crumii編集長・宋美玄のニュースピックアップ #34
更年期の当事者になって、初めて高齢出産を後悔した話
10月18日は「World Menopause Day (世界メノポーズデー)」です。更年期の健康に関わる情報を啓発するために、国際閉経学会が10月18日を「世界メノポーズデー」と定めました。
日本では、日本女性医学学会が「更年期についての情報を一般の方々に広くお知らせし、女性の健康増進に貢献すること」を目的として10月18日から24日までの1週間を「メノポーズ週間」と定めています。
当事者になってみて初めて分かった「喪失感」
更年期は閉経の前後5年ずつ、合計10年間を指します。日本女性の閉経の中央値は50.5歳と言われているため、大体45~55歳くらいが更年期の人が多いことになります。私は来年50歳になるので、まさに更年期ど真ん中世代になります。昨年までは「メノポーズ週間」を「10月は更年期関連のイベントの仕事が多いなあ」くらいに思っていたのですが、実は今年は「当事者」として過ごしています。
6月に「ミレーナを抜いたら、娘の反抗期がマシになった話」というコラムを書きまして、ミレーナを抜いた後にバッチリ排卵して、PMSの期間を経て月経が来たことを報告したのですが。
ですが。
なんと、その後爆速で卵巣が引退してしまったようなのです……。
7月に稲葉可奈子先生のInaba Clinicを受診し、超音波検査を受けたところ、子宮内膜が薄くて、卵胞発育も認められませんでした。
「あれ〜?」って言ってたんですが、ホルモン検査をしてみたところ、
5月にエストラジオール(エストロゲン)が90台pg/mLだったものが、7月にいきなり20未満pg/mLに。
ホルモンの分泌量は変動するとはいえ、検査でこんなにあからさまに減るなんて……ううう。

なんとなくですが、自分はあんまり早めに閉経しないと思っていました。母も51歳で子宮を摘出するまで普通に月経があったし、35歳と39歳で妊活した時は1回で授かったし、卵巣機能は人並み以上に続くんじゃないかなと思っていたのです。(完全に産婦人科医としてではなく、個人の印象です)
それが、40代で引退するなんて……。
いや、40代と言っても49歳後半で、卵巣が引退しても全くおかしくないし、なんならめちゃくちゃ平均的な感じなんですけど、
なんというか、
喪失感。
これにつきます。
急に、置いて行かれた感じ。心が、追いつかない感じ……。
これまで患者さんには、「更年期なんて怖くないです。卵巣から女性ホルモンが出なくなったら外から補充すればいいですよ」とお話ししていたのですが、そんなにすぐに気持ちの切り替えができるものではありませんでした。

更年期になってみて、実際の症状は?治療は?
症状としては、「オバサンくさい病名とは裏腹に 完全に満身創痍です」で書いた通り、ほぼ同時期に起こった五十肩のインパクトが強すぎて、他に自覚するものは「疲れやすい」「忘れっぽい」くらいしかないです。それも加齢や環境因子(永久に終わらない子育てワールド)によるものもあるでしょうし、ホットフラッシュや指のこわばりのような典型的な更年期症状はありません。
でも、全身を守ってくれている女性ホルモンが下がってしまったので、ホルモン補充療法(HRT)をすることにしました。おりしも、メノエイドコンビパッチという製剤が出荷停止になっているタイミングで、エフメノという内服黄体ホルモン剤(天然型の製剤のため乳がんのリスクが上がらないというメリットあり)とル・エストロジェルというエストロゲン製剤(経皮剤のため血栓症のリスクが上がらないというメリットあり)を併用しています。ル・エストロジェルはポンプ式のジェルなのですが、なんと、五十肩のためお腹に塗るのも腕が痛いという、完全に満身創痍な状態です。でも、HRTの効果なのか、体調もましだし、肌つやもいい気がします。

更年期になってみて、初めて高齢出産を後悔
それにしても、こんなに急に体に変化が起こるとは……。自分はいつも、仕事にプライベートにアクティブに生きてきて、子供を産んでからも120%頑張ってきました。それが、ちょっとのことでやたらと疲れるし、五十肩もあるし、家では泣き言ばかり言っています。
私は35歳と39歳で子供を産んだので、まだ子供たちが9歳と13歳。両方とも普通の子供よりも手がかかるタイプで、何年も「今、子育てに向き合わないと後で大変なことになる」という状態が続いています。そして、上の子はそのまま反抗期に突入………。一時よりもマシになったとはいえ、予断を許さない状態です。
子供たちに、「ママは急に体調が変化して、身体中が痛かったりものすごくしんどかったりするから、これ以上ママを疲れさせないようにして」と懇願しても、「知らないよ、そんなの」と言われる始末。
アラサーで出産した友人たちは、とっくに子供たちが大きくなっており、少なくともうちよりは手がかからなくなっている人たちがほとんどなのに。そうかあ、高齢出産をすると、更年期と子供の反抗期が重なってしまうのか……。下の子もこれから思春期だし、地震と台風が一緒にやってきた感じです。
よく、高齢出産をすると子育てする体力がなくて大変だよ、と言いますが、これまでパワーで乗り切ってきたので高齢出産のデメリットに直面することはありませんでした。強気でいた私ですが、ここへきて、なぜうちの子たちはまだまだ未熟で手がかかるのか……と泣きたい気持ちです。本当に子育ては長すぎる旅です……。
お姉様たちの背中を見ながら頑張ります
でも、私より一世代上の私の周りのお姉様方はパワフルな方々がめちゃくちゃ多いです。お姉様方も、アラフィフで更年期障害を患ったり、五十肩になったり、骨折したり、糖尿病になったり、がんになったりしながら、子供を育て上げ、50代、60代でさまざまなことを成し遂げられています。
体が急激に変化する時期を乗り越えて、HRTもしつつ、また人生後半を生き生きと過ごせる日が私にも来るかなあと淡い期待をしています。
当事者になってみて、更年期というのは体調だけでなく精神的にも意外なダメージのあるものでした。でも、同じような状態にある患者さんたちと話が弾むようになり、共感力がより高まった気がします。
人生なんでも経験してなんぼ。Crumiiの発信にも役立てていきたいです。














