「セクシュアルプレジャー」の話をしよう #08
私の快感は私が見つける──プレジャーグッズのサポートをためらわないで
前回はプレジャーグッズについて、「使っても使わなくてもいいけど、使えばいまより楽しいことが起きるかも」というお話をしました。今回はそこからもう一歩進んで、「グッズを通して、自分のプレジャーを主体的に見つけていく」ことに焦点をあてたいと思います。
プレジャーの主役はあなた。
グッズを使うのはチートなんじゃないか──そう考える方もいるでしょう。料理でも、“手作り信仰”とでもいうべき、すべてを人の手でやることを尊ぶ考え方があります。けれど便利な調理家電を使ったとしても、“料理をしたのは自分”です。食材を選び、味つけを決め、仕上げたのは、あくまであなた自身。
プレジャーグッズも同じです。グッズが勝手に快感を与えてくれるのではなく、どう使うかを決めるのは自分なのです。どこにどう触れるか、どの強さで作動させるかなどなど、すべて主体は自分にあります。料理であれ、セルフプレジャーであれ、道具はその過程を助けるサポート役にすぎません。
今回は入門編につづき、初級編です。主に、挿入を目的としたプレジャーグッズを紹介します。
快感を偶然任せにしていませんか？
セックスにおいて「クリトリスは感じるけど、中は感じない」という声は、とても多いです。それを、「自分の身体がちょっとおかしいから」「私は感じない体質なんだ」と思い込んでいる女性が少なからずいるのは、とても悲しいことです。実際には、これまで適切な刺激に出会えていないだけなのかもしれないのに。
パートナーとのセックスにおいて、快感を獲得するのは案外むずかしいものです。相手からの刺激は、とても偶発的。たまたま快感が引き出されることもあるけれど、そうでないこともあります。
快感を「運がよければ訪れるもの」ではなく、自分から積極的に見つけ、育てていけるものにする。ここで、プレジャーグッズの出番です。
挿入を目的としたグッズには、バイブレーターやディルドと呼ばれるものがあります。簡単に説明すると、前者は電動で動き、後者は動かないものです。
「自分の快感を、自分で見つけたい」と思ったら
こうしたグッズは、「必ず使わなければならない」ものではありません。でも、試してみて「自分は中でも感じることができるんだ」と確認できる可能性は十分にあります。それは、自分の体に対する、前向きな情報となるでしょう。パートナーとのセックスにおいても、相手まかせにせず自分から快感を獲得していくうえで、ひとつの自信にもなります。
くり返しになりますが、グッズを使うとき、主体は自分以外にありえません。どこまで挿れるのか、どの強さで作動させるのか、気分が乗らなくなったときどうするか……すべてを自分で決めます。
セックスでは当然、相手とのコミュニケーションが必要になります。コミュニケーションにおいても自分が主体でいるためには、「私は何を好み、何を苦手とし、どんなふうに触れられたいのか、どんな快感を求めているのか」を知らなければなりません。
セルフプレジャーの時間を、自分が主体となる練習の時間と考え、自分の身体とコミュニケーションをとってみませんか。グッズを使えば、よりわかりやすく、やりやすい形で自分の感覚にアクセスできるでしょう。
一歩踏み出してみたいあなたに、オススメのアイテム3選
では、挿入に適したグッズを３点紹介しましょう。
SVAKOM CICI（スバコム シシ）
挿入部の太さが最大で直径約２cmというのは、バイブレーターのなかでトップクラスに細身です。植物の茎を思わせるような、あるいは指のような、しなやかなフォルムも抵抗感を軽減してくれるでしょう。
参考価格 7,800円（税込み）
問い合わせ先 https://miraicolors-store.com/contact/
先端がくいっと曲がっているため、挿入の深さや角度によって変化をつけやすいのも特徴のひとつです。振動の強弱は5段階あるので、まずはもっとも微弱な振動からはじめることをオススメします。
Satisfyer Dazzling Crystal 1
（サティスファイヤー ダジリング クリスタル１）
ガラス製のディルドは、欧米では常に一定の支持があり、日本国内でもいま、じわじわ人気が高まっていると感じます。見た目の美しさに惹かれる人も多いでしょう。繊細なオブジェのようで素敵です。
参考価格 4,730円（税込）
問い合わせ先 https://miraicolors-store.com/contact/
最大のポイントは、温度を自由に調整できること。使用前にお湯などで人肌ぐらいにあたためておきましょう。中に迎え入れたとき、ぬくもりが心地よく、リラックス感をもたらし、また血流をよくする効果も期待できます。
Spoony Cutie Clipper
（スプーニー キューティークリッパー）
さらにステップアップしたい人は、挿入とクリトリス刺激を同時に楽しめる「ラビットタイプ」に挑戦してほしいです。「中では感じにくい」という人も、クリトリスからの快感が伝わってきて、これまでにない感覚を得やすいと思います。
参考価格 5,280円（税込）
問い合わせ先 https://miraicolors-store.com/contact/
もっちりした質感のボディが肌や粘膜にやさしく、ボディのゆるやかなカーブも挿入しやすさを考慮してのものです。
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よくある心配として「グッズに慣れると、普通の刺激では感じにくくなるのでは……？」というものがあります。もし仮に、毎日欠かさず最強レベルの振動で刺激しつづけるのであれば、その可能性もないとはいえません。けれど、通常の使い方であれば心配は無用でしょう。
グッズは、デメリットはさほどなく、メリットを多くもたらしてくれます。自分の体を理解する助けになり、ひいてはパートナーとのセックスに還元できる。気負わずに取り入れてはいかがでしょうか。
カップルで使うグッズも多数市販されているので、それはまた別の機会に。
最後になりますが、挿入タイプのプレジャーグッズを使用するときは潤滑剤を必ず使用しましょう。次回は、潤滑剤についての解説です。
三浦 ゆえ
編集者＆ライター。出版社勤務を経て、独立。女性の性と生をテーマに取材、執筆を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』（宋美玄著、ブックマン社）シリーズをはじめ、『小児科医「ふらいと先生」が教える みんなで守る小児性被害』（今西洋介著、集英社インターナショナル）、『性暴力の加害者となった君よ、すぐに許されると思うことなかれ』（斉藤章佳・にのみやさをり著、ブックマン社）、『50歳からの性教育』（村瀬幸浩ら著、河出書房新社）などの編集協力を担当する。著書に『となりのセックス』（主婦の友社）、『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』（文藝春秋）がある。
