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子宮の形に置かれた花びらに添える手

気になるキーワード 「子宮体がん」

痛いとうわさの「子宮体がん検診」無症状でも必要?産婦人科医が教える受診の目安

 

子宮体がんは、赤ちゃんを育てる子宮体部の内膜にできるがんです。40代後半から増え始め、50代~60代でもっとも罹患者が多くなるがんです。(1)そのため、好発年齢になると、「子宮頸がん検診を受けるついでに、オプションとして子宮体がん検診もやっておこう」と考える方も少なくありません。それはたしかに自然なことですが、実際に受けた人からは、「信じられないくらい痛かった」という声が上がっており、SNSでもたびたび話題になっています。
子宮体がん検診についての発信も続けているcrumii編集長の宋美玄先生に、検診の痛みの理由から「絶対に検査を避けてはいけない」危険なサイン、そして医学的なホンネまで、女性が知っておくべき子宮体がん検診について伺いました。

子宮体がんの検査はどうして痛い? 子宮頸がん検査との違い

子宮にできるがんは、「子宮体がん(たいがん)」と、子宮頸部にできる「子宮頸がん(けいがん)」に大きく分類されます。「頸がん」と「体がん」では、調べる場所も使う器具も、感じる痛みも全く異なります。(2)

子宮頸がん、体がんの位置の違いイラスト
(photo:PIXTA)

子宮頸がんの検査は、子宮の入り口にあたる頸部(けいぶ)の細胞を採取します。ブラシやへらのような器具を腟の中に入れ、頸部の表面を軽く擦るだけですので、もちろん個人差はありますが、「ちょっと違和感がある」程度で済む方がほとんどです。
一方、子宮体がんの場合は、頸部よりも奥にある子宮体部の内膜の細胞を採取します。細い管状の器具(吸引管やブラシ)を、腟から頸管を通り、さらに子宮腔の奥まで届かせなければなりません。この「頸管を通る」というプロセスが、強い痛みを生じさせる一因になります。

細胞を採取する器具と子宮

子宮頸管は、普段はほぼ閉じた状態にあります。出産経験のある方は分娩時に頸管が開いた経験があるため比較的スムーズに通過しやすいですが、出産未経験の方や閉経後の方は頸管が非常に細く硬くなっていて、器具を通す際の痛みが強くなりやすいのです。
「痛みの強さは個人差が大きく、ほとんど感じない方もいれば、気を失いそうになるほど辛かったとおっしゃる方もいます」と宋先生も話すように、「信じられないくらい痛かった」という声があるのは、決して大げさではないのです。

「無症状なら、痛い思いをして受けなくていい」産婦人科医のホンネ

子宮体がんは、多くの場合、早い段階から「不正出血」という自覚できるサインを出してくれます。(3)つまり、無症状の段階から定期的に検査をしなくても、症状が出た時点で受診をすれば、早期発見・早期治療につながる可能性が十分に高いのです。症状のない人の定期的な検診にエビデンスが確立されているわけではありません。

内診台で診察する女性医師と女性患者のイラスト
(photo:PIXTA)

ただし、以下に当てはまる項目がある方は、子宮体がんのリスクが高いため、症状がなくても主治医と相談の上、検査を検討することがあります。(4)

1.肥満(BMI30以上):脂肪組織で卵巣ホルモン(エストロゲン)が産生されるため
2.月経不順・無排卵が続いている:エストロゲン過多の状態になりやすいため

エストロゲンには子宮内膜を増殖させる働きがあるため、これらの状態が長く続くと内膜ががん化するリスクが高まります。

3.ホルモン補充療法(HRT)中で黄体ホルモンを使っていない
4.乳がん治療薬(タモキシフェン)を使用中
5.子宮内膜ポリープや子宮内膜増殖症と診断されたことがある
6.遺伝的リスクがある

「こうしたリスク要因がない方が、ただ不安だからという理由で毎年痛みを我慢して子宮体がんの検査を受け続けるのは、医学的に見て必ずしも正しい選択ではありません。避けられるかもしれない痛みや不安を無理に受ける必要はないのです」(宋先生)

でもこれだけは約束を!「不正出血」があったら絶対に受診して

不正出血とは、生理(月経)以外のタイミングで起こる出血のこと。具体的には以下のようなものを指します。

・生理と生理の間(中間期出血) に気になる出血がある
・閉経後なのに出血がある
・茶色や黒っぽいおりものが続く
・少量だけどダラダラと出血が続く

中でも特に要注意なのが、閉経後の出血です。「もうとっくに閉経したのに、久しぶりに下着に血がついていた」という経験があったなら、迷わず婦人科を受診しましょう。子宮体がんのリスクがもっとも高い閉経後の女性にとって、出血を見逃さないことが大切です。

「鮮やかな赤い血だけが不正出血だと思っている方が多いのですが、茶色いおりものや、少量のじわっとした出血も不正出血です。量が少ないからといって安心しないでください」(宋先生)

不正出血がある場合の検査は「保険適用の診療」です

検査費用がどれくらいかかるのか不安に思う方もいるかもしれませんが、不正出血などの自覚症状があって医療機関を受診する場合、それは全額自己負担の「検診」ではなく、健康保険が適用される「診療(検査)」となります。症状があればためらわずに受診してください。

「ただの更年期の生理不順でしょ」という自己判断はNG

また、「一度だけだったし、もう止まったから大丈夫かな」という判断も危険です。たった一度の不正出血でも、自己判断で医師への相談を怠らないでほしいと宋先生は言います。
「子宮体がんの好発年齢である40代後半〜60代は、ちょうど更年期と重なる時期で、出血があっても『ホルモンバランスの乱れかな』と自己判断して、受診を先延ばしにしてしまうケースが後を絶ちません。

更年期にはたしかに不正出血が起こることがあります。でも、それが更年期のせいなのか、がんのサインなのかは、婦人科で診てもらわなければ分かりません。自己判断は禁物です」(宋先生)

手で大きくバツをする女性医師
(photo:PIXTA)

実際、この「更年期のせいだと思って受診しなかった」ケースによって、子宮体がんの発見が遅れる原因になったことも少なくありません。「たかが不正出血、されど不正出血」です。閉経前後の女性は特に、「月経以外のタイミングでの出血=とにかく受診」を鉄則にしてください。

あなたを守るのは、検診より
「サインを見逃さない」習慣

子宮体がんは、早期発見できれば治癒率の高いがんです。

「無症状なら、子宮体がんの検診は不要です。でも、不正出血があれば、すぐに婦人科へ。」

痛い検査を無理して毎年受け続けることよりも、このシンプルなルールをしっかりと守ることが大切です。
「更年期だから」「量が少ないから」「一度だけだから」——そのように理由を付けて受診を先延ばしにしないことが、あなたを守る最大の行動につながります。

 

【参考文献】
(1) “子宮体部:[国立がん研究センター がん統計]” がん情報サービス, https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/18_corpus_uteri.html#anchor1. Accessed 15 March 2026.
(2) “子宮体がん(子宮内膜がん) 検査:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]” がん情報サービス, https://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/diagnosis.html. Accessed 15 March 2026.
(3) “子宮体がん(子宮内膜がん):[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]” がん情報サービス, https://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/index.html. Accessed 15 March 2026.
(4) “子宮体がん”公益社団法人 日本産科婦人科学会, https://www.jsog.or.jp/citizen/5714/. Accessed 15 March 2026.

 

山本尚恵
医療ライター。東京都出身。PR会社、マーケティングリサーチ会社、モバイルコンテンツ制作会社を経て、2009年8月より独立。各種Webメディアや雑誌、書籍にて記事を執筆するうち、医療分野に興味を持ち、医療と医療情報の発信リテラシーを学び、医療ライターに。得意分野はウイメンズヘルス全般と漢方薬。趣味は野球観戦。好きな山田は山田哲人、好きな燕はつば九郎なヤクルトスワローズファン。左投げ左打ち。阿波踊りが特技。

宋美玄 産婦人科医 crumii編集長

この記事の監修医師

丸の内の森レディースクリニック

院長

宋美玄先生

産婦人科専門医

丸の内の森レディースクリニック院長、ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事産婦人科専門医。臨床の現場に身を置きながら情報番組でコメンテーターをつとめるなど数々のメディアにも出演し、セックスや月経など女性のヘルスケアに関する情報発信を行う。著書に『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』など多数。

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