漢方薬 東洋医学 ニキビ

漢方と365日。×Crumii #10

ニキビにおすすめの漢方薬3選

夏の季節は皮脂の分泌が盛んになり、汗や紫外線、さらに冷たい飲食物の刺激で肌トラブルが起こりやすくなります。加えて、冷房による体の冷えやホルモンバランスの揺らぎもニキビの要因となります。そんなときに役立つのが、体質に合わせて内側から整えてくれる漢方です。自分の状態を見極めながら、適した処方を取り入れてみるのがおすすめです。

皮脂トラブルが増える季節に漢方でバランス調整

高温多湿な夏は毛穴がふさがれやすく、皮脂が過剰になってニキビが目立ちやすい時期。漢方では、こうした状態を「熱のこもり」や「血の滞り」ととらえます。その人の体質やニキビのタイプに応じて、体の巡りを整えることで、繰り返す吹き出物を和らげ、肌を健やかに導くことができます。

ニキビ 漢方薬
photo: PIXTA

ニキビ体質別に選びたい漢方薬3選

思春期だけでなく、大人になってからも悩まされる「ニキビ」。東洋医学では、その原因はホルモンバランスや食生活だけでなく、体質や血流の状態も大きく関係していると考えます。漢方では、ニキビの出方や体の特徴を見極めて処方を選ぶため、自分のタイプを知ることが対策の第一歩になります。ここでは代表的な3つの漢方薬をご紹介します。

1.清上防風湯(せいじょうぼうふうとう) : 顔に赤みや熱感を伴うニキビが出やすいタイプの方に

2.十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう) : 化膿しやすく、全身のあちこちに繰り返しできやすいタイプの方に

3.桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん) : 生理前に悪化しやすく、下半身の冷えや血流の滞りを伴うタイプの方に

清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)

顔に赤みを伴うニキビや熱を持った肌トラブルが目立つ方におすすめです。

こんな症状に : 顔の中心に赤いニキビができやすい、腫れて熱っぽい、のぼせやすく頭痛やめまいが出る など

含まれる生薬 : 黄連、黄芩、連翹、山梔子、桔梗、枳実、荊芥、防風、薄荷、甘草

特徴・効果 : 体内にこもった余分な熱を冷まし、炎症を抑えることで赤みの強いニキビを鎮めます。肌のほてりを取り去る作用もあり、繰り返し出る赤ニキビに向いています。薄荷や山梔子の清涼感があり、やや苦味を感じる処方ですが、後味はすっきり。顆粒やエキス剤が中心で、食前に白湯で飲むと効果的です。

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)

化膿して膿をもつニキビや、背中・顎など全身に出やすいタイプに向いています。

こんな症状に : 膿を伴うニキビができる、体のあちこちに吹き出物が出る、肌荒れが長引く など

含まれる生薬 : 桜皮(樸樕)、柴胡、荊芥、防風、甘草、茯苓、川芎、独活、生姜、桔梗

特徴・効果 : 炎症を抑え、膿のたまりやすい皮膚トラブルを改善します。全身に繰り返し出る頑固なニキビに対しても働きかけ、肌の抵抗力を高めて再発予防に役立ちます。やや薬草らしい香りが強めですが、生姜や甘草の風味で飲みやすさもあります。顆粒剤が多く、朝夕の食前にぬるま湯で服用するのがよいでしょう。

桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)

女性の血流の滞りや冷えを伴うタイプのニキビにおすすめです。

こんな症状に : 生理前にニキビが悪化する、ニキビ跡の色素沈着が気になる、肩こりやむくみ、下半身の冷えがある など

含まれる生薬 : 桂皮、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬、薏苡仁

特徴・効果 : 血の巡りを改善し、ホルモンバランスの乱れを整えることで女性特有の周期的なニキビを和らげます。薏苡仁(はとむぎ)には肌の調子を整える作用もあり、美肌効果も期待できます。味は桂皮(シナモン)の香りと芍薬のほのかな苦みがあり、独特ながら飲みやすい方です。エキス顆粒が一般的で、空腹時に服用すると吸収がよくなります。

夏の皮脂・ホルモン性ニキビには漢方で体質改善を

ニキビは肌の表面だけの問題ではなく、体の内側の不調とも密接に関わっています。特に夏は皮脂の分泌や体内の熱がこもりやすく、体質に合った漢方でバランスを整えることが重要です。繰り返す吹き出物を防ぐためにも、自己流で判断せず、漢方をよく理解している医師に相談して、自分に適した処方を選びましょう。肌の状態や体調に合わせた対策をとることで、根本からの改善につながります。

※本記事は「漢方と365日。」の協力で作成されました。

漢方と365日。

【みんなとつくる漢方メディア 漢方と365日。】

難しいと思われがちな漢方をよりわかりやすく、そして自分事にしてほしいという願いからオープンした「漢方と365日。」

漢方体質診断「見つかる!わたしの不調スイッチ」で自分の体質を知ができるほか、現時点での自分の体や心がどんな状態であるか確認でき、体質に合わせた生活習慣や運動などの養生法を手に入れられる。漢方の処方を受けられる医療機関の検索も可能。

 

この記事の執筆医師

丸の内の森レディースクリニック

吉住奈緒子先生

大阪大学医学部医学科卒。 大阪府立急性期・総合医療センター、厚生労働省医系技官などを経て、現在は東京女子医科大学附属東洋医学研究所 助教。 専門は公衆衛生、東洋医学。毎週火曜日、丸の内の森レディースクリニックで漢方外来を担当。

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吉住奈緒子先生

大阪大学医学部医学科卒。 大阪府立急性期・総合医療センター、厚生労働省医系技官などを経て、現在は東京女子医科大学附属東洋医学研究所 助教。 専門は公衆衛生、東洋医学。毎週火曜日、丸の内の森レディースクリニックで漢方外来を担当。

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