crumiiを応援する バナー
潤滑剤 性交痛 ムード

「セクシュアルプレジャー」の話をしよう #09

ベッドに入る前から、スイッチを入れる。──潤滑剤で変わる、カップルのセックス・コミュニケーション

ふたりのセックスを、いまよりワンランク豊かなものにしたい。そのためにコミュニケーションを取れるカップルはとても素敵です。でも、膝を突き合わせて言葉を重ねればいい答えが見つかるわけでもないのが、むずかしいところ。

そんなときは、外から「何か」を持ち込んでほしいのです。コミュニケーションを円滑にし、プレジャーを深める「何か」ーーそれはセックスについての知識だったり、前回、前々回で紹介したプレジャーグッズだったりするでしょう。

潤滑剤も、そのひとつです。

今回は、潤滑剤販売歴17年のスペシャリストをお招きしました。海外ブランドを含む潤滑剤について多くの知見があり、性の健康について発信をつづける小林ひろみさんに、お話をうかがいます。

潤滑剤=「痛みを補うもの」ではなく、「プレジャーを高めるツール」

ーー潤滑剤、聞いたことはあるけど使ったことがない人は多いですよね。

小林:そのせいか、いまでも“女性の濡れ不足を補うためのもの”というイメージが強いと思います。たしかにそれは潤滑剤の重要な役割のひとつですが、その使い方だけじゃもったいない! 私がこれまで販売してきたメーカーは、どれも“プレジャー”を提案しています。潤滑剤=プレジャーを高めるため、セックスをよりよくするために使うツール(道具)、と認識されているんです。

性の健康世界学会(WAS:World Association for Sexual Health)が2008年に採択した《性の健康と性の権利に関する宣言》では、性的快楽(プレジャー)は身体的・心理的・知的・精神的ウェルビーイングの源であり、性の健康(セクシュアルヘルス)の重要な一部として位置づけられています。性を楽しむことは、心や体の健やかさ、そして幸福感にもつながる要素ということですね。私もそれを大事にしながら、潤滑剤を販売してきました。

ーー潤滑剤は“ツール”なんですね。気持ちよくなるためのものであり、ふたりのセクシュアルコミュニケーションを円滑にするためのものでもある。

小林:活用の仕方次第で、性的な興奮や好奇心も高まります。それが総合的に『楽しかったね、気持ちよかったね』と言い合える体験につながると思うんです」

ーー満足度が高まるということでしょうか。

小林:ふたりともに欲求と興奮があり、それがプレジャーという形で実るセックスだと、満足度は高いですよね。オーガズムがあればもちろんいいと思いますが、なくても満たされるということは十分あるでしょう。

ベッドに入る前から潤滑剤を。「前戯の前戯」で気分を高めて

潤滑剤 使い方
photo: PIXTA

ーーそんな体験のためには、どのように潤滑剤を取り入れればいいですか?

小林:親密な時間をより愉しみたいなら、ベッドに入る前に少量をデリケートゾーンまわりになじませておくという使い方がおすすめです。人によっては、濡れてる感覚を擬似的に作ることで呼び水となり、体液が分泌されやすくなることもあります。そのまま歩くと感触が伝わって、なんとなく気分がノッてくることもあるんですよ。

ーーカップルで使う場合は?

小林:特にはじめて使うときや、はじめての商品ではず手に取って、お互いの手を重ねたり触れ合ったりしてください。ふだん手を握るときとは感じ方が変わって、気分がアガるという方が多いです。

ーーベッドに入る前から使うのがポイントなんですね。前戯の前に、もうひとつステップを設けるイメージ。

小林:はい、この潤滑剤ってこんな質感なんだ、こんな香りなんだというのを、先に共有しておくという意味もあります。その手でお互いの身体に触れ合う“タッチング”に移行してもいいでしょう。

そうしておくと、さらに深いスキンシップに進むときも、流れが途切れずスムーズだと思います。潤滑剤をその直前になって急に取り出すのだと、構えすぎて手が止まったり、気持ちが途切れたりしやすいです。だから、ベッドに入る前から、そして前戯の段階から取り入れるのがおすすめです。

シーツなどがベタベタになるのを心配する方もいるでしょうけれど、そんなふうに日常とは違うアプローチで愉しむ日が、たまにはあってもいいじゃないですか。口に入っても心配のない成分の潤滑剤だと、お互いになめ合うこともできます。ふだんとは異なる触れ合い、感触は新鮮な刺激になり、気分転換にもなりますよ。

香りでスイッチを入れる。潤滑剤がもたらす“非日常”

ーーちょっとした非日常な感じを潤滑剤で演出することができるわけですね。暮らしをともにしているカップルが生活空間でセックスするとき、気分を切り替えにくいという話はよく聞きます。

小林:そのために、香りつきものを選ぶのもアリですよ。特別感があって、気持ちのスイッチが入るきっかけになりやすいと思います。ほかにも、コンドームのにおいが苦手という方がいますが、潤滑剤の香りでカバーできるので、好きなものを見つけておくといいかもしれませんね。

ーーいまや潤滑剤もいろんな種類が発売されています。選ぶポイントを教えてください。

小林:まずは、水溶性(ウォーターベース)が使いやすいでしょう。潤滑剤にはほかにも種類がありますが、アロマ・植物由来を問わずオイルを含むものは、ラテックス製コンドームの劣化や破損につながる可能性があると覚えておいてください。オイルを含んだ潤滑剤を使いたい場合は、ラテックス以外の素材で、オイルの使用に対応しているコンドームを選ぶのがよいかもしれません。

油分は含まないものの、オイルのような使用感があってすべりが長持ちするシリコンベースの潤滑剤を使う、という選択肢もありますし、水溶性とシリコンを合わせたハイブリッド(混合)タイプもあります。

ただ、最初は、水でさらっと落とせて扱いやすい水溶性がおすすめです。先ほどシーツの話をしましたが、付着しても家庭での通常の洗濯で落ちますし、心配することなく触れ合いに集中できますよ。

“ふたりの潤い”を高めるアイテム

小林:具体的に商品をひとつ紹介すると、『ナチュラルメディルーブ』が“はじめての潤滑剤”として使いやすいと思います。すべて植物由来の成分で作られており、オーガニック素材はアロエベラのみを使用しています。グリセリンやパラベンのほか、香料や着色料、石油由来の成分などは使用していません。オーガニック成分を使った潤滑剤は、ゆるいテクスチャのものも多いのですが、これはほどよい粘度があります。

ナチュラルメディルーブ 潤滑剤
ナチュラルメディルーブ
参考価格 3,410円(120ml、税込)
問い合わせ先 https://shop.yourside-moist.com/?pid=168199412

ーーほんとだ、指で触れるとツンと角(つの)が立つ感じですね。

小林:これが、潤いを持続させる“潤滑力”につながるので、タッチングのときにも、次のステップにすすむときも、スムーズな感触をもたらしてくれます。

もうひとつは、香りにこだわった『フルトピア』。果物から香りを抽出しているので、香りが濃厚ながらもナチュラルですし、口に入っても違和感がありません。香水のようなフレーバーだと、口に入ったときに抵抗を感じる方が多いんですよ。

フルトピア 潤滑剤
フルトピア
参考価格 各2,598円(100ml、税込)
問い合わせ先 https://shop.yourside-moist.com/?pid=177194719

ーーバナナ、チェリー、ラズベリー、ストロベリー、マンゴー、スイカ……フレーバーが6種類もあるんですね!

小林:ベリー系の甘い香りは人気ですが、実はスイカのフレッシュな感じも、好きな方が多いんですよ。30mlの小さいボトルもあるのですが、こちらはお試しに最適です。

『フルトピア』も『ナチュラルメディルーブ』も、タッチングから深いスキンシップまで使えるタイプです。一方で、“口に入れてもいい潤滑剤”をうたう製品のなかには、砂糖などが配合されているものもあり、用途によっては使い方に注意が必要です。 使用前に成分表示・用途・使用方法を事前にチェックして、シーンに合うものを選びましょう。

ーー小林さんのもとには、ユーザーからどんな感想が届くんですか?

小林:妊活をはじめてから、セックスが“しなきゃいけないこと”になってしまって、すれ違うようになったカップルがいたんです。そんなときに潤滑剤を取り入れたら、ふたりで触れ合う時間が少し楽になったそうで。いまでもお子さんの成長を報告してくれるんですよ。

ーー潤滑剤が、ふたりのコミュニケーションをうながすツールとして機能したということですね。

小林:いまのセックスを、半歩先に進めたい人にとって潤滑剤は強い味方になってくれると思います。気軽に取り入れてみてください。

 

【小林 ひろみ】
うるおいヘルスケア株式会社 代表
一般社団法人 性と健康を考える女性専門家の会 副会長
性交痛の経験をきっかけに、2008年から海外の潤滑剤専門メーカーの製品を取り扱いはじめる。メディアで、病気以外の性交痛や潤滑剤の正しい知識を発信してきた経験を生かし、現在はショップSNSで「#潤滑剤百科」というシリーズを通じて情報を届けている。

【三浦 ゆえ】
編集者&ライター。出版社勤務を経て、独立。女性の性と生をテーマに取材、執筆を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(宋美玄著、ブックマン社)シリーズをはじめ、『小児科医「ふらいと先生」が教える みんなで守る小児性被害』(今西洋介著、集英社インターナショナル)、『性暴力の加害者となった君よ、すぐに許されると思うことなかれ』(斉藤章佳・にのみやさをり著、ブックマン社)、『50歳からの性教育』(村瀬幸浩ら著、河出書房新社)などの編集協力を担当する。著書に『となりのセックス』(主婦の友社)、『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。

宋美玄 産婦人科医 crumii編集長

この記事の監修医師

丸の内の森レディースクリニック

院長

宋美玄先生

産婦人科専門医

丸の内の森レディースクリニック院長、ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事産婦人科専門医。臨床の現場に身を置きながら情報番組でコメンテーターをつとめるなど数々のメディアにも出演し、セックスや月経など女性のヘルスケアに関する情報発信を行う。著書に『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』など多数。

監修チームについて知る
crumiiを応援する バナー

シェアする