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婦人科の病気 体験シリーズ:子宮頸がん#02

「あのとき不正出血に気づかなかったら」…たまたま子宮頸がんだとわかった女性が周囲に伝えていること

 

一昨年、子宮頸がんと診断されて治療を受けた「モキュ様のおかん (@moqsama)」こと今井知子さん。その体験で気づいた、とても大切なこととは…?

自分で「子宮頸がん」に気づけたワケ

「じつは、その日のパンツが“白”だったのがよかったんです」

そう明るく話してくれたのは、YouTubeやInstagramでうさぎの動画・写真を投稿して人気を博している「モキュ様のおかん (@moqsama)」こと今井知子さん

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2024年11月18日の朝、今井さんはトイレに行ったとき、パンツに血がついていることに気づきました。月経が終わった後だったこともあり、「もしかしたら子宮頸がんかもしれない」と直感的に思ったそうです。

子宮頸がんは初期だと症状がないことが多いものの、生理以外の出血(不正出血)、性行為による出血、おりものの増加などが見られることもあります。

「その3年前に私の親しい友人が不正出血から子宮頸がんだとわかり、子宮をすべて取る『子宮全摘術』を受けました。そして、私に何度も子宮頸がん検診に必ず行くよう言ってくれていたんです。なのに私は検診に行っていなかったので余計に不安になったんだと思います。」(今井さん)

子宮頸がん検診とは、子宮の入り口の細胞を柔らかいブラシで採取し、子宮頸がんの原因となる「HPV(ヒトパピローマウイルス)」がいないかどうかを調べる検査のこと。20歳以上の女性は、2年に1度受けることが推奨されていて、各自治体から無料で検査を受けられるクーポンが送られています。

「仕事や家事、子育てに忙しかったというのもあるし、産婦人科や内診が苦手なのもあって、もう何年も子宮頸がん検診を受けていませんでした」と今井さんは話します。

急に怖くなった今井さんは、その日のうちに近所の産婦人科クリニックを受診。不正出血があったことを話して診察を受け、さらに自治体から送られてきていた子宮頸がん検診のクーポンを持参して検診も受けたといいます。

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「クリニックの先生は『なんらかの原因で腟が少し傷ついて出血したのかもしれませんね。もう出血も止まっているし、特になんでもないんじゃないかな』と言ってくれたので、その日はなんとなく安心して帰路につきました」

子宮頸がん検診の結果は、12月5日に検査したクリニックに聞きにいくことになっていたそうです。

「その数日前、わざわざクリニックから『子宮頸がん検診の結果を必ず聞きにきてくださいね』と電話がかかってきました。『もちろん、行くつもりでいます』とお答えしたんですが、何かあるんだろうと思いました」と今井さん。

当日、産婦人科クリニックに子宮頸がん検診の結果を聞きにいったところ、やはり「要精密検査」という結果でした。

もちろん、精密検査が必要になったからといって、全員ががんだというわけではありません。また、HPVに感染してもすぐにがんになるわけではなく、持続的に感染して、前がん病変(異形成)と呼ばれる段階を経て、子宮頸がんになります。

「でも、私の場合、クリニックの先生が『今すぐにでも大きな病院に行くべき』『すぐに手術かもしれない』という言い方だったので、精密検査を受ける前からもう子宮頸がんだろう、と思いました」(今井さん)

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「子宮頸がん」という告知を受けて

翌週の12月10日には、クリニックからの紹介状を持って総合病院を受診。子宮頸部を拡大鏡で観察する『コルポスコピー検査』と『細胞診』の結果を受け、後日、医師から子宮頸がん(上皮内腺癌)であるという告知を受けました。

このときの今井さんは40歳。子宮頸がんは20代後半から増え始め、30〜40代に発症のピークを迎えます。まさにその年代でした。

「その瞬間はショックだったというより、『あ〜やっちゃったな〜。ちゃんと検診を受けておけばよかった』と心から反省しました。子宮頸がんになった友達からあんなに検査を受けるよう言われていたのに、と」(今井さん)

しかし、その後にショックなことが。続いて医師から告げられたのは、もしかしたら子宮頸がんがかなり進行しているかもしれないこと、その場合は子宮だけではなく卵巣やリンパ節までとることになるかもしれないということでした。

「子宮頸がんになった友達が元気なのもあって、子宮摘出までは覚悟できていたんです。でも、卵巣やリンパ節まで取るかもしれないと言われて、急に怖くなりました」と今井さんは話す。

それは卵巣を摘出した場合にはホルモン補充療法が必要になったり、リンパ節を切除した場合にはむくみや排尿障害が起こるかもしれないということを知っていたためです。

今井さんの場合は子宮摘出までは決まっていましたが、その前に子宮頸部を円すい型に切る「子宮円すい切除術」をして、がんの進行の程度を正確に確認してから、どこまで切除するかを決めることになりました。

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そこからは駆け足のスケジュールだったそうです。12月19日にCT検査、12月23日にMRI検査、12月27日に術前検査を行い、2025年1月7日には日帰りで子宮円すい切除術を行うことになりました。

結果、幸いにもがんは上皮内にとどまる「ステージ0」であることが判明。1月22日におなかに数カ所の穴を開けて行う「腹腔鏡下子宮全摘術」で、子宮のみを摘出することになりました。「このときは本当にホッとしました」と今井さんは振り返ります。

子どもに手術を受けることを伝えたら

子宮全摘術を受ける少し前、今井さんは当時小学校6年生だったお子さんに、子宮頸がんであること、入院して手術を受けることを伝えました。

「すると子どもが『どうせ大丈夫なんでしょ?』と聞くので、私は笑いながら『もちろん大丈夫だよ』と答えました。最初から話していた夫に対しても同じですが、あんまり心配をかけたくなくて明るく話すようにしていたんです」(今井さん)

お子さんも、そのときは気にしてなさそうだったそう。ところが、夜になって今井さんが寝ようと目を閉じていたとき、寝室に入ってきたお子さんが黙って手をギュッと握ったといいます。

「やっぱり、内心ではすごく心配してくれていたんでしょうね。私はつい寝たふりをしてしまいましたし、今でも本人には話していませんが、心にくるものはありましたね」と今井さん。

母親の手に添える子供の手

その後、1月21日に入院し、1月22日には腹腔鏡下子宮全摘術を受けることに。手術当日は午前中のうちに手術室へ。全身麻酔でぐっすり眠っている間に手術は終わり、目が覚めたら夜になっていて集中治療室にいたそうです。

「手術自体は全身麻酔なので、痛くはなかったんですが、麻酔が切れたらものすごく痛くて、耐え切れず『痛い〜!!!』と叫びました。もちろん、痛み止めの点滴はしてくれるのですが、そう頻繁に大量には入れられないですから、効果が薄れると痛いんです」(今井さん)

どんな痛みだったのかというと、生理痛のような、陣痛のような痛みだったそう。ただ、一晩経つと激痛は治ってきて「人間の回復力はすごい」と実感したそうです。

「その後も鈍い腹痛はあったので、つい看護師さんに『まだお腹痛いんですけど、生理痛ですかね?』と聞いたんです。そうしたら『子宮がないので、もう生理痛は起こりません』と言われて、そりゃそうだと思いました(笑)。そのくらい実感がなかったんです」(今井さん)

手術後は腹腔鏡下手術だったこともあり、比較的スムーズに日常生活に戻ることができた今井さん。ただ、上皮内腺癌は再発しやすいといわれているため、今も経過観察を続けているそうです。

自分でできる対策はしておいてほしい

「あの日、たまたま不正出血に気づかなかったらと思うと、ゾッとします。だから今は友人や知人に広く、子宮頸がん検診を受けてほしいと伝えています。若い世代はHPVワクチンの接種も大事ですよね」(今井さん) 

最後にみなさんに伝えたいことを聞いてみたところ、次のようなメッセージをくださいました。

「きちんと検診を受ける以外に、医療保険に入っておくこともぜひおすすめします。私は子宮頸がんになって、かなりお金がかかりました。医療費がかかるだけでなく、通院や入院のために仕事を休むこともあるし、備えておいたほうが安心だと思いますよ」

 

大西まお

編集者、ライター。出版社にて雑誌・PR誌・書籍の編集をしたのち、独立。現在は、WEB記事のライティングおよび編集、書籍の編集をしている。主な編集担当書は、宋美玄著『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK』、森戸やすみ著『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』、名取宏著『「ニセ医学」に騙されないために』など。特に子育て、教育、医療、エッセイなどの分野に関心がある。

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