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子宮・卵巣のがんとは?女性特有の子宮・卵巣のがんを理解しよう【前編】

 

国立がん研究センターの統計によると、「女性のがん」の中で罹患者数が一番多いのは、乳房、つまり乳がんです。続いて、大腸、肺、胃。第5位は子宮で、2021年には3万人ほどの人が新たに診断されています。女性の罹患するがんトップ5のうち、2つは女性特有の臓器に関するがんということになりますね。
今回は、婦人科の領域である子宮や卵巣のがんについて、ざっくり解説します。子宮や卵巣のがんは、早い段階で見つけられれば、治療の選択肢も多いがんでもあります。必要以上に怯える必要はありませんので、正しく知って理解しておきましょう。
まずは、婦人科の範囲である臓器の位置関係をシンプルに整理します。

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子宮の各部名称(医学的には、ちつは「腟」と書くのが正しい)


子宮とは、いわば赤ちゃんを育てるためのお部屋のような臓器。上の図のように、入り口側が子宮頸部、奥の袋の部分が子宮体部です。卵巣は、左右に1つずつある、卵子を育て、女性ホルモンを出す臓器。卵巣の近くには卵管(卵子の通り道)があります。
同じ「婦人科のがん」でも、できる場所が違うと、現れる症状や検査、治療も変わってきます。ここから順にわかりやすく解説していきます。

比較してみよう:子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がんの違いとは?

子宮頸がん

子宮頸がんは、子宮の入り口のところにできるがんです。大きな特徴は、主に性交渉などで感染することがあるウイルス(HPV)が原因のひとつであることがはっきりしていること。多くの女性が一生に一度は感染するありふれたウイルスで、多くは感染しても自然に消えますが、長く残ると子宮頸がんの原因になりえます。ワクチンや検診で守りやすいがんですが、20代〜30代の若い世代で急増しており、妊娠・出産の時期と重なるため注意が必要です。

子宮体がん

子宮体がんは、子宮の奥にある「体部(赤ちゃんが育つ場所)」の内膜にできるがんです。閉経前後の高齢女性に多く、女性ホルモンの影響(とくにエストロゲン)や肥満などが関係します。肥満、出産経験がない(または少ない)、生理不順などがリスク要因となります。ほとんど患者さんに不正出血が見られるため、比較的早期に発見されやすいがんです。特に、1年以上月経がなくて、閉経したのに出血があった場合は、早めの受診がおすすめです。

卵巣がん

卵巣がんは子宮の両脇にある、親指大ほどの臓器「卵巣」にできるがんです。「サイレントキラー(沈黙の臓器)」と呼ばれ、お腹の中で腫瘍が大きく育つまで症状が出にくいため、ほかの二つに比べると発見が遅れがちなのが特徴です。遺伝的な要因が関わるケースもあります。
はっきりした初期症状はないことが多いですが、進行するとお腹の張り(膨満感)、下腹部のしこり、食欲不振などが現れます。スカートやズボンのウエストがきつくなったり、しこりに気づいて受診される方もいらっしゃいます。

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見逃さないで!病院へ行くべき初期症状や予兆は?

がんに限らず、婦人科の病気は「小さな予兆」から始まることが多いです。
次のような症状があるときは、早めの受診をおすすめします。

不正出血がある(いちばん大事)

・生理ではない時期の出血
・性交後の出血
・閉経(1年間生理がない)後の出血
中でも子宮体がんは「出血」が最も多い症状として知られ、生理のようなうっとおしいレベルの出血から、少量でおりものに血が混ざる程度のこともあります。子宮頸がんも、進行すると不正出血や性交時出血が見られることがあり、生理でもないのに出血がある場合は一度婦人科での診察を受けるようにしましょう。

おりものの異常(色・におい・量)

子宮頸がんが進むと、においを伴う茶色っぽいおりものや、水っぽいおりものなどが出ることがあります。子宮体がんでも、血が混じって褐色に見えることがあります。
おりものの色やにおいなどの異常は、性感染症などの可能性もあるため、早めに受診して確認するようにしましょう。

下腹部の違和感・痛み・張り(とくに卵巣がんで要注意)

卵巣がん・卵管がんは、初期段階ではわかりやすい自覚症状がありません。進行するとお腹の張り、頻尿、便秘、腹水でお腹が大きくなったりすることがあります。
海外の公的機関でも、膨満感(お腹の張り)・骨盤や腹部の痛み・すぐ満腹になる・尿が近いなどは注意が必要なサインとして挙げられています。

「生理痛がひどくなった」も放置しないで

ひどい生理痛や痛みの悪化はすぐにがんに直結する症状というわけではありませんが、がんが進行してくると痛みを伴うことがあります。それに、子宮内膜症など、治療したほうがよい病気が隠れていることもありますので、ぜひ婦人科へ。

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まとめ|初期症状や予兆を知って、早めの受診につなげよう

ここまで、婦人科領域のがんとして代表的な子宮・卵巣のがん(子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん)について、できる場所の違いや特徴を整理し、見逃したくない初期症状や予兆を確認してきました。
不正出血やおりものの異常や下腹部の違和感・張りなどは、がんに直結するわけではなく、それ以外の原因でも起こりえますが、早めに相談するのがおすすめです。
後半の記事では、実際に婦人科を受診したときにどんな流れで診断が進むのか、どんな検査をするのかをみていきましょう。

 

参考文献
全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)
病気がみえる 婦人科・乳腺外科 株式会社メディックメディア
がん情報サービスHP
今日の臨床サポート 卵巣癌(早期):I~IIA期 エルゼビア
 

この記事の監修医師

松岡 和子先生

産婦人科

杏雲堂病院 産婦人科医。滋賀医科大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医・指導医、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医・指導医。婦人科腫瘍を専門とし、子宮筋腫や卵巣腫瘍など良性・悪性腫瘍の診断と治療に長年従事。腹腔鏡手術をはじめ、患者一人ひとりの状況とライフプランに寄り添った、丁寧な医療を提供している。

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