLEPで、効能・効果として月経困難症が明記されています(24錠の実薬+4錠のプラセボを28日連続で服用する設計)。
「天然型エストロゲン」と聞くと、いかにも体に優しそうですが、実際、従来の多くのピルが含むエストロゲンはエチニルエストラジオール(EE)という合成の形であるのに対し、エステトロールは妊娠期の胎児肝臓で産生されるエストロゲンとして知られていて、薬としても新しい位置づけになっています。
【2025年発売】エストロゲンフリーのPOP「スリンダ」
最近のもう一つの大きなアップデートが、スリンダの登場です。スリンダはドロスピレノン単剤(エストロゲンなし)の経口避妊薬で、OCでもLEPでもない、「POC/POP」というカテゴリーに属します。 実薬錠24錠とプラセボ4錠から構成されるお薬です。
ここで本質的に大事なのは、エストロゲンが入っていないという点です。ピルの副作用として皆さんも一度は聞いたことがある血栓症のリスクは、一般に「エストロゲンを含む混合ホルモン」で上がることがよく知られており、プロゲスチン単独の方法(POC/POP)については、最新のレビューでも「(注射剤DMPAなど一部を除き)リスク増加を示唆しない」報告がなされています。(スリンダの過去記事はこちら。)
だから、これまで混合ピルが難しかった方、たとえば医師から「血栓リスクが心配だからピルはやめておこう」と言われた背景がある方にとって、POPという選択肢ができました。
実際、そのような方がスリンダの処方を目的に相談にくるケースも増えています。

ピルには選択肢がたくさんがあるけれど、違いがわかりにくい
【配合パターンの違い】1相性と3相性、どっちがいいの?
ここまで紹介してきた「低用量ピル」。イマイチ違いはピンと来ないのではないでしょうか。実は中身の設計の大きな違いは、1相性(いっそうせい)と3相性(さんそうせい)の違いです。
例えば、PMSの波をならしたい/飲み間違いを減らしたい人には、1相性が向きやすいです。逆に、1相性を試したけど不正出血が気になる/自然なリズムにしたいという方には、3相性が向きやすい傾向があります。あくまで傾向であって個人差があるため、断言できないのが正直なところです。
1相性:ホルモン量が一定で、波を作りにくい
1相性は、シート内(実薬期間)のホルモン量がほぼ一定です。体のホルモン変動を小さくする狙いがあるため、PMSがつらい人や周期で気分・体調が浮き沈みしやすい人、色分けの飲み間違いが不安な人に向くことがあります。
飲み始めは不正出血があることもあります。多くは慣れるとおさまりますが、長引くなら体に合っていない可能性もあるので、種類変更の相談材料にして大丈夫です。
3相性:周期に近いリズムで、出血が安定しやすいことも
3相性は、シート内でホルモン量が段階的に変わる設計のお薬です。代表のトリキュラーのように錠剤の色が分かれていて、順番に飲むことでホルモン量の波を作ります。1相性のピルで不正出血がストレスになる人や、少量出血が長く続いた人に合うことがあります。
ただし、飲む順番をコントロールできないところと、PMS傾向が強い人は症状の改善があまり期待できない点はデメリットです。
結局どっち?迷ったときの選び方
1相性、3相性のどちらが良いかは、本当に人によりますが、こんな人にはこんなタイプがおすすめ、という傾向だけ紹介しておきます。
<1相性がおすすめのタイプ>
PMS・気分の波が主役の方
忙しくて飲み分けが不安な方
3相性を試したが、体調の波があった/続かなかった方
<3相性がおすすめのタイプ>
不正出血のコントロールが主役の方
ルール通り飲める/色分けが助かるという方
1相で出血が止まらなかった方
【用量の違い】低用量と超低用量、連続服用タイプ
最後は「ホルモン量(用量)」と「飲み方」です。世代は正直やってみないとわからない要素が大きいので、初めて試す方は、飲み方の好みで選んだ方が選択しやすいのではと思います。
低用量と超低用量:何が違う?
用量は主にエストロゲン量の違いです。
低用量:少ない
超低用量:さらに少ない
エストロゲン量が多ければ吐き気・頭痛などが出やすく、血栓症リスクにも関係します。過去にピルで気持ち悪さや頭痛などのトラブルがあった時は、超低用量のものから始めてみても良いかもしれません。ただ、超低用量のタイプは、慣れるまで不正出血が起こりやすいこともあり、少ないものから始めて出血が続くようなら、体調をみて多いものに変更するのも良いと思います。
生理の回数を減らす「連続服用」とは?
ピルを飲んでいると、休薬期間に生理のような出血があります。この出血は自然な生理というよりは、「消退出血(休薬によってホルモン量が下がることで起こる出血)」です。
過多月経や子宮内膜症で生理が重い人は、そもそも月経がつらいわけなので、休薬の期間を設けずに連続で服用する実薬を増やし、休薬の日数自体を減らして、生理のくる回数を減らしてしまおうという発想です。ヤーズフレックスやジェミーナの飲み方がこれにあたります。これらのお薬は、それぞれ最大120日、77日間まで連続で実薬を服用することができ、生理が来るまでの間隔を伸ばすことができます。

旅行や受験、結婚式など、大事な行事を避けて出血のタイミングをコントロールできるのは、ピルのメリットのひとつ
実際、実薬の内服中に出血があった場合には規定の期間(ヤーズフレックスは4日間、ジェミーナは7日間)休薬する必要がありますが、旅行などのイベントを避けてコントロールすることもできます。(正確なデータはありませんが、かかりつけの患者さんに聞いてみた感じだと、実態は2ヶ月くらいで出血する人が多い印象です)。
保険のお薬の中では比較的薬価が高い(2000円/枚)のですが、生理の回数も減らせて、出血のコントロールもしやすいので、連続服用タイプのお薬も人気があります。
副作用(吐き気・血栓症)の可能性はゼロではない
ピルの副作用として有名な血栓症リスク。実は、年齢・喫煙・高血圧など条件が重なるほど上がります。さらに同じ混合ピルでも成分によって差があるため、医師は用量だけでなくそういった体質も含めて判断します。
もし内服中に片脚の急な腫れや痛み、突然の息切れや胸痛、激しい頭痛や視野異常、ろれつが回らないなどがあれば、迷わず受診を。
まとめ|ピル選びは何より「相性」が大事
ここまで解説したように、ピルには「第1〜第4世代」という分類や、「1相性・3相性」といった配合の違いがあります。冒頭でもお話したように、家電と違って最新の第4世代が必ずしも全員にとってベストなわけではありませんし、昔からある第2世代の方が調子が良いという方もいて、25年経った今も現役で販売されています。期待する副効能によって目安はあるものの、最終的には「飲んでみて、自分の体がどう感じるか」という相性がすべてです。
では、もし選んだピルが体に合わなかったらどうすればいいのでしょうか? 次の記事では「ピルが合わない時の対処法やジェネリックについて、便利な「オンライン診療」を安全に使うための注意点について解説します。

<<参考文献>>
低用量経口避妊薬(OC)の医師向け情報提供資料
女性の健康推進室 ヘルスケアラボ
学校医と養護教諭のための思春期婦人科相談マニュアル
<<本記事で解説したピルの添付文書一覧(五十音順)>>
アリッサ配合錠(添付文書PDF)
アンジュ(添付文書PDF)
ジェミーナ配合錠(添付文書PDF)
スリンダ(添付文書PDF)
トリキュラー錠(添付文書PDF)
ドロエチ配合錠(添付文書PDF)
ファボワール錠(添付文書PDF)
マーベロン21、28(添付文書PDF)
ヤーズ配合錠(添付文書PDF)
ヤーズフレックス配合錠(添付文書PDF)
ルナベル配合錠LD/ULD(添付文書PDF)















