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crumiiレポート

【2025年振り返り・後編】緊急避妊薬OTC化から初の女性首相誕生まで。2025年女性医療ニュースを総まとめ

 

2025年は、女性医療にとっても転換点となる出来事がいくつもありました。


長年にわたって議論されてきた緊急避妊薬のOTC化がついに実現。東京都では無痛分娩費用の助成がスタート。そして10月には、初の女性首相が誕生しました。
この記事では、2025年の主なニュースやSNSで盛り上がった内容を、女性医療に関するものを中心に、月別に振り返ってみます。

私たちを取り巻く環境がどう変わったのか、そしてこれからどこに向かうのか。crumiiで取り上げた記事も振り返りながら、一緒に考えてみましょう。

1月のできごと

年明け早々、SNSでは「マタ旅(妊娠中の旅行)」をめぐる議論が再燃しました。リスク管理と個人の自由、どちらを優先すべきかといった議論がたびたび話題になりますが、詳しくはこちらの記事でマタ旅を扱っていますので、ご参考にどうぞ!
また、AED使用時に「服を脱がされるなら使わないでほしい」という女性のアンケート結果が話題に。救命と尊厳のバランスについて、多くの意見が交わされました。

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2月のできごと

秋田県が作成したプレコンセプションケア(妊娠前からの健康管理)啓発冊子が、表現の問題で批判を受けました。せっかくの良い取り組みも、伝え方次第で受け取られ方が大きく変わる、と私たち発信の側に立つ立場としても学びを得た出来事でした。
同じ頃、K2シロップ(新生児に投与するビタミン剤)を「不要」とする画像がSNSで出回り、医療者から批判の声が上がりました。科学的根拠に基づかない情報の拡散は、命に関わる問題です。今後、crumii(クルミー)でも丁寧に扱っていきたいとおもいます。

3月のできごと 

HPVワクチンのキャッチアップ接種(定期接種時期を超えた方の公費接種)の新規接種が終了。 2024年の夏頃には、駆け込み需要の急増でワクチンの在庫が枯渇しましたが、多くの方が接種の機会を得られたことは良いニュースでしたね。

4月のできごと 

帯状疱疹ワクチン「シングリックス」の定期接種化がスタート。 50歳以上の方を対象に公費助成が始まりました。シングリックスの接種は2回で終了。帯状疱疹は女性にも多い疾患でもあり、健康寿命の延伸への寄与が期待されます。
卵子凍結の助成が拡大(東京都・港区など)。 自治体主導で、将来の妊娠に備える選択肢を支援する動きが広がっています。
crumiiもこの月にローンチ。多くの方に読んでいただけるメディアへの第一歩を踏み出しました。また、その週の週末には、大阪・関西万博が開幕しました。

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crumiiスタッフ撮影

5月のできごと

近年、梅毒感染者数の増加傾向が続いています。特に若年層での感染拡大が顕著で、啓発の重要性が改めて認識されました。多くの人が「性感染症なんて自分には関係ない」と思いがちですが、案外誰にでも起こりうること。定期的な検査を心がけましょう。

6月のできごと

WEF(世界経済フォーラム)のジェンダー・ギャップ指数2025が発表されました。日本は148カ国中118位。 政治・経済分野での遅れが依然として解消されていません。女性の健康と、社会参加の機会は密接に関わっていますので、今後の展開に期待。crumiiも女性が体の悩みから解放され、パフォーマンスを発揮できるといった点で、貢献したいところです。
この頃、寝台特急「カシオペア」が引退し、一つの時代が終わりました。

7月のできごと

参議院選挙で自民・公明両党が大敗し、過半数割れ。  

8月のできごと

厚生労働省の専門家会議が、緊急避妊薬のOTC化(処方箋なしでの薬局販売)の方針を了承。 長年の議論がついに前進しました。薬局での試験販売を経て、本格的なアクセス改善に向けた大きな一歩です。
一方、SNSでは「女性専用産婦人科を作れ」という発言をめぐり議論が勃発。付き添いに来たパートナーさんが、立っている妊婦さんがいるのに座っていた、という投稿からスタートしたものでしたが、院内では思いやりのある態度でいたいですね。
お盆休み最中の大阪では地下鉄運転見合わせにより万博会場に来場客が足止めされるトラブルも発生しました。 

9月のできごと

東京で世界陸上が開幕し、日本中が盛り上がりました。

10月のできごと

東京都で「無痛分娩費用助成」がスタート。 無痛分娩の費用がネックで諦めていた方にとって、大きな後押しに。多くの自治体が追随を検討しており、期待が高まっていますが、産科麻酔における課題無痛分娩の施設の選び方などの記事も掲載しています。
緊急避妊薬(ノルレボ錠)のOTC化が正式に承認。 薬局での販売がついに解禁されました。薬剤師による問診が必要などの要件はありますが、「72時間以内」という時間との戦いの中で、医療機関を受診できなかった方にとって、選択肢が広がりました。詳しい解説記事はこちら。
高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に就任。憲政史上初の女性首相が誕生しました。 女性政策への期待が高まるなか、今後の政策動向が注目されます。
 

10月にはMrs. GREEN APPLEの名古屋公演で妊婦さんが出産するという出来事も。賛否両論が巻き起こりましたが、妊娠中の行動範囲について考えるきっかけにもなりました。

その時の記事がこちら。妊婦はライブにいっちゃいけないの?
 

大阪・関西万博が閉幕。各地ではクマ被害が相次ぎ、人と野生動物の共存について議論が深まりました。

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11月のできごと

「男性助産師」をめぐる議論が勃発しました。海外での事例紹介をきっかけに、日本で男性に助産師資格を開放すべきかどうか、SNSで激論が交わされました。助産師不足の解消と、出産という極めてプライベートな場面での女性の心理。どちらの視点も大切にしながら、議論を続けていく必要があります。
大分市では大規模火災が発生し、170棟以上が延焼する被害が出ました。

12月のできごと

政府の分娩無償化案で、帝王切開が適用除外となる方針に賛否。 正常分娩のみを無償化とする案に対し、「医療的介入が必要な帝王切開が含まれないのはおかしいのでは?」という批判が殺到しました。


分娩の保険適用に関するcrumiiの記事はこちら


2026年に向けて

2025年は、少ないながらも少しずつ、SRHRに関わる政策のニュースがありましたね。
現在、女性のヘルスケアを取り巻く環境は、めぐまれているとは言いにくいのが現状です。色々な課題がありますが、2025年、crumiiが歩みをすすめたことで、当事者の女性たちにまずは知ってもらいたいです。難しいことをわかりやすく。不安を安心に。そして、読むだけで元気になれるように。
一人ひとりが行動に移し、社会を動かすには、もう一押しが必要ですが、より認知されるようになり、すべてのライフステージの女性が、いきいきと暮らせる社会を目指したいと思います。
 

2026年も、一緒に歩んでいただけたら嬉しいです。
それではみなさま、良いお年を。
 

crumii 編集部

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