漢方と365日。×crumii #13

気になるおなかの張りに。便秘におすすめの漢方薬３選

Creator: crumii編集部
Published: 2025-12-11T08:00:00+09:00

2025/12/11

便秘を軽く見ないで！気になるトイレ事情を漢方でサポート

便秘は、ただ排便が滞ってすっきりしないだけの問題ではありません。肌荒れや吹き出物などの肌トラブル、お腹の張りや不快感、気分の落ち込みやイライラなど心の不調にもつながることがあります。腸内環境が乱れると、必要な栄養が吸収されにくくなったり、食欲そのものがわかなくなったりと、全身の健康に影響を与える可能性も。
毎日を気持ちよく過ごすためにも、便秘の対策はとても大切です。

肌や喉だけじゃない！秋の乾燥が引き起こす体調トラブル

初冬の便秘は「冷え」と「乾き」に注意を

気温が下がり、体が冷えやすくなる季節になると、空気の乾燥も進み、便が硬くなりやすくなります。
東洋医学では、巡りを良くする「気血」の調整や、腸に潤いを与える働きを重視し、その人の体質に合わせた方法で便秘をやわらげていきます。

便秘のタイプ別、おすすめしたい漢方３つ

1. 麻子仁丸（ましにんがん）
腸内の潤いが不足し、
・便が硬い
・コロコロとした形になりやすい
・スムーズに出にくい
といった便の乾燥傾向がある習慣性便秘のタイプに用いられる処方です。

2. 桃核承気湯（とうかくじょうきとう）
月経に関連して血の巡りが滞りやすく、
・お腹の張り
・月経不順や月経痛
・いらいら、不安、不眠などの精神症状
・頭痛、のぼせ
を伴うタイプの便秘の人に適しています。

3. 大建中湯（だいけんちゅうとう）
お腹が冷えやすく、
・張り感がある
・軽めの便秘が長く続く
といったタイプの方に向く漢方です。

便秘におすすめの漢方薬3選、処方の解説

麻子仁丸（ましにんがん）

乾燥によって便が硬く出しにくい「腸の潤い不足」タイプの人におすすめです。

こんな症状がある人に：
・コロコロした硬い便が続く
・便意はあるのになかなか出ない
・肌が乾燥しやすい
含まれる生薬： 麻子仁、大黄、杏仁、芍薬、枳実、厚朴
特徴・効果：腸に潤いを与えて硬くなった便を柔らかくし、自然な排便を促します。乾燥体質で体力が低下気味の方にも適しています。

やや苦味がありますが、杏仁のほのかな風味が感じられることも。顆粒やエキス剤で処方されることが多く、水分不足が起こりやすい朝の服用が特におすすめです。白湯と一緒にゆっくり飲むことでより効果が期待できます。

桃核承気湯（とうかくじょうきとう）

血の巡りを整え、月経に伴う便秘やお腹の張りが気になるタイプにおすすめです。

こんな症状がある人に：
・月経周期の乱れや月経痛がある
・月経前後に便秘や腹痛が出やすい
・イライラ、のぼせ、頭痛がある
・顔が赤く火照りを感じる
含まれる生薬： 桃仁、大黄、桂枝、芒硝、甘草
特徴・効果：血流を改善しながら腸の働きを促し、お腹の張り感のある便秘をサポートします。感情の高ぶり（イライラ）やほてりを伴うタイプにも適しています。

少し苦味と刺激感がある味で、食後よりも空腹時に温かいお湯で飲むと吸収が良くなります。刺激が気になる場合は、生姜湯などで割って飲むのもおすすめ。

大建中湯（だいけんちゅうとう）

お腹の冷えや膨満感が気になる「冷え・胃腸虚弱」タイプにおすすめです。

こんな症状に：
・お腹が冷えやすい
・張り感や膨満感がある
・ガスが溜まりやすい
・軽い便秘
・お腹が鳴る、食欲が低下している
含まれる生薬： 山椒、乾姜、人参、膠飴
特徴・効果：お腹を内側から温めて腸の動きを活発にし、ガスによる膨満感や冷えを和らげます。便秘だけでなく下痢などの排便トラブルにも対応しており、胃腸全体の調子を整える働きがあります。生姜や山椒由来の温かみのあるピリッとした風味が特徴的。

冷えが強い場合は、熱めの白湯と一緒に服用するのが効果的で、特に朝の服用がおすすめです。

冷え込みが続く時期に意識したい便通サポート

屋内と屋外の急激な気温差や乾燥、さらにホルモンの揺らぎなどが重なると、便通が乱れやすくなります。漢方では、このような環境や体調の変化に潜む原因を、「証（体質や状態）」に沿って整えていく考え方を大切にします。自分に合う処方を選び、早めに対策することで、つらい便秘を和らげ、日々を心地よく過ごしやすくなります。困ったときは自己判断に頼らずに、専門家へ相談しながら適切な漢方を選びましょう。

※本記事は「漢方と365日。」の協力で作成されました。