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子宮・卵巣のがんとは?女性特有の子宮・卵巣のがんを理解しよう【後編:検査・治療】

 

前編の記事では、子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がんの違いと、見逃してはいけない初期症状について解説しました。不正出血、お腹が張るなど、気になる症状があった時、多くの方が不安に思うのが「婦人科で何をされるんだろう?」ということではないでしょうか。

今回の記事では、実際に婦人科を受診したときの検査の流れや、がんと診断された場合の治療法などについて解説していきます。

診断までの流れ|婦人科で行われる検査の種類とは?

前回の記事では、がんの症状となりうる事例をいくつか挙げました。

・不正出血がある
・おりものの異常(色・におい・量)
・下腹部の違和感・痛み・張り
・生理痛がひどくなった

これらの症状に心当たりがあった時は、まず産婦人科に行きましょう。
ここでは、診察の大まかな流れについて解説します。

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1)問診・内診(必要に応じて)

いつから・どんな症状があるか、痛みの場所、現在の妊娠の可能性、過去の病気や家族歴などを確認します。内診は必要な場合に行い、つらいときは遠慮なく「内診の経験があまりなくて怖い」とか、「痛みが心配」などをスタッフに伝えましょう。
産婦人科で何をするかについては、こちらの記事に詳しく記載しましたので合わせてどうぞ。
【産婦人科医直伝】婦人科で使う診察器具や内診を受ける際のコツ、解説します
産婦人科ってどんなところ?どんなときに受診するの?

2)経腟超音波(エコー)

他の検査より先に、エコーを行います。子宮や卵巣の状態や子宮内膜の厚みを見てがんの兆候がないかを確認したり、子宮筋腫(良性のこぶ)や腫瘍の有無などを確認します。
このとき、おなかに塊のようなものがあったら、よく見てチェックします。子宮筋腫など、放っておいて良いものの可能性もあるためきちんと鑑別が必要です。卵巣が腫れていないか、塊がボコボコしていたり、変な血流が流れていないかなどを確認し、がんの疑いがないかを調べます。

3)細胞診・組織診(こすって調べる/組織を少し取る)

子宮頸がんの検査

これは検診でよくやっているので馴染みのある人が多いはず。まず子宮頸部の細胞診を行います。柔らかいシリコンのブラシで子宮の入り口にある細胞をこすりとって調べる検査です。この時の刺激でおりものが茶色っぽくなることがありますが、検査によるものですのでご心配なく。
採取した細胞の形を顕微鏡で観察し、がんの顔つきをしている細胞がいないかどうかを調べます。必要に応じてウイルスを調べるHPV検査や、拡大鏡で見ながらの組織検査(コルポスコープ検査)を行います。

子宮体がんを疑う場合の検査

出血が続いていたり、子宮内膜が厚い傾向にあるといった疑いがある場合は子宮内膜の細胞をとったり、組織をとったりする病理検査(細い器具で採取)を行います。病理検査とは、組織を少し取って、がんかどうかをはっきりさせる検査のこと。
これは先端の細胞をブラシで触ってこすりとるだけの子宮頸がんと違って、さらに奥の子宮内にある細胞をとるため、細胞をとる器具を差し込む際にチクッとした痛みや出血を伴うことがあります。

子宮頸がん検診でチェックするがんの病変。右にいくほど進行している細胞。

4)画像検査(CT/MRI/PET など)

エコーで見えている塊が、がんではないかを確認したり、がんがどこまで広がっているかを調べるために、MRIなどの画像診断を行うことがあります。街中のクリニック(いわゆる診療所)でできる検査はだいたいここくらいまで。問題のありそうな所見がみつかった場合は、手術を考慮して設備の整った大きな病院に紹介してもらうことが多いと思います。
子宮頸がんがある程度進行していると分かった場合や、子宮体がんの場合は手術の様式を検討するために行われます。

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5)卵巣がんは「手術で確定診断」になる

卵巣は体の奥にあり、多く針で安全に組織を取れないため、エコーやMRI、CTといった画像診断で悪性が疑われた場合には手術で切除し、取った組織の病理診断で確定する流れになります。

進行の度合い(ステージ)と生存率

がんの「ステージ(病期)」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。ステージとは、がんが「その場所にとどまっているか」「周りや別の場所に広がっているか」を表す目安です。Ⅰ期〜Ⅳ期、のようにローマ数字で表記され、早期から進行するにつれて数字が大きくなります。数字が小さい(早期である)ほど治療の選択肢が広く、体への負担も小さい傾向があります。
生存率については、5年相対生存率(2009–2011年)が次のように示されています。5年相対生存率とは、がんにかかっていない同じ年齢層の人と比べて「5年後に生存している割合」を表す指標のこと。

※少し古いですが、部位別の個別データとしては新しいものです。

子宮頸がん(子宮頸部):76.5%
子宮体がん(子宮体部):81.3%
卵巣がん:60.0%

子宮頸がん、体がんに比べて卵巣がんの生存率がちょっと少ないように見えるのですが、これは卵巣がんに初期症状が出にくく、腹痛などの症状が顕在化してがんが見つかったときには進行していることが多いためです。
もちろん、数字が患者さん全員の未来を示すわけではないので、がんの種類、広がりや体の状態、治療の進歩によって見通しは大きく変わってきます。気になる症状があるなら、早めに相談して調べる、を大事にしましょう。

がんが分かったときの主な治療法は?

がんの治療方針は、がんの種類とステージ、そして「将来妊娠したいか」「仕事や生活の事情」なども含めて一緒に決めていきます。細かい治療については別の記事に譲るとして、ここではざっくりとした選択肢をご紹介します。

手術療法

手術によって、がんの部分や組織をとる治療です。
子宮頸がん:ステージにより、円錐切除から子宮摘出まで幅があります。
子宮体がん:手術が中心で、早期では腹腔鏡やロボット手術などの内視鏡手術が可能な場合もあります。
卵巣がん:基本は手術+術後の薬物療法が中心です。

薬物療法(抗がん剤・分子標的薬・ホルモン療法など)

卵巣がん・卵管がんでは、抗がん剤(TC療法など)がスタンダードで、進行期では分子標的薬を併用することもあります。
子宮体がんでも、状況により薬物療法(黄体ホルモン療法など)や抗がん剤治療が行われることがあります。子宮頸がんでも状況によっては抗がん剤治療が行われます。

放射線治療

子宮頸がんでは、放射線治療が重要な選択肢になり、ステージにより化学療法と同時に行うこともあります。おなかの上から当てて外側から、腟の内側に器具を入れて内側から、放射線を当てて行う治療です。状況によっておなかからと腟から、あるいは両方を使い分けます。人により、下痢などの合併症があることが知られています。

妊孕性(にんようせい)の温存について

治療方針を決める時にポイントになるのは「将来、妊娠したいかどうか」です。がんが早期に見つかって、少し切るだけで済む場合には、妊娠を考えることもできますが、子宮をとる治療を選択する場合には、妊娠はできないからです。
子宮頸がんでは、早期で条件が合えば、妊孕性(にんようせい、将来妊娠することのできる能力のこと)を温存する治療を選ぶこともありますが、再発リスクや流早産のリスクなども含め、慎重な検討が必要です。
子宮体がんだった場合でも、限られた条件下ではありますが、妊孕性温存療法が検討されることがあります。

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予防や早期発見のためにできることはあるの?

1)HPVワクチン(子宮頸がんの一次予防)

日本では、HPVワクチンを定期接種(公費)として位置づけ、小学校6年生から高校1年生相当の女子が自治体のチケットで接種が受けられる対象になっています。自治体によっては、男子にも公費で接種をしている自治体もあります(東京では千代田区、板橋区など)。WHOも、HPVワクチンが子宮頸がんリスクを下げること、15歳より前の接種を推奨しています。
※ワクチンを受けても、すべてのタイプを防げるわけではないため、定期検診も大事です!

2)定期的な検診(子宮頸がん)

厚労省のQ&Aでは、20歳以上は2年に1回の細胞診が推奨されてきたこと、また自治体によっては無料で、30歳以上で5年に1回のHPV検査単独法も選択できるようになっています(導入状況は自治体で異なります)。

3)「排卵」そのものが卵巣がんのリスクに

卵巣は細胞分裂が盛んな臓器で、その分裂プロセスの中で色々な腫瘍が作られてしまうことが知られています。私たちが排卵を起こして毎月生理がくることで、排卵するときに卵巣が破れて修復することを繰り返しています。つまり、このスクラップ&ビルドの繰り返しが、卵巣がんのリスクファクターになっているのです。

4)卵巣がんは「国の指針としての検診がない」

卵巣がん・卵管がんは、現時点で指針として定められた検診がないとされています。、症状がある場合は検診を待たずに受診することが大切です。

5)生活習慣の見直し(とくに子宮体がん)

子宮体がんは、肥満や糖尿病などがリスク因子になりうることが示されています。体重の急な増減や生活の乱れが続くときは、できる範囲で整え、標準体重を目指していきましょう。

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まとめ|気になる症状があれば、早めに婦人科へ

ここまで、婦人科領域のがん(子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん)についての検査や治療の概要について解説してきました。子宮や卵巣のがんは、早期に見つけることができれば、治療で付き合っていける可能性が十分に高い病気です。
一番怖いのは、がんそのものではなく、「受診を先延ばしにしてしまうこと」。不正出血やおりものの変化、お腹の張りなどは、がん以外の原因でも起こります。「違ったら恥ずかしい」などといった心配はいりません。ぜひ「違ってよかった」と確認しに行くつもりで婦人科に行ってください。ついでにぜひ、月経のコントロールや妊活についても相談してみると、力になってくれますよ。

crumiiでも、今後子宮や卵巣のがんについての解説や体験談を充実させていく予定ですので、参考になれたら幸いです。

 

参考文献
全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)
病気がみえる 婦人科・乳腺外科 株式会社メディックメディア
国立がん研究センター がん情報サービスHP
今日の臨床サポート 卵巣癌(早期):I~IIA期 エルゼビア

この記事の監修医師

松岡 和子先生

産婦人科

杏雲堂病院 産婦人科医。滋賀医科大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医・指導医、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医・指導医。婦人科腫瘍を専門とし、子宮筋腫や卵巣腫瘍など良性・悪性腫瘍の診断と治療に長年従事。腹腔鏡手術をはじめ、患者一人ひとりの状況とライフプランに寄り添った、丁寧な医療を提供している。

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