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多汗・汗が止まらないときにおすすめの漢方薬3選

タオルで汗を拭う女性

冷房の効いた夏の電車、周囲は涼しそうにしているのに、自分だけ汗が止まらず人目が気になることはありませんか?会議やプレゼンを前にすると、手のひらや脇に汗がにじみ、なんとなく仕事に集中できないという方もいると思います。

汗の量や出る場所には、暑さだけでなく、体力や水分バランス、緊張なども関係していると言われています。体質に合った漢方薬と日々の養生で、汗に振り回されにくい体を目指してみましょう。

医療機関を受診したい汗の兆候とは?

まず、漢方薬を検討する前に、治療の必要な疾患がないかどうかを先にチェックしておきましょう。汗やほてりが症状として現れる疾患もあります。以下のような症状がある場合は一度医療機関の受診をおすすめします。

動悸・手の震え・体重減少・暑がりを伴う多汗 — 内分泌内科・甲状腺内科

食欲があるのに体重が減る、脈が速い、手指が震える、下痢をしやすい、首元が腫れているといった症状が重なっている場合は、バセドウ病などの甲状腺の病気が隠れていることがあります。近くに専門科がない場合は、まず内科を受診しましょう。

ほてり・のぼせ・月経の乱れを伴う発汗 — 婦人科・更年期外来

40〜50代に増える、突然顔や上半身が熱くなって汗が噴き出す症状は、更年期にみられるいわゆる「ホットフラッシュ」の可能性も。汗やほてりで眠れなかったり、仕事に集中できないなど、日常生活に支障が出ている場合は、我慢せず婦人科や更年期外来に相談を。更年期障害は保険も適用され、漢方薬のほか、ホルモン補充など複数の選択肢があります。

手のひら・足の裏・脇だけに大量の汗をかく — 皮膚科

緊張すると手汗や脇汗が増える、左右同じ場所に汗をかく、書類がぬれる、服の汗じみが気になって外出を控えるなど、局所的な汗が生活の負担になっている場合は、原発性局所多汗症が考えられます。多汗症は治療の対象となるため、皮膚科で相談できます。

発熱・長引くせき・強いだるさを伴う寝汗 — 内科・呼吸器内科

寝具を替えるほどの寝汗が続き、発熱やせき、たん、息苦しさ、体重減少などを伴う場合は、感染症の可能性も。風邪だと思っても症状が長引くときは、内科または呼吸器内科を受診しましょう。

冷や汗とともに胸の痛み・圧迫感・激しい息苦しさがある — 救急外来・循環器内科

胸が締めつけられる、胸から肩や腕に痛みが広がる、息ができないほど苦しい、意識が遠のくといった症状に冷や汗を伴う場合は、心筋梗塞や肺血栓塞栓症など緊急性の高い病気の可能性があります。ためらわず救急車を呼びましょう。

冷や汗・空腹感・手の震え・ぼんやりする症状がある — 糖尿病内科・内科

糖尿病の薬やインスリンを使用している方に、冷や汗、動悸、手の震え、強い空腹感などが突然現れた場合は、低血糖の可能性があります。受け答えがおかしい、けいれんする、意識を失うといった場合は緊急対応が必要ですので、速やかに受診を。

汗の量が急に増えた、または市販薬や漢方薬を試しても改善しない — 内科

これまで汗で困ったことがなかったのに急に全身の汗が増えた場合や、薬を飲み始めてから汗が増えた場合も、原因を確認する必要があります。どの診療科へ行けばよいか迷ったときは、まず内科で相談すると、症状に応じて専門の診療科を案内してもらえます。

「更年期だから」「汗かき体質だから」と決めつけていると、必要な治療が遅れてしまうこともありますので注意を。

更年期に関する解説はこちらの記事もあわせてどうぞ。
【産婦人科医監修】なんでも更年期のせいにしてると起こるよくないこと
その不調、本当に更年期? 見逃されやすい4つの病気

東洋医学の観点から「多汗」を解説

さて、東洋医学では、汗は体を潤す「水」や「津液(しんえき)」の一部であり、その出方は心身を動かすエネルギーである「気」によって調整されると考えます。気が不足すると皮膚表面を引き締める力が弱まり、暑くなくても汗が漏れ出す「自汗(じかん)」が起こりやすくなります。

一方、体内に強い熱がこもっている場合は、その熱を外へ逃がそうとして汗が増え、強い口の渇きやほてりを伴うことがあります。さらに、冷えとのぼせが同居するタイプや、緊張で気の巡りが乱れるタイプなど、同じ多汗でも「証(しょう)」によって原因は異なりますので、それぞれの証に合った漢方をご紹介します。

困った顔で大量の汗をかく女性
Photo:PIXTA

多汗におすすめの漢方薬3選

1.防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
疲れやすく、水太りやむくみがあり、少し動くだけで汗だくになる虚証タイプに適しています。
2.白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
体に強い熱がこもり、汗とともにほてりや激しい口の渇きを感じる中間証〜実証タイプに適しています。
3.柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
体力が低下し、上半身や頭の汗、動悸、冷えとのぼせが気になる虚証タイプに適しています。

多汗におすすめの漢方薬3選と症状解説

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

疲れやすく、水太りしやすい虚証で、少し動くだけでも汗が噴き出すタイプにおすすめです。

【こんな症状に】
少し歩くだけで汗だくになる/暑くなくても汗がにじむ/体が重く、疲れやすい/夕方になると脚がむくむ/筋肉がやわらかく、水太りしやすい
【含まれる生薬】
防已、黄耆、白朮または蒼朮、大棗、生姜、甘草
【特徴・効果】
防已黄耆湯は、不足した「気」を補いながら、体内に停滞した余分な「水」を巡らせる処方です。黄耆が体表を守る力を支え、防已や白朮がむくみや重だるさを整えることで、だらだらと漏れ出るような汗に働きかけます。疲れやすく、汗をかきやすい水太りタイプの多汗症に用いられる処方です。

味は大棗や甘草、黄耆によるやさしい甘みに、生姜のほのかな香りが重なります。製品の用法に従い、食前または食間に白湯で飲むと続けやすいでしょう。

白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)

体に熱がこもりやすく、汗をたくさんかいて強い口の渇きを感じる中間証〜実証タイプにおすすめです。

【こんな症状に】
暑い場所で汗が止まらない/顔や体が熱く、ほてる/冷たい飲み物を何度も欲しくなる/汗をかいたあとにぐったりする/肌が熱を持ち、かゆくなる
【含まれる生薬】
石膏、知母、人参、粳米、甘草
【特徴・効果】
白虎加人参湯は、体内にこもった強い熱を冷まし、汗で消耗した「気」と「津液」を補う処方です。石膏と知母が熱やほてりを鎮め、人参と粳米が体力と潤いを支えるため、大量の汗に口の渇きが伴うタイプに向いています。比較的体力があり、ほてりや口渇が目立つ人に用いられます。

味はさらりとした甘みの奥に、知母のほろ苦さと石膏由来のミネラル感があります。これからの季節は水分補給も意識しながら、製品の用法に従って食前または食間に服用しましょう。

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

体力が低下し、上半身の汗や動悸、冷えとのぼせが同時に現れる虚証タイプにおすすめです。

【こんな症状に】
頭や顔、脇に汗をかきやすい/緊張すると手汗が増える/動悸がして落ち着かない/手足は冷たいのに顔がほてる/寝汗をかき、眠りが浅い
【含まれる生薬】
柴胡、桂皮、乾姜、黄芩、牡蛎、栝楼根、甘草
【特徴・効果】
柴胡桂枝乾姜湯は、「気」の巡りを整えながら、上半身の熱と下半身の冷えが混在する寒熱のアンバランスに働きかけます。柴胡と黄芩がこもった熱や神経の高ぶりを整え、桂皮と乾姜が冷えた体を内側から温め、牡蛎が動悸や落ち着かなさを鎮めます。冷え症で神経が過敏になりやすく、動悸、寝汗、頭部の発汗などがある人に用いられる処方です。

柴胡や黄芩のほろ苦さに、シナモンに似た桂皮と乾姜の温かな香りが感じられます。緊張する予定の直前だけではなく、製品の用法に従って食前または食間に白湯で服用し、体全体のバランスを整えていきましょう。

多汗におすすめの漢方薬まとめ

汗が止まらない背景には、「気」が不足して汗をとどめられない状態や、余分な「水」の停滞、体内にこもった熱など、さまざまな原因が考えられます。また、冷えとのぼせや、緊張による気の乱れが重なっていることもあるでしょう。

同じ多汗でも、むくみやすいのか、口が渇くのか、動悸や冷えがあるのかによって、適する処方は異なります。症状だけで決めるのではなく、自分の体質を含めた「証」に合う漢方薬を選ぶことが大切です。汗の出方が気になるときは、医師や薬剤師など漢方に詳しい専門家へ相談してみましょう。

※本記事は「漢方と365日。」の協力で作成されました。

漢方と365日

【みんなとつくる漢方メディア 漢方と365日。】
難しいと思われがちな漢方をよりわかりやすく、そして自分事にしてほしいという願いからオープンした「漢方と365日。」
漢方体質診断「見つかる!わたしの不調スイッチ」で自分の体質を知ることができるほか、現時点での自分の体や心がどんな状態であるか確認でき、体質に合わせた生活習慣や運動などの養生法を手に入れられる。漢方の処方を受けられる医療機関の検索も可能。

この記事の監修医師

丸の内の森レディースクリニック

吉住奈緒子先生

大阪大学医学部医学科卒。 大阪府立急性期・総合医療センター、厚生労働省医系技官などを経て、現在は東京女子医科大学附属東洋医学研究所 助教。 専門は公衆衛生、東洋医学。毎週火曜日、丸の内の森レディースクリニックで漢方外来を担当。

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